(6)下段・端に押さえつける
さて、前のページで説明した「はさみうち」と同じくらい大切な玉の寄せ方の一つが、「玉を下段・端に押さえつける」と言うことです。
格言にも、「玉は下段に落とせ」と言う言葉がありますし、その逆の言葉としては、「中段玉は寄せにくし」となる訳です(下段は一段目又は二段目を指し、中段とは四〜六段目を指します)。
まず、この図。これも、必死問題の基本中の基本です。
持ち駒に金銀桂と三枚ありますが、▲3三桂などと王手をしてしまってはいけません。△3二玉と上がられて捕まらなくなってしまいます。
こういう時、思い出して欲しい格言が、先ほどの「玉は下段に落とせ」です。そのことを考えて次の一手を決めて下さい。
正解は、▲2三銀です。▲2三金とか3四桂と打っても、次に一手で詰めることはできます。しかし、▲2三金だと△3一玉で、▲3四桂だと△3二玉で逃げられてしまいます。もちろん、持ち駒を打っても簡単に受かってしまいます。
では、▲2三銀なら本当に受けがないのでしょうか?その点を前のページでやったように検証して行きましょう。
この局面は、次に▲2二金の一手詰みです。でも、持ち駒に金と桂しかないのでなんだか受かるようにも見えます。もちろん、相手に持ち駒がなければ、すぐに受けがないと言うことは分かりますが、相手には、飛車や金銀がある訳です。
受けの駒としては、金がもっとも強力です。「金なし将棋に受けてなし」と言う格言がありますが、実戦でも、しばしば金がなかったために受けがなくなったと言うことは良くあります。
この場合、▲2二金を防ぐために、△2二歩とか打っても、▲3二金△1一玉▲2二金で簡単に詰みます。
つまり、受ける場合、2二の地点にも3二の地点にも利かせなければならないのです。そこで、考えられるのが、金や飛車を使った受けですが、その前に、ちょっと変わった受けがあります。
それは、銀又は角を3三へ打つと言うものです。たとえば、△3三銀と打てば、▲2二金とは打てないので、▲3二金と打ってしまいそうですが、△1一玉と寄られ、ぎりぎり詰みません。もっとも、実際は、△3三銀には▲1三桂と言う手があり、1一、3一、どちらへ逃げても頭金までです。しかし、こういう受けも一応は考えておかなければならないのです。
さて、受けの常道である、△2二金や△3二金と受けられた時、詰めることができますか?
これを詰められないと、せっかく▲2三銀と正解にしばったのに、寄せきれないと言うことになってしまいます。
ここからは、詰将棋です。それもやさしい3手詰ですから、簡単ですよね。
そうです、正解は、▲3三桂△同金▲2二金までです。△同金で▲3一玉と逃げても▲4一金までです。
これは、△2二に金を受けても同じことですし、金が飛車であっても、やはり同じです。
前のページでやったように、もし、2二や3二へ打つ駒が、龍や馬なら受かるのですが、そんなことはできません。したがって、どの駒を打っても、詰んでしまうのです。
実戦において、玉を下段や端に押さえつけると言う手法は、有力な寄せとなります。万一、それが必死ではなかったとしても、狭い玉と言うのは、受けが利かないことが多いのです。
これから一年(2003年)に渡り、少しずつ、有名な形(必死)を見ていきたいと思います。最初のうちは、受けを考えるのに時間がかかったとしても、そこで得た知識は、実戦で役に立つと思いますので、じっくり取り組んで下さい。(2003/01/03)