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(9)パソコンソフトの実力(激指2と詰将棋道場)

2002年12月、激指(げきさし)の新バージョン(激指2)と、東大将棋「詰将棋道場」が発売された。
ここでは、この二つのソフトを使った感想を載せていきたいと思うが、今までに載せてきたような時間をかけての深い検証はできなかったので、簡単な感想のみと言うことで、あらかじめお断りしておきたい。

なお、コンピュータは、Pentium4の1.6G、メモリ512Mを使用している。また、文中の段位は、全て平均的な将棋センターのもの。将棋倶楽部24の段位は辛いため、もっと下がります。

---目次---

激指2
(1)対局した私の感想
(2)激指1との違い
(3)結論

詰将棋道場
(1)使った感想
(2)主な機能
(3)詰将棋作成機能
(4)結論

参考:MYCOM GAME WEB/将棋ソフトのページ(販売先のAmazon)

--- 激指2 ---

(1)対局した私の感想

前バージョンの激指1では、12級から三段まで9段階に分かれていたが、今回のバージョンアップで、四段が新たに出来た(10段階)。
もっとも、四段ができたと言っても、激指1の三段は、将棋センターの平均的な四段と良い勝負なので、強さそのものは、それほど期待してはいなかった。

まず、数局、早指しで指してみた。指した感想は、「うん、まあまあ強い」と言ったところ。と言うのも、激指1でも、「まあまあ強かった」し、東大将棋5とも指して、現在の将棋ソフトの強さを知っているだけに、これら以上、激的に強くならなければ、どうしてもこのような感想になってしまう(もし、去年の今頃、初めて激指2と指したなら、「すごい!強い!ソフトもここまで来たか。」と感動したと思う)。

実際のところ、私が指した感じでは、激指1、激指2、東大将棋5、どれも同じくらいに見える。ただ、序盤、中盤、終盤と全体的に平均的な手を指し進めていくのは激指で、東大5はむしろ、序、中盤の大局観の悪さを終盤力でカバーしていると言った感じだ。

人間が対局する場合、勝負にこだわると、終盤悪くなっても勝負手を出してくる東大5の方が嫌らしいが、指し手の勉強に使うと言うことであれば、平均的に不可のない手を指してくる激指と言うことになるのかもしれない。

(2)激指1との違い

激指2のパッケージの箱の裏には、「前作に比べて、序盤、中盤、終盤と格段の進歩を遂げました」とあるが、棋力的にそれほどの進歩があったとは思えない。むしろ、前作との違いをメニューで見ると、今回からついた、指導対局と検討モードが特徴だと言える。

指導対局は、「初級者向けの指導モード。上達の近道です。」とあり、検討モードは、「棋譜の入力中にコンピュータの候補手、読み筋、形勢判断を表示します。テレビ対局の観戦時などに効果的です。」とある。

そこでまず、指導対局をやってみた。ところが、相手のコンピュータの設定棋力がない。駒落ちなどは、通常対局で設定しておけば、出来るようだが、ソフトの棋力が低く設定されているようで、弱い。もっとも、「初級者向けの指導モード」とうたっているのでわざと低く設定しているのかもしれないが、なぜ、指導対局の棋力を設定できるようにしておかなかったのか、ちょっと疑問を持った。

一方、検討モードの方は面白い機能だと思う。元々、激指は、読み筋を披露する棋譜解析が、一番の「売り」だったが、その棋譜解析に、テレビ将棋など観戦中にも使える「検討モード」が付いたと言ったところだ。
指し手を入れていくと、その都度、評価値(グラフ付き)と最善手、次善手が3つ、さらにそれぞれの読み筋が披露されるようになっていて、これは使えると思う。

それ以外の機能アップでは、クリップボードへ、解析結果などを書き出せることができるようになったことや、棋譜読み上げに、板東香菜子女流2級が加わったことだ。

しかし、私が最も良かったと思ったのは、激指1では、解析結果などを棋譜と一緒に保存できなかったのだが、激指2になって、対局結果ウィンドウ、棋譜解析ウィンドウが表示されるようになり、さらにこれらも棋譜と一緒に保存できるようになったことだ。

