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(1)「光速の寄せ」全5冊+「光速の決め手」

データ
著者:谷川浩司  出版社:日本将棋連盟  大きさ:四六判(130*183) 全て222ページ
値段:一冊1050円 売り出し中

(1)光速の寄せ1 振り飛車破りの巻 1995年6月1日第1刷
(2)光速の寄せ2 振り飛車で勝て! 1995年9月20日第1刷
(3)光速の寄せ3 矢倉くずし初級編 1996年2月20日第1刷
(4)光速の寄せ4 必勝!矢倉応用編 1996年7月4日第1刷
(5)光速の寄せ5 寄せ手筋総集編 1996年12月25日第1刷
(6)谷川流光速の決め手 1997年1月20日第1刷

将棋タウンの古書店」内で見つける場合は、「光速の寄せ」で検索して下さい(この文字をコピーし、検索窓に貼り付けると簡単です)。
シリーズ概略
古書店内に表示した対象棋力は、(道場初段前後(24で5級前後))としたが、内容は級位者にも為になる箇所から有段者でないと難しい箇所まである。

光速の寄せ1から5までは、主に、基礎知識→手筋→実戦譜となっており、基礎知識はやさしいものから解説されており級位者向けだ。手筋は、基本的なものから少し高度のものまで様々だ。初段前後の人には特に役立つだろう。実戦譜の解説は、谷川の棋譜から取っている為、寄せの内容は難しい。ただ、分かりやすい解説でもあるので、有段者にはかなり役に立ちそうだ。

全体的に、対象棋力を幅広くしているのが気にくわないが、取り上げている基本手筋は重要なものばかりだし、後半の実戦譜も有段者に有益なので総合評価は高く良書である。
5級〜二段の人にとっては、「光速の手筋編」だけで(何度も読むことで)この本の元は取れる。有段者(高段者)の人にとっては、最後の「実戦編」の解説をじっくり読むだけで元が取れると思う。
光速の寄せ1 振り飛車破りの巻

第1章では、基礎知識として美濃や穴熊の特性を解説、また対振飛車戦の戦いのパターンを紹介している。(22ページ)

第2章の「光速の手筋編」が非常に有用(級位者から初段前後)。美濃や穴熊を攻める為の基本パターンを60問で出題している。似た問題でも良いからもっと多く収めて欲しかった気もするが、これに何度も目を通すことで棋力アップは間違いない。(62ページ)

第3章は美濃や穴熊の詰み問題を17問出題している。3級クラスの問題もあるが、全体的には有段者向けの問題構成。やや難しい。(36ページ)

第4章は終盤の実戦解説。中盤から終盤の入口までは一気に棋譜が書かれており、寄せのところで詳しい解説がある。谷川の棋譜なので当然鋭い寄せが多く、内容は難しいが有段者には有益だと思う。最後に使用した棋譜がすべて載せられている。(94ページ)

目次

第1章 基礎知識編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
●美濃囲いから銀冠へ・・・・・・・・・・・・・・・・・8
●横からの攻めに強い美濃囲い・・・・・・・・・12
●二段階に分かれる戦い・・・・・・・・・・・・・・・16
●美濃囲いの弱点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
●穴熊の固さと弱さ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

第2章 光速の手筋編・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
☆パターンを知ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
第1問〜第60問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

第3章 光速の即詰み編・・・・・・・・・・・・・・・・・93
☆詰みにもパターンがある・・・・・・・・・・・・・・・94
第1問〜第17問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95

第4章 振り飛車破りの巻・実戦編・・・・・・・・129
実戦例1 対 森けい二王位戦・・・・・・・・・・・130
実戦例2 対 安西勝一四段戦・・・・・・・・・・・136
実戦例3 対 森安秀光八段戦・・・・・・・・・・・142
実戦例4 対 森安秀光八段戦・・・・・・・・・・・148
実戦例5 対 小林健二八段戦・・・・・・・・・・・154
実戦例6 対 村山 聖五段戦・・・・・・・・・・・・160
実戦例7 対 羽生善治竜王戦・・・・・・・・・・・166
実戦例8 対 大山康晴十五世名人戦・・・・・174
実戦例9 対 三浦弘行四段戦・・・・・・・・・・・180
実戦例10 対 土佐浩司六段戦・・・・・・・・・・186
実戦例11 対 福崎文吾七段戦・・・・・・・・・・192
実戦例12 対 小林健二八段戦・・・・・・・・・・198
実戦例13 対 山中和正七段戦・・・・・・・・・・204
☆参考棋譜1〜13・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・210
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光速の寄せ2 振り飛車で勝て!

