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(6)詰将棋解答機能の実力

近代将棋5月号の「実戦青野塾」で、将棋ソフトがプロの実戦に役に立つかどうかという面白い考察を青野九段がしている。
この本によると、詰将棋を解く能力は、脊尾詰を除けば、「東大将棋3」が最強なのでこれを使って、とあるが、私が現在実際に使っているのは、「柿木将棋5」だ。

そこで、このことを確認する意味も含め、現在の将棋ソフトが、実戦をどのくらい詰められるかどうかを検証していこうと思う。

使ったソフトは、私が現在最強(詰将棋を解くことにおいて)と考えている「柿木将棋5」(以下柿木5)、青野九段が使った「東大将棋3」(以下東大3)、私が4〜5年前に買った「脊尾詰1.5」(以下古い脊尾詰)の三つである。

◎現在まで私が使ってきたソフトの状況

その前に、私が使ってきたソフトについて簡単に振り返っておきたい。
私は、難解な実戦の詰みを出題するに当たり、当初からずっと、古い脊尾詰のレベル1をメモリ64Mのパソコンで使ってきた。
これで問題を解いた後、別詰みのありそうな筋を検討するために、局面を入れ替え、再度検討するという方法だ。また、古い脊尾詰は、最短で詰ますことをしない為、最短手順を見つけだすのも、自力でやるしかなかった。
東大3が出たとき、強力な詰将棋機能にはすぐ目がいった。しかし、私の実感では、脊尾詰と早くて同じくらい、と言う感じで、しかも脊尾詰と同じように、最短での解答をしなかった為、特に東大3を使うことにはならなかった。

柿木5の詰将棋機能を見た時は、驚嘆した。その速度もさることながら、正確な解答を出してくることに非常に驚いたのだ。さらに、メモリを増設することで、より強力になるため、すぐ128M足し、192Mにした。
そして余詰め検討機能もあるため、最近では、まったく古い脊尾詰を使うことがなくなり、すべて柿木5を使っている。これで、解答を出した後、別詰めの検討、さらに余詰めがあった場合、修正して、再度検討にかける、という手順で、完全になるまで検討してから出題している(但し、収束部の余詰めなど、一部検出されても、許容範囲としている部分もある)。


では、詰将棋解答機能の検証に移る。

パソコンは、K2/450MHzのCPUに192Mのメモリを使用。
なお、すでにこれも日記帳に書いたことだが、柿木5を使った場合、64Mを192Mにしただけで、解くスピードは倍になっている(611手詰の「図巧100番」は、28分かかったものがメモリ増設で13分30秒になっている)。
また、柿木5と東大3の詰将棋の設定のメモリは私のパソコンで使用可能な最大値にしてある。

さらに脊尾詰について、補足。
正確に買った日付は分からなくなってしまったが、約4〜5年前だと思う。バージョンは、1.5とあるのだが、最新版を見ると、1.11となっており、バージョン番号の付け方が不明なので、とりあえず「古い脊尾詰」と言う名称を使う(最新バージョンについては持っていない為、機能は分かりません)。
また、レベルは、1から22まであるのだが、以前64Mのメモリで使っていた時、レベル2以上に上げても少しも早くならなかった為、常にレベル1で使っていた。今回、メモリを増設したことで、もう一度確かめたところ、レベル1とレベル6で、はっきりと差が出たため、その両方で確認した(但しそれよりレベルを上げても変わらなかった)。

問題については、青野九段が実際に解かせた5題のうち、3題(やさしいもの、詰まないものは外した)。それとこのHPの難解な実戦の詰みで使っている問題(10月〜3月)、6題を使うことにした。
さらに、問題を解かせる場合、各々のソフトごとに、再起動し、問題を解かせている間は、それ以外のソフトは使用していない。
同じCPU、メモリでも、パソコンの状態によって、解くスピード、解答が違ってくると思われるため、下の結果は、あくまで参考ということにしておいて下さい。

