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(17)激指4の実力

2004年12月9日、激指(げきさし)の新バージョン、激指4が発売された。ここでは、その激指4を使っていろいろと検証した結果を載せていこうと思う。

なお、検討対象としたレベルは、特に断りのない限り、強さは「四段」で、棋風は初期設定のまま。人間が指す場合は、「人間の手番の時間を利用」し、思考時間の上限は60秒とした。使用のコンピュータは、AthlonXP-M2400+、メモリ768M、WinXPで、検証中は他のソフトは起動していない(一部常駐ソフトを除く)。また、文中の段位は、全て平均的と思われる将棋センターのもの。将棋倶楽部24の段位は辛いため、もう少し下がると考えて下さい。

---目次---
(1)対局した私の感想
(2)他の将棋ソフトとの対戦(対激指3、東大将棋7)
(3)新機能について
(4)いくつかの実験
(5)結論

参考:MYCOM GAME WEB/将棋ソフトのページ/アップデートモジュール(販売後のバグ等を修正)

(1)対局した私の感想

毎回、指す前にパッケージの売り文句をまずみることになる。今回の激指4では、「仮想・升田幸三など棋風を持つコンピュータがあなたのお相手をします」とのことだったので、正直「あまり強くなってなさそう。どうせなら、激指の特徴でもある、棋譜解析をより充実させて欲しかったな」とか考えていた。

そしてまず、一局目。普通に指してみたが、「あれ?なんか今までのコンピュータとちょっと違う。読み筋(指し手)が今まで以上に合う。強さそのものは、はっきり分かるほど強くなっているような感じはしないけど、筋が良くなったような気がする。これって、棋力アップにもつながっているのだろうか?」というのが最初に持った感想だ。
そして、二局目、三局目でこの思いはさらに強くなっていく。

しかし、これが「強さ」にどの程度影響しているのかどうかはこの段階では分からなかった。たとえば、3〜4年前、コンピュータが強くなりだした時に、適当に指していて、打ち込んだ飛車を殺された経験のある有段者は多いと思う。人間なら金銀を何枚も自陣に投入してまで飛車を殺しても有利にならないということを知っているが(もちろん場合による)、ソフトはそれでも殺しに来ることが多かった。また、駒損の攻めはしないし、じり貧でも受け続けるということも多かった。

最近のソフトは、こういった欠点が徐々に少なくはなっていたが、それでも、「いかにもソフトの手」と言ったものがやはり一局で何手かは出たものだ。

私自身は、激指3の検証のところで、こう書いている。『激指3になって、さらに人間の指し手に近づいたのではないか。ソフトが指したものと言うのは、特徴があるので、ある程度は棋譜を見れば「これはソフトが指したもの」と言うのが分かったが、今回の激指3については、中盤のちょっとした感覚の悪い手を除けば、棋譜だけを見ても、ソフトが指したものと分からないのではないか、と思う。それだけ、人間の指し手に近いと言える。』

激指3の時にこう感じているが、今回激指4との対局では、激指3以上に人間の指し手に近づいたように感じた。それは、「中盤のちょっとした感覚の悪い手」さえもほとんどなくなったと言うことである。
そして、何回も指しているうちに、終盤の攻めも鋭く筋が良くなったのを感じ、やはり強くなっている、徐々にそう確信するようになっていった。


激指4と3での対戦をしている時に「これはすごい!」と感嘆した手順を見た。それは、第9戦目でのこと。


左図は、先手が激指3で後手が激指4。振り飛車穴熊対銀冠の定跡形から振り飛車がうまく陣形を乱したところ。今、激指3が▲3四龍と銀取りに引いたところだが、ここで平凡な手は△5七歩成。

もちろん平凡な手が悪いということではない。将棋とは自玉との間合いを計って、鋭く攻めるか、ゆっくりでも切れないように攻めるかを決めるのである。そして、これを正確に測れる人間が強いということになる。