クリップボードへの書き出しなどと共に、棋譜解析がさらに使いやすくなり、勉強できるソフトとしては、これ以上ないものになったと言えよう。

(3)結論(激指2)

それほどたくさん使った訳ではないのだが、現在の私の考えを述べておきたい。

やはり強さに関しては、激指1からそれほどアップしているとは思えない。だから強さを求めて、1を買った人が2を買っても、がっかりするだけだろう。
しかし、1より2の方が良くなっているのは事実だ(指し手以外に関して)。特に棋譜解析と検討モードの機能。これらは、結構正確な激指の形勢判断と共に、現在の将棋ソフトでは、これ以上のものはないと思う。

将棋センターで四段以下の人が、東大将棋5も激指1も持っていないなら、激指2を買って、後悔することは絶対ない。また、今から激指1を買うくらいなら、激指2を勧めたいと思う。

東大5と激指2はどちらが良いかは難しいところだ。将棋ソフト最高の終盤力を確かめてみたいなら、東大5、また、いろいろと遊びの機能もたくさんあるのは東大5だ((8)パソコンソフトの実力参照)。

しかし、棋譜解析を使いたいなら何と言っても激指2だ。せっかく新しい機能として追加された「指導対局」がイマイチなのは残念だが、棋譜解析だけでも、激指1よりは、機能がアップしていて使いやすくなった。

ただ、激指1を持っている人が、2を買うかどうかは、・・・・・新しく追加された機能と、その値段を十分に比較検討してから、と言うことになるのかもしれない。

なお、激指2に限らず、将棋ソフトに関しては、できるだけ高性能のCPUを使った方がいいのは当然だ。P4、1.6G、512Mのパソコンの時は気にならなかったのだが、試しに、性能の低いパソコンで試したところ(P2、266M、256M)、激指1の時より、思考時間が長くなったように感じた。激指2の最低動作保証は、Pentium133MHz、32MB以上のメモリ、80MB以上のHDDの空きと言うことになっているが、実際には、このCPUでは、相当苦しいように思う。もっとも、コンピュータの指し手を一手30秒程度待つことを苦にしなければ、それほど問題はないのかもしれないが。

--- 詰将棋道場 ---

(1)使った感想

「一生遊べる将棋ソフト」と言うことで、発売された「東大将棋、詰将棋道場」。

これの「売り」は何と言っても、パソコンが詰将棋を作る「詰将棋問題作成」機能だ。「にっきちょう」でも取り上げたが、この機能は、正直面白い。

もちろん、本に載っているようなきちんとした詰将棋が作れる訳ではないが、それでも、無尽蔵に問題を作り出していけると言うのは凄いの一言。

そして、この機能だけでなく、詰将棋に関して様々な機能がぎっしり詰め込まれている。

次の「主な機能」でも説明するが、標準価格9800円の価値は十二分にある。今までも、詰将棋が入った将棋ソフトを見たことがあり、「こんな高いお金で買うなら、本の方がいいじゃない」とずっと思ってきたが、これは違う。

詰将棋をもっとたくさんやりたい、と言う人なら、買って損はないと思う。

(2)主な機能

詰将棋作成機能については、次の(3)で見ていくので、ここでは、それ以外の機能について触れておきたい。

実は、このソフト、すでに述べたが、詰将棋作成機能以外にも、有り余る程の「詰将棋の機能」が盛り込まれている。

まず、詰将棋カタログとして、週刊将棋に載った3手から11手までの詰将棋を中心に5000題載っている(他に単行本として出版されたものも入っている)。200題載せてある詰将棋の本が1000円とすれば、これだけで2万5000円の価値があると言えるだろう。

