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にっきちょう(11月)

2002年

11月28日(木)・・・六枚落ちの話

今、将棋世界に、「駒落ちのはなし」と題して、先崎が連載をしている。

もちろん、先崎が書くのだから、普通の駒落ちの定跡解説ではない。下手だけでなく、上手にも役立つ話として、今自分の中では、一番楽しみな記事である。

9月号から始まって、最初は、八枚落ち、そして、10月、11月、12月と三ヶ月に渡って、六枚落ちの話があった。次からは、四枚になるようだが、この六枚落ちも、実は結構奥が深い。


「入間将棋センター」は、大人の遊び場だが、以前から時々は、将棋を始めた子供も来店することがあった。その為、六枚落ちの指し方は良く教えていたのだが、自分は、(六枚の時には)9筋の破り方しか教えていない。実は1筋を破った方が簡単だと前から思ってはいたのだが、これは五枚落ち(うちでは、八枚から七枚、六枚、五枚、四枚、二枚と進んでいく)の時、教えればいいし、定跡本にもあまり1筋攻めは載っていないので、9筋を破る方法しか教えていなかったのだ。

このことを先崎は、1筋の破り方を解説した後、きわめて明快に述べている。

(1筋の破り方には)なにも難しいことを覚える必要がないのだ。飛車先を突いて、1筋を突いて、スズメ刺しをすればよい。これに比べると、角を切ったり成り香をうまく使わなければいけない9筋攻めはなんと難しいことだろう。
だが、この簡明さこそが、1筋攻め定跡の難点でもある。指導者の側からすれば、あまりにも単純で、手筋や考え方を教えることができないのだ。9筋を攻めて、角を切った瞬間に下手が感じるであろう「手筋を指した喜び」がここにはない。手筋を教える上手、教わる下手、ともに面白みのない定跡である。

うーん、さすがにするどい。
確かに、あの駒落ちのバイブルでもある「将棋大観」には、なんと1筋攻めは載っていないし、現代のバイブルとも言える所司の「駒落ち定跡」にも、9筋攻めは20ページもさいて解説しているのに、1筋攻めは9ページしかない。
やっぱり教える側にとって、面白くない定跡なのか?

そして、9筋攻め、1筋攻め、矢倉戦法を解説した後、先崎は、こうも言っている。

お手軽に勝ちたいなら1筋攻め。ちょっと勉強したいなら9筋攻め。ややこしくもあるが将棋の基本をきっちりマスターしたいならこの矢倉。といったところが下手の作戦の選び方のヒントであろう。

この3ヶ月に渡る「六枚落ちの話」もなかなか面白かったので、次回からの四枚落ちも楽しみだが、ここでは、私が考えている「六枚落ち、9筋攻め」のポイントを話してみたい。(詳細な手順は、「駒落ち定跡」を買って勉強!)

自分の中では、上手が変化できる難易度が五段階くらいに分かれている。そして、最初はやさしいものから始め、それが破れれば、徐々に難しいものへと進んでいく。


まず、左の図。「駒落ち定跡」にもあるが、これが六枚落ちの基本形で、ここからスタートする(△7四歩は突かない形も自分は多い)。

端破りを教えたばかりの第一段階。ここから上手は、何もせず、9筋を破らせてあげる。そして、その後、▲9八飛と回り、飛車が成れれば成功だ。つまり、大駒を使うことを覚えれば、第一段階は終了というわけ。

そして第二段階。ここからが本当の定跡になる。
この局面から数手後の間に、上手は、紛れの手、「△8四歩」を随所で出すことになる。つまりここで△8四歩と突く手と、一旦△5二玉とし、▲9四歩△同歩▲同香の時に△8四歩と突く手がある。

この時間差の△8四歩に正確に対応できれば、この第二段階も終了となる。

そして、第三段階
ここから△7三金と上がる定跡へ入る。この定跡は、下手が角を切ることになるので、やはり上手としては、紛れさせる可能性が大きいと思う。△7三金から△8四金と上がってきた場合の対処は、角を切ること、その時期がポイントだ。これを正確にでき、香成りから飛車成りが実現できれば、半分は成功だ。だが、角を上手に持たれることは、やはり恐いことでもある。この後の上手の角打ちに対し、ある程度は正確に応対できるようにならなければ、飛車は成っても、勝ちきれないと言うことになる。

そして第四段階。9筋は△7三金から△8四金で受ける受け方を取るが、初手は△3二金ではなく、△4二玉と上がる。この方が9筋を破られた時、耐久力があるのだ。

実は、先崎の連載では、9筋攻めについては、最初からこの△4二玉△8四金型を解説している。上手にも読ませる本なので、おそらく下手がもっとも大変な9筋攻めと言うことでこの形が載っているのだろう。

そして、この△4二玉形で角を切って、9筋から攻め、寄せ切れれば、六枚落ちは卒業となるのである。


え?第五段階がないって?

・・・それはー、どこの定跡書にも載っていない、自分があみ出した「9筋を破らせない秘策」・・・ってほどたいしたものではないのだが。

でもこの第五段階と上手の耐久力のある第四段階がどちらも破れれば、もう六枚落ちの破り方については、何も言うことはないのである。

しかし、六枚落ちは、破り方だけでおしまいではない。上手に守り駒もなく、端を破れば簡単そうだが、一つ忘れていることがある。そう、守り駒がないと言うことは取れる駒もない、と言うことだ。

だから最初のうちは、端を破り、飛車角を成っても、その後の攻めが分からず、なかなか勝てないと言うことにもなりやすい。結局、と金や成香を使って攻めなくてはならないのだが、これは八枚落ちや六枚落ちのうちから、「と金の速度と威力」についても勉強できるいい機会なのだ。

そして、寄せ方。上手の玉はふらふらとして捕まえづらい。この浮遊している玉をいかに寄せるか。いかにうまく「待ち駒」を打てるようになるか。こういったことも八枚や六枚落ちなど基礎のうち身につけておくと、終盤逆転されない人になれる。

だからもし、近くに駒落ち上手をやってくれる「奇特な人」がいたら、そう言うチャンスは逃さずチャレンジして見て欲しい。


ところで、ちょっと前、将棋を覚えてそれほど経っていない7級の子に、端の破り方を教えて、常連の柳内(やない)四段と六枚落ちを指させていた時、こんな場面に出会った。



何回か端を破り、破り方だけなら第三段階までは覚えたなと思っていたのだが・・・。

初手より△3二金▲7六歩△7二金と進み、下手が▲6六角と定跡通りに出た瞬間、△6二銀!

柳内四段の「端、放置の術!」

どうせ守っても端を破られるなら、最初から守らないと言う理にかなった戦術。

この後、△9三角成と馬を作ったものの、その後の指し方が分からず、△9二馬△8一馬と馬を動かしている間に上手の金銀が上部に出て行き、とても勝てない形に。


恐るべし柳内戦術!・・・将棋って奥が深い。。。

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