自分が指し手を入れながらこの局面を見て、「とりあえず△5七歩成だな」とぼんやり考えていたら、激指4は、△5五銀と出てきた。「む!すごい手だ。▲同金に△4六馬か」と思って指し手を入れていたら、▲同金△4六馬▲7七銀と進み、「ここで歩成りを利かせて金を取るのかな」と思っていたら、△7九銀!と打ち、▲同玉に△6七歩と打ってきた。「うわっ!すごい手順。谷川の光速の寄せみたいだ!」と感嘆した。

もちろん、この手順の善悪は微妙だ。先ほども言ったように、将棋は、自玉との間合いを計って、相手玉を詰めるゲームである。この場合、自玉(振り飛車玉)はまだ遠い。このような時は、切れてしまったり駒を渡し過ぎることに気を付けなければならないので、駒をどんどん捨てて、鋭く迫る手が良いとは限らないのである。平凡ながら△5七歩成として、▲7八金に△5六とから4四の銀を取らせている間に金銀でからみつく。自玉との距離を計算して、切れないように俗手で寄せるのが正しい場合も多い。

しかし、このような手順(△5五銀から△6七歩まで)をソフトが指したと言うことに感銘を受けた。そこで、ふと思った。この手順は激指4だから指したのか、それとも最近は他のソフトでも指すのだろうか?と。

と言うわけで、この局面を他のソフトでも試してみることにした。すると結果は、次のようになった。

激指2と激指3と東大6・・・△5七歩成▲7八金△5六と

東大7・・・△5五銀▲同金△4六馬▲7七銀△5七歩成▲7八金△5五馬

なんと東大将棋7も△5五銀と指してきた。ただ東大7は、△5七歩成を利かせて△5五馬と金を取る順を選んだ。

何度も言うように、これが正解、こう指したから強い!とは言い切れない。平凡な△5七歩成も△5五銀もどちらもこの局面では正解である。しかし、今まではソフトとの対局はあまり面白くなかったのに、△5五銀から△7九銀と打ってくるような手順を指されたら、指していて面白いと感じることは間違いない(但しこの対局は、激指4が負けている。この場合の正解は、東大7の指した△5五銀〜△5七歩成〜△5五馬なのかもしれない)。

さて、過去私自身の勝手な感触段位は、「東大将棋4と柿木将棋6が、3.8段、激指1、2が4.3段、東大将棋5、6が4.6段、激指3と東大7が4.8段」である。
これらを踏まえた上で、今回の激指4の段位を表すとするなら、初の「5.0段」を認定したい。これは、この棋力の人が平均的な将棋道場に行ったら、四段にはほとんど勝ち、五段とも互角に戦えるのではないかと思うからである。

なお、今回からコンピュータを変えたが、強さに関してはあまり変わった感じは受けなかったことも付記しておきたい(激指3を両方で指した感触による)。

(2)他の将棋ソフトとの対戦(対激指3、東大将棋7)

対戦は各々10局、全部で、20局行った。思考時間の上限は30秒、東大将棋7、激指3ともに設定は四段で対戦。

第1ラウンドは、激指4と激指3の10対局(先後5局づつ)。
第2ラウンドは、激指4と東大7の10対局(先後5局づつ)。

対局方法は、一台のコンピュータに対局ソフトを二つ起動させ、人間(私)が、コンピュータの指した手を、もう一方のソフトの人間側の指し手に入れてやるという方法である(先読み機能オフ)。

そして、その結果は次のようになった。

20局全ての棋譜は次のところにリンクしてあります。

対激指3・東大将棋7の棋譜

第1ラウンド(激指4対激指3)
  先手 激指4 戦型 消費時間 激指3 戦型 消費時間 手数
第1局 激指4 玉頭位取り 8分1秒 振り飛車穴熊 5分11秒 108手
第2局 激指4 向かい飛車 5分51秒 三間飛車 4分49秒 147手
第3局 激指4 四間飛車 11分1秒 右四間飛車 9分14秒 177手
第4局 激指4 居飛車銀冠 5分38秒 四間飛車穴熊 5分1秒 175手
第5局 激指4 四間飛車穴熊 2分10秒 居飛車穴熊 2分24秒 107手
第6局 激指3 居飛車急戦 8分38秒 四間飛車 8分14秒 170手
第7局 激指3 四間飛車 12分18秒 居飛車穴熊 8分30秒 151手
第8局 激指3 横歩取り8五飛 3分23秒 横歩取り8五飛 4分9秒 108手
第9局 激指3 四間飛車穴熊 13分18秒 居飛車銀冠 10分38秒 181手
第10局 激指3 横歩取り8五飛 2分51秒 横歩取り8五飛 2分40秒 106手
7勝 3勝