他に対戦詰将棋として3手、5手詰1000題がある(カタログと重複しているのかな?←不明)。

そして、10問連続で挑む、タイムトライアルや段級位戦など、遊びの機能としても十分な面白さを持っている。さらに、名作詰将棋鑑賞として、「古図式名作百選」まで収録している。

他に、詰将棋専門ソフトなので、当然、詰みを問い合わせることもできる。この機能は、東大将棋5に付いているものとほぼ同じなので、解くスピードはおそらく現ソフトナンバーワンだろう。その上、東大5にはなかった「全受手探索」の機能がついた。これは、玉方が作意以外の時の逃げ方も詰ませる機能と言うことで、より便利になった。しかし、余詰め検討機能などの細かい使い勝手は、柿木将棋6の方が使い易いので、詰将棋を作る人が、常時どちらを使ったら良いかは微妙なところだ(解く時間は東大将棋5・詰将棋道場の方が早い)。

(3)詰将棋作成機能

詰将棋作成機能は、「パソコンが詰将棋を作る」史上初の機能だ。

と言っても、詰将棋の本にあるような「詰将棋」ではない。どんなものかは、アトランダムに10問作って見たので、それを見て欲しい。

パソコンがアトランダムに作成した10問の詰将棋

これらを実際に見てもらえば分かるが、正確には、詰将棋とは言えないものが多い(妙手が何もないと言う意味で)。ただ、詰将棋で言うところのキズはあっても、余詰めはほとんどないようだ。

そのパソコンが作る詰将棋は、ほとんど「追い詰め」だが、それでも私は、この機能を高く評価している。それは、実戦でも玉を詰ませる場合には、「追い詰め」であることが非常に多いからで、この無尽蔵の問題は、読みの練習として、たいへ役に立つと思うからだ。

実際に、問題を作成させる時には、駒使用の率を細かく設定できる。その内容は、先手駒率、先手盤上率、先手不成率、先手玉近隣率、後手盤上率、後手不成率、後手玉近隣率で、それぞれのタブで駒一種類ずつについて設定できる。まだ、あまり試してはいないのだが、こういった設定を変更させることで、もっといろいろと変化のある詰将棋を作らせることができるのかもしれない。

他に、作成時間、探索精度、最低手数の設定ができる。しかし、最低手数の設定はあっても、詰手数そのものが指定できないのがちょっと不満だ。もし、次回作があるなら、詰手数の設定と、難易度の設定を入れて欲しいと思う。

(4)結論(詰将棋道場)

下は8級くらいから上は三、四段まで、棋力アップに詰将棋を勉強しようとしている人には、申し分ない将棋ソフトだと思う。特に役に立つと思う棋力の中心は、5級から初段くらいまでだろう(3手、5手詰が多い)。難解なものは、あまり入っていないが、棋力向上には、これら(難解なもの)を解く必要はなく、やさしいものをたくさん解きなさいとは良く言われることだ。

この「詰将棋道場」には、全体的にそれほど不満はないのだが、一つだけ、こうなっていればいいのに、と感じたことをあげておきたい。

それは、「詰将棋マシンに挑戦」の機能でのこと。これはパソコンが作る詰将棋を10問解いてその得点を競うと言うもので、大変面白く、何人かで交替に挑戦してみた。しかし、10問の総得点が一回ごとに違うのだ。つまり、難しい(変化の多い)詰将棋が出題された時は、高得点が取れるのだが、そういう問題が出題されない時は早く全問解いても取れない。結局、高得点には、運が強く左右することになってしまった。
10問の出題の詰手数や総得点を決めておいて、後は解いた秒数により得点を加算すると言うことの方がいいと思うのだがどうだろう。

不満と言えば、この事くらいで、後はほとんどない。しかし、詰将棋を使ったゲーム性のバリエーションや作成する詰将棋の精度アップなどこれから改良すべき余地はたくさんありそうなので、また次回作を楽しみにしたいと思う。

2002年12月29日作成

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