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(10)東大将棋居飛車道場

2003年3月28日、東大将棋居飛車道場が発売されました。
今回は、この使用感想について、「将棋に関するミニ感想」の方で取り上げて書きましたので、その部分をこちらに移しておきます。詳しい検証と言うよりは、使ってみた「感想」ですが、買うときの参考にしてもらえればと思います。

4月10日(木)   将棋ソフト「居飛車道場」
将棋ソフトの東大将棋シリーズに最新版が登場した。

それが、「東大将棋居飛車道場」。ちょうど使う機会があったのでその感想をこちらに載せておこうと思う。

本来なら、「勝手に考察文」の方へいろいろと検証して書くところなのだが、なにぶん時間を取られると言うこともあり、なにより、東大将棋シリーズなので、東大将棋5との差が、それほどはないと言うことで、こちらにその違いについてなど、感じたことを書くにとどめた。

実際、立ち上げた画面は、東大将棋5にそっくりだ。何が違うのだろうと、立ち上げた画面だけではそう思ってしまうが、やはり「売り」は、「定跡講座」だろう。

実を言うと、私は、この「道場シリーズ」の内容を見るのは、今回が初めてなのだ。定跡などは、本で十分、と思っていたからだが、これも、棋譜を目で追うだけで、駒の動きが分かるからよけいそう思うのかもしれない。

もし、棋譜を目で追うだけでは、駒の動きが分からない人にとっては、このような、パソコンを使っての定跡講座も結構役に立つかもしれない。

さて、定跡講座の中身を見ると、横歩取りに始まり、矢倉、角換わり、相掛かりと、居飛車戦は網羅されている。そして、その中の変化、これも膨大な数があり、詳細な解説になっている・・・と思う。

と思う、というのは、実は自分はそれほど深く定跡を知っている訳ではないので(特に居飛車の場合は)、ちょっと曖昧な表現になってしまった。

ただ、少なくとも、私が気になっている変化でもある、相横歩取りの変化や矢倉右四間の変化などについては、「あ、こんな手もあるのか!?」と改めて知った手順もたくさんあった。

居飛車党で、定跡通の人が見たらどうか分からないが、少なくとも、定跡を勉強するには、十分過ぎる量がある。さらに、パソコンならではの機能、すばやく検索することもでき、私自信は、かなり便利なもの、と言う印象を持った。


コンピュータとの対局については、東大将棋5ほどいろいろなバリエーションがある訳ではないが、段級位戦やフリー対局など、通常はこれだけでも十分だ。
試しに、フリー対局を二、三回やってみたが、東大将棋5とやっているのと、あまり変わらなかった。思考エンジンは、前回のものに、さらに改良を施していると書いてあるが、私が指した感じでは、はっきり分かるほど、強さが変わっているとは思えなかった。

そして、それ以外の機能(棋譜解析、詰み問い合わせ、定跡編集など)も、東大将棋5とほぼ同じのようだ。

となると、買う方にしてみれば、どうしても多少不満が出てくるのではないだろうか。つまり、同じ機能が、かなり重複しているので、東大将棋5を買って、さらにこの居飛車道場(あるいは他の道場シリーズも)を買うと、同じ機能を重複して買わされたように感じる。

定跡講座だけ、5000円で売ってくれれば、その方がユーザーにはうれしいように思うが、どうなのだろう?(いろいろ売る方にも都合があるのかもしれないけどね)

結局、買う側から見れば、東大将棋5を買うか、道場シリーズを買うか、常に迷うことになりそうだ。

定跡講座は、確かにすばらしい。もちろん、もっと変化を多く、解説も多くして欲しいという、際限のない要求はあるだろうが、今のままでも、十分過ぎる程の講座になっている。

となると、やっぱり、定跡をパソコンで勉強したい、気になる変化をすばやく調べたい、と言う人は、「道場シリーズ」、対局をメインにしたいと言う人は、「東大将棋5」〜「6」と言うことになるのかもしれない。