第2ラウンド(激指4対東大7)
  先手 激指4 戦型 消費時間 東大7 戦型 消費時間 手数
第1局 激指4 居飛車穴熊 5分50秒 四間飛車 5分44秒 150手
第2局 激指4 横歩取り8五飛 8分58秒 横歩取り8五飛 10分29秒 126手
第3局 激指4 横歩取り 2分12秒 横歩取り 3分18秒 83手
第4局 激指4 横歩取り 1分30秒 横歩取り 2分51秒 82手
第5局 激指4 相矢倉 3分54秒 相矢倉 10分1秒 103手
第6局 東大7 力戦 7分18秒 力戦 9分49秒 145手
第7局 東大7 相振り飛車 5分53秒 相振り飛車 6分33秒 150手
第8局 東大7 相掛かり戦 2分49秒 相掛かり戦 7分33秒 108手
第9局 東大7 相矢倉 8分27秒 相矢倉 4分48秒 140手
第10局 東大7 振り飛車穴熊 5分18秒 居飛車穴熊 6分30秒 108手
6勝 4勝
※消費時間は参考程度に(途中で中断してリセットされてしまったものもあります)。

ほぼ戦前の予想通りの結果が出た。ただ10局程度なのであくまでも参考程度に。
それにしても、ソフトに指し手を入れる作業、以前は面白くなかったものだが、今のソフトは指し手もその早さもすごいのでなかなか面白かった。
これを見ると、数手先の必死も普通にかけられるようになった事が分かる。また中盤の仕掛けも果敢だ。先に損する攻めでも後になって効果が出てくると分かれば仕掛ける。まさに人間の思考に近づいたと言える。

(3)新機能について

激指4が3と違う点についてパッケージを見てみた(Webサイトにあるものとほとんど同じ)。

そこに書かれている今回の”売り”は、
『個性を持ったコンピュータと対局・・・棋譜データを学習し、「升田幸三」「天野宗歩」などの棋風を持ったコンピュータがあなたのお相手をします。最先端の統計学を駆使した歴史のロマンをお楽しみください。』と

『プロに挑戦・・・読み上げ担当の棋士・女流棋士を相手に7番勝負を挑みます。もちろん棋風は学習済み。仮想プロ棋士を相手にあなたは勝てるか?』

の二つである。読み上げや対局棋士として、激指3にいた矢内女流四段、坂東女流2級に、今回から岩根女流1級と豊川六段が加わった。また読み上げと秒読みを別の人に設定できるようにもなった。

これらの機能についての個人的な感想はあまりない。対局するのが面白いという人には遊びの要素が増えたので評価は高いだろうし(駒や写真もかなりきれい)、逆に棋譜解析くらいしか使っていない人には変わらないとも言えるからだ。

他にもメニューを調べてみると、細かいところでは少しずつ改良の跡が見られる。私が個人的に「ようやく出来るようになった」と思ったのは、詰みチェックの手順を取り込む機能である。詰みの検出そのものは非常に早いので問題はないが、激指3まではその詰み手順を盤面に取り込めなかったのだ。これは非常に使い勝手が悪かったが、これでようやく詰み機能のある他のソフト並みになったと言えるだろう。

但し611手詰の図巧100番、東大7が14秒で解いたのでこれを解かせてみたが、10分経っても解けなかった。実戦の詰みならほとんど解けそうだったが、念のため最も手数の長い「2002年の難解な実戦の詰みNo.2(47手詰)」を解かせて見たところ、東大7は1秒以下、激指4は2秒程度だった。
実戦の詰みを見つける分にはまったく問題ないが、詰将棋機能の使い勝手の良さでは柿木、早さでは東大という評価は変わらないようだ。