問題と解答については、「問題と解答の一覧」をご覧下さい。

最短で解いたソフトに色づけ
  青野九段が使用した問題 難解な実戦の詰み(2000年10月〜2001年3月まで)
  勇略 対森下 対加藤 28問 29問 30問 31問 32問 33問
正解手数 39手詰 21手 25手 37手 25手 15手 31手 17手 25手
青野九段解 20分解けず 4秒(25) 10分解けず            
東大3 9分49秒(45) 23秒(31) 20分解けず 20分解けず 21秒(27) 6秒(17) 8秒(31) 4秒(17) 47秒(25)
柿木5 2分39秒(49) 33秒(21) 3分1秒(39) 27秒(37) 21秒(25) 6秒(15) 29秒(31) 3秒(17) 15秒(25)
脊尾詰1 20分解けず 43秒 20分解けず 1分 22秒 3秒 7秒 0秒 7秒
脊尾詰6 1分10秒(45) 30秒(33) 12分28秒(29) 34秒(41) 16秒(29) 2秒(17) 6秒(29) 0秒(17) 7秒(25)
  • 正解手数とは、玉方は最長手数で逃げ、詰め方は最短手数で詰めた場合の手数をさす。
  • 青野九段解は、近代将棋に載せた「青野九段が東大3で解いた結果」のこと。
  • 脊尾詰1とは、古い脊尾詰のレベル1のこと、6は同様にレベル6のこと。1と6は同じ解答を出す。
  • 秒の後ろにカッコで書いてある数字が手数。

正解を出したソフトに色づけ
  勇略 対森下 対加藤 28問 29問 30問 31問 32問 33問
正解手数 39手詰 21手 25手 37手 25手 15手 31手 17手 25手
青野九段解 20分解けず 4秒(25) 10分解けず            
東大3 9分49秒(45) 23秒(31) 20分解けず 20分解けず 21秒(27) 6秒(17) 8秒(31) 4秒(17) 47秒(25)
柿木5 2分39秒(49) 33秒(21) 3分1秒(39) 27秒(37) 21秒(25) 6秒(15) 29秒(31) 3秒(17) 15秒(25)
脊尾詰1 20分解けず 43秒 20分解けず 1分 22秒 3秒 7秒 0秒 7秒
脊尾詰6 1分10秒(45) 30秒(33) 12分28秒(29) 34秒(41) 16秒(29) 2秒(17) 6秒(29) 0秒(17) 7秒(25)

◎検証結果

まず、「難解な実戦の詰み」を解かせた方から見ていくが、意外にも、古い脊尾詰が早かった。もっともその差は、東大3でも柿木5でも秒単位しか違わない。この「難解な実戦の詰み」は、変化だけがものすごく多くて難解、というものはあまり出題していない。むしろ、人間にとって、難しい手が含まれていて、変化はそれほど多くないもの、というものを出題している。
したがって、そのような問題では、たとえ、10分で四、五段クラスの問題といえども、今のソフトにとっては、やさしい問題のようだ。
正解を出したソフトでは、私の感じていた通り、柿木5の圧勝だった。全てに、「玉方は最長、攻め方は最短」という手順を示した。これで、余詰め検討機能も合わせ、かなり信頼のおけるものとなった。

青野九段が検討に使用した問題では、かなり面白い結果が出た。
まず、詰将棋の将棋勇略。青野九段は、「20分でも解けなかった」と書いてあったが、私のパソコンでは、解けた(CPUよりはメモリの違いかもしれない)。しかも、古い脊尾詰と柿木5では、1〜3分という高速だ。しかし、正解ではなかった。古い脊尾詰や東大3はしかたないとして、あの柿木5でも不正解を出した。これは、受け方が間違っており、別の受け方の時の、早い詰みを発見できなかったということらしい。ちなみに正しい受けをしたところから解かせたら、瞬時に正解を出した。

そして、ものすごく変化の多い、「対加藤」の実戦。これでさえ、柿木5は、3分で解答を出した。もっともこの手順も、最短ではないようだ。この問題は、変化が膨大なため、私も正解には自信がない。ただ、詰んでいるのは間違いないようで、実戦が詰んでいるかどうかだけを確認するのであれば、パソコンに5分かけて詰まなければ、95%以上の確率で不詰めと判断しても差し支えないだろう。

◎結論

メモリを後から増設したこともあるが、考察前に考えていたより、古い脊尾詰の威力はすごかった。しかし、それ以上に、感じていた通り、柿木5の解答能力はすばらしいものであった。
特に難解な変化の多いものに関しては、一部、間違いもあるようだが、普通の実戦に出て来るくらいの問題に関しては、ほとんど正解(玉方は最長、攻め方は最短)を出し、かつ解答も早い、ということが分かった。

完璧を期すなら、脊尾詰の最新バージョンと柿木将棋5を両方使うということになるのだろうが、当分の間、私は、柿木5を使って、「実戦の難解な詰み」を出題することになると思う。

2001年03月29日作成

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