※「道場シリーズ」は、「四間飛車道場」「矢倉道場」「振り飛車道場」そして「居飛車道場」と4つある。「居飛車道場」のパッケージには、2年前の「矢倉道場」に収められた矢倉定跡を大幅に加筆・修正したほか、新たに横歩取り、角換わり、相掛かりなどあらゆる居飛車の定跡を加えた、とある。
私は、以前の「道場シリーズ」は見ていないので、それらの解説がどの程度のものかは分からないのだが、居飛車道場に関して言えば、その定跡講座は、詳細で、十分役に立つと思う。
そして、当然のことだが、今さら「矢倉道場」「四間飛車道場」を買う必要はない、と言うことも付け加えておきたい(「振り飛車道場」の発売は一年前)。
4月14日(月)   将棋ソフト「居飛車道場」part2
「ミニ感想」に、「東大将棋、居飛車道場」のことを書いたら、質問掲示板に、「このソフトは、羽生の頭脳より詳しいですか?」との質問をいただいた。

そこで今回、具体的に、羽生の頭脳を見ながら、ソフトの定跡講座を見てみることにした。

当然のことながら、定跡の内容によって、詳しかったり、そうでなかったりすることがあるかもしれないが、今回は、「羽生の頭脳9」の第2章、相横歩取りについて見てみようと思う。

この「居飛車道場」の定跡講座は、第1部:横歩取り△3三角戦法、第2部:横歩取りその他となっているので、この相横歩取りで、本と同じくらいなら、最近良く指される、△3三角戦法については、相当詳しいと言えるのではないかと思う。



この上の図が、定跡講座選択の画面。相横歩取りで、飛車を取ったところからスタートしてみよう。

△7四同歩に、早速最初の分岐点。「羽生の頭脳」では、▲8三飛と▲4六角と▲8二歩の解説がある。これに対して、「居飛車道場」では、この三つの変化の他に、▲2八歩と▲8四歩についても書かれている。

さらに、▲4六角を進めてみよう。ここで、後手の応手は、「羽生の頭脳」では、△8二歩△7三角△8二角△6四歩△8六歩の五通りが順番に調べられているが、「居飛車道場」も同じくこの五通りについて解説されている。

では、△8二角について進めてみる。以下▲同角成△同銀▲5五角までは必然。ここで、次の手は、「羽生の頭脳」では、△2八歩△2五飛△8五飛とあるが、「居飛車道場」も同じだ。ただ、△8五飛については、「羽生の頭脳」では、簡単に触れられているだけだが、「居飛車道場」はかなり詳しく変化が書かれている。

引き続き、△2八歩の変化を進める。▲8二角成△2九歩成▲4八銀△3八歩▲8一馬△3九と▲同銀△同歩成▲同金△8三飛まで一直線。但し、「羽生の頭脳」では、△3八歩で△2七角の変化について4行ほど触れているが、「居飛車道場」にはない。また、△8三飛のところでも、△3八歩について3行ほど触れているが、やはり「居飛車道場」は素通り。

ここで、「羽生の頭脳」も「居飛車道場」も3つの分岐点がある。▲8二飛と▲8六歩と▲8六飛だ。

「羽生の頭脳」では、▲8六飛と最有力として、詳しく解説しており、▲8二飛はたった4行で、先手が悪いとしか載っていない。ところが、「居飛車道場」では、▲8二飛が最有力手としてかなり深く解説されている。

これは、新たな手の発見によって、定跡の結論が変わったと言うことだろう。


「居飛車道場」にはこの後も、そんな先まで必要ないんじゃないかと思うほど先の変化まで解説されていて、非常に驚いた。

ただ、本に比べると、解説欄には、ポイントの言葉しか書かれていないので、初心者にとっては、やや読みづらいところがあるかもしれない。


さて、簡単ではあるが、本との比較はここまで。
少なくとも、最近それほど指されていない定跡である相横歩取りでさえ、本よりかなり詳しく変化が載っているので、△8五飛戦法については、当然、より以上の詳細な変化手順があるのではないかと思う(左図が△3三角戦法の目次)。

まもなく名人戦も始まるので、居飛車系統の将棋なら、このソフトを参考にしながら実況を見ると言うのも、なかなか勉強になるかもしれない。

定跡通の級位者、全ての有段者にとても役に立つ将棋ソフトが発売されたと思う。

2003年04月18日作成

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