また、棋譜集解析であるが、今回から「棋風を学習して保存」のボタンが増えた。これにより、近くに強い人がいたり、尊敬するプロ棋士の棋譜を手に入れられる人にとっては、さらに面白い使い方ができるようになったと言えよう。


さて、激指のもっとも大きな売りである「解析機能」についての精度は上がったのかを確かめる為、先日行われた竜王戦第5局の棋譜解析と将棋センターに来ている人にもらった級位者の棋譜を解析してみた。

棋譜解析の結果画像(別ウインドウ)

竜王戦第5局の棋譜解析については、「敗着」や「疑問手」に指摘した手は、合っていないものが多い。最後の▲6四馬を悪手としたのはちょっと面白かった(▲7五金の一手必死があるのに、詰めろにした為だと思う)が、これだけを見ると、精度は良くないと感じてしまう。

やはりまだ、プロの棋譜を解析するにはさすがに荷が重すぎるのだろう。

しかし、次の級位者の棋譜解析は正確である。激指3と激指4の違いも、悪手、疑問手が多少入れ替わっているが、激指4の方が僅かながら正確と言えそうだ。
こういった棋譜解析や、対局した後の激指の指摘は、かなり正確になった。プロには参考にならなくても、四段以下のアマチュアにとっては、十分信用できるくらい精度が増したと言えよう。

(4)いくつかの実験

今回、自分が感じた「人間的な」指し手というものが、実際に生きているのかどうか、過去に行ってきた局面をもう一度この激指4で試してみることにした(なお、激指4は同じ局面でも常に同じ手を指すとは限らない。パソコン環境によっても違い、以下の指し手はあくまで私が実験して得た結果:2回試して同じ結果を得た)。


まず一つは、「東大将棋7の実力-追記」でも触れた左の局面。

その追記の部分を引用:
『 その結果、東大7は11秒で▲5五角!を指した。そして、定跡道場は3秒で▲4七金、東大6は7秒で▲4七金、激指3は5秒で▲4七飛だった。』
とその時は書いている。

激指4ではどう指すか?この局面を入れて指させて見た。当然、▲5五角を期待していたが、激指4は2秒で▲4七飛。
「うーん、この局面はダメかぁ〜」と思ったのだが、念のため、次の一手モード(長考:研究用)でもやってみた。

すると、「▲5五角が最善」と出る。なら、2秒じゃなくて、もう少し考えろよ!と言いたいんですけど(^^;

ところで、ふと、激指3でも研究用モードなら▲5五角を指すのかな?と思い、これも試した。ところが、研究用モードでも、最善は▲4七金だった。

ということで、激指4になって、明らかに変わったといえる部分があることが分かる。


そしてもう一つ。「ソフトが指すタイトル戦最終盤」の局面も入れて実験。しかし、残念ながらここで試した手順は、激指2が指した手順と同じでとん死してしまった。
確かに、すべての局面で強くなっていれば、体感でももっとはっきり分かるだろうということで、違いのない部分があることにも納得したが、この局面の最後の一手についても同じように見てみた。


その部分を引用:
『最後の▲5六玉に、羽生四冠は、△5四金と詰めろ逃れの詰めろ(必死)をかけて勝った。ところが、ここでソフトの指し手はいろいろだった。
まず、東大6は、△8二桂と打った。そして、東大5は△5四銀と打ち、激指2は△5四角だった。なお、大盤解説の森下八段は、△6四角で後手勝ちと言っていて、実は私の第一感も△6四角だった。
実際問題としては、ここでは、どうやっても後手の勝ちなのだと思う。しかし、羽生四冠の△5四金を始め、△5四銀、△5四角とも、詰めろ逃れの詰めろなのに比べると、東大6の△8二桂は、受けただけで、詰めろをかけてはいない。』

と書いているが、左の局面をこの激指4と東大7で試してみた。

すると、東大7は、羽生と同じ△5四金!を指した。そして、激指4は何を指すのかな、と思っていたら、なんと私の第一感の△6四角!
これだ!今回の激指4が非常に人間的と感じる理由の一つ。この局面はいろいろ棋風の出るところだが、この一手で妙に納得してしまった。


2004年12月の現在、竜王戦が盛り上がっている。今回ほとんど見る時間がなかったのだが、第6局だけは初めてBSを見ていた。するとそこでは何ともすごい終盤戦が繰り広げられていた。

左図は後手の渡辺挑戦者が、△5八銀としばった局面。BS解説の小林九段も「これは受けがない」と言っていたし、竜王誕生か、と思っていたが、激指4を起動して、先手を持たせて見ると・・・。
▲4五歩!と指され・・・「あれ?これどう寄せるんだ?銀は打つしかないな」と思い、自分が後手を持って以下△3六銀打▲2八玉△2六歩▲3九桂と進み、ハタと困った。歩成りから歩や銀出では足りなさそう(以下△2七歩成▲同桂△2六銀▲1八玉)。

あれ?これどうなるんだろう、と思っていたが、後から結果を見ると、なんとこの通りに進行して先手の森内竜王が受けきっていた。どうもこの進行は後手が足りないようだ。恐るべしソフト。と言っても、これは激指4だけに限ったことではない。念のため激指3でもやってみたら同じ手順を指したし、なんと激指2でも同じ手順(▲4五歩から▲1八玉まで)を指していた。必死がかかるかどうか、最終盤、これしかない受け、などの局面ではもうプロ並みになったと言えるのかもしれない。

それにしてもソフトは強くなった。今までは検討用と言ってもソフトは詰み以外には使えなかったが、こういったことを見ると、最終盤の必死かどうかと言った局面でも使えるようになってきたと言えそうだ。

(5)結論

今回も、将棋センター内で何人もの人に使ってもらいそれを自分も見ていた。そこで感じたことをいくつか。

まず、中盤まではやはり四段以上の相手だと不利になる。但し、不利と言っても、”模様が悪い”程度ではっきりとした不利ではない。これがプロ相手となると決定的な差になってしまうだろうが、アマ四段位では終盤ひっくり返せるくらいの差と言える。それだけ中盤力も上がったことを感じさせた。逆に三段以下の人だと、すきを作ってあっと言う間に攻め倒されることもあった。

駒がぶつかってからは本当に強い。終盤の入口で互角だと、勝ちきるのは五段でも大変だろう。そして最終盤、必死や詰めろのかかる局面では、もうプロ並みの力を発揮する。勝ちだな、と思ってから二枚腰、絶妙の受けをされることが何度もあった。

初段〜2級の人に二枚落ち(激指の設定:四段)で指してもらった。上手の駒組みは定跡通りこないので、これが激指4の唯一の不満である。金銀四枚を受けにのみ使っていて、攻めて来なかった。しかし、その金銀四枚をどうやって破るか、最強の頑張りで粘るので、それはそれで結構良い勉強になると思う。
ちなみにこれらの人には初段の平手、2級の平手、4級の平手とも指してもらったが、なかなか勝てない。激指4の設定は、道場段位の設定よりかなり厳しいと思う。もう少し緩めて、買った人を喜ばせてあげて欲しいが(^^;

また、終局後の敗着や疑問手の指摘であるが、これが結構正確であったのも驚きだった。形勢判断は、(今までは)まだまだ三段にも及ばないと考えていたのだが、道場の四段の人との対戦で、(対局中)自分が「これ(この一手)はまずいだろう」と指摘していた手を、局後激指4は、「敗着」や「疑問手」としてきちんと指摘していたのだ。


今回の激指4、個人的には評価はかなり高い。

棋力そのものもアップし、攻め過ぎるだろうと思うくらい棋風も攻めだ(五段相手だと時々(激指4が)切らされることもあった)。しかし、それだけに指していても面白い。また形勢判断もアップしており、棋譜解析能力も上がった。

但し、断っておきたいが、今まで激指3に勝てなかった人にとっては、その強さの違いは分からないと思う。違い自体はあくまで微差なので、たとえば、激指3にほぼ互角だった四段の人が、激指4になって僅かに負け越すようになったと言った感じの違いでしかない。

繰り返しになるが、(アマ四段以上の人にとって)今まではソフトは詰みチェック以外に使えなかったのだが、ここまで寄せが正確になり、終盤の受けも正確になれば、今後は終盤の検討にさえ使えるようになってきたと言えるだろう。そう言った意味も含め、今回の激指4は個人的には今までのソフトで最高の出来と言って良いと思う。


さて、最後に、いつものように、今後の要望を出しておきたい。

(1)駒落ち上手(特に二枚落ち)の時、ある程度は定跡通りに指すようにして欲しい。これは今回の激指4の唯一の不満であった。但し六枚落ちや飛香落ちでは定跡通り来るし、なぜ二枚落ちだけが定跡にならないのかやや不思議である(二枚落ちの場合、右金は出てこない)。指導、勉強に使えるということが売りでもある激指4なので、駒落ちの部分では平手以上に定跡を踏襲して欲しいと思う。

(2)棋譜解析、対局後の感想に、敗着、疑問手の指摘だけでなく、その理由も載せられるようになったらすごいと思う。形勢判断や棋譜解析がここまで正確にできるようになったのだから、敗着と指摘した後、「駒損が大きく敗着」とか、「ここは駒得より、このような寄せがある為疑問手」とか指摘してくれる、そこまで親切にしてくれれば、高段者がいない人たちの福音となるに違いない。

要望と言うより、こうなっていれば良いな、と言う感想はこの二点だけであった。

この二、三年のソフトの終盤力については言うまでもないほど強くなっている訳であるが、この激指4では、その終盤力に筋の良さが加わった。こうなると、(最終盤に関しては)アマ高段者ですら指し手を参考にできるほどである。

今までは、感想戦に詰み以外でソフトに聞くことはなかったが、この激指4に寄せ方、受け方を聞いても参考になるのでは、と思える。強さは変わらなくても、パソコンが早くなればそれだけ早く解答を出してくれるので、将棋センター内に置いているパソコンをこの激指4を使うためだけに買い換えたい。そう思ってしまうほど、完成された面白いソフトとなった。

2004年12月22日作成

(追記)

できるだけ早くアップするため、忙しく上記検証を書いたが、その後になって分かってきた事、良い点一つと、不満二つを新たに報告したいと思う。

まず予想以上にすぐれていた点一つ。それは、次の一手長考の高度な棋力である。将棋センター内で検討していて結論が出せなかった時、この次の一手長考に聞いてみたことが何度かあった。そしてその中には、自分達の力では見つけられなかった筋を回答してくれたものもあったのだ。

さらに、正解手が指せなかった上記「ソフトが指すタイトル戦最終盤」の局面であるが、この局面を次の一手長考で指させてみた。すると何と後手を持って勝ち切れたのである!(なお激指3の次の一手長考でも同じ手順で勝ち切った)

こうした結果を見ると、やはり単に「激指4の四段」と指すよりも、次の一手長考はかなり棋力がアップするのでないかと考えられる。最終盤においては、アマ四、五段の検討陣にプロ棋士の見解を聞くことができるようになった感じさえした。


次に不満点二つ。

その一つは、せっかくのすばらしい機能である「次の一手長考」であるが、何とこの手順を盤面に取り入れられない。これは、前の激指の詰み手順が取り入れられなかったのと同じで、ただ表示されるだけである。何とも使い勝手が悪く是非これは直して欲しいと思う。

不満二つ目は、今回時間がなくほとんど検証しなかった下位レベルについて。
下位レベルは下から12級、10級、8級と続くが、特に12級の指し方がひどい。玉の上下運動を何度もするという手順で、これは人間的な弱さにはほど遠い。せめて、駒がぶつかるまでは普通にさし、駒がぶつかってから、評価の悪い手を指させるようには出来なかったものか。
10級も12級程ではないが似たような感じがあり、8級になるとようやく普通に指すようになる。

また、この下位レベル、初段まではやけに強い感じがする。そして、10級以下が極端に弱いので、その間の8級〜2級にはかなりのレベル差があると考えられる。
人間的な弱さの追求や平均的なレベルの設定、こういったものを次回以降改善していってもらいたいと思う。

2004年12月28日追記

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