第2巻の構成は第1巻とまったく同じだ。それを今度は振り飛車側から見た、という訳。

第1章では、基礎知識として振り飛車戦の時の居飛車の囲いを解説。その特性や弱点を紹介している。級位者向け。(25ページ)

第2章の「光速の手筋編」はやはり有用問題が多い(級位者から初段前後)。舟囲い、左美濃、居飛穴と囲い崩しの手筋が60問載っている。何度も目を通せば棋力アップはこれも間違いない。(62ページ)

第3章では居飛車の囲いの詰み問題を20問出題している。やさしい問題も少しはあるが、ほとんどは有段者向けの問題構成で難しい。(42ページ)

第4章は終盤の実戦解説。1巻と同じ構成だが、こちらは谷川の振り飛車。さばき方、居飛車の囲いへの攻め方は参考になる(有段者向け)。また、最後には同じように使用した棋譜がすべて載せられている。(86ページ)

目次

第1章 基礎知識編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
●居飛車の戦い(1) 舟囲い・・・・・・・・・・・・・8
●居飛車の戦い(2) 左美濃・・・・・・・・・・・・14
●居飛車の戦い(3) 玉頭位取りと穴熊・・・20
●弱点はどこか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

第2章 光速の手筋編・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
☆パターンを知ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
第1問〜第60問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

第3章 光速の即詰み編・・・・・・・・・・・・・・・・・95
☆詰みにもパターンがある・・・・・・・・・・・・・・・96
第1問〜第20問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97

第4章 振り飛車で勝て!・実戦編・・・・・・・・137
実戦例1 対 中原誠永世十段戦・・・・・・・・・138
実戦例2 対 郷田真隆五段・・・・・・・・・・・・・146
実戦例3 対 羽生善治棋聖戦・・・・・・・・・・・154
実戦例4 対 板谷進八段戦・・・・・・・・・・・・・162
実戦例5 対 羽生善治棋聖戦・・・・・・・・・・・170
実戦例6 対 小林健二八段戦・・・・・・・・・・・176
実戦例7 対 高橋道雄王位戦・・・・・・・・・・・184
実戦例8 対 島 朗八段戦・・・・・・・・・・・・・・192
実戦例9 対 先崎 学六段戦・・・・・・・・・・・・198
実戦例10 対 加藤一二三九段戦・・・・・・・・206
☆参考棋譜1〜10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・213
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光速の寄せ3 矢倉くずし初級編

第3巻は矢倉崩しの技術書だ。構成は1〜2巻と似ているが、実戦次の一手が増えた分、他の問題が少し減った。

第1章では、矢倉囲いの基礎知識が述べられている。基本形から端歩についてや早囲いから穴熊まで、級位者向けに一通り基本を解説。(21ページ)

第2章の「光速の手筋編」がやはり役に立つ問題が多い(級位者から初段前後)。矢倉を指すなら必ず知っていなければならない基本手筋が40問に収められている。問題数が少ないのがちょっと不満であろうか。(42ページ)

第3章では矢倉囲いの詰み問題を10問出題している。元々このシリーズの詰み問題はちょっと難しいので数としてはこの程度で十分だろう。(22ページ)

第4章では、1、2巻にはなかった次の一手問題が入った。この問題は、谷川の実戦からとっており、候補手が3つ書かれている。問題は10問しかないが、難しく有段者向け。但し解説が詳しく一問一問じっくり考えれば役に立ちそうだ。(42ページ)

第5章は終盤の実戦解説。1、2巻と同じ構成で矢倉崩し編だ。矢倉を指す有段者ならかなり有用だと思う。また、最後には同じように使用した棋譜がすべて載せられている。(88ページ)

目次

第1章 基礎知識編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
●矢倉囲いの基礎知識・・・・・・・・・・・・・・・・8

第2章 光速の手筋編・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
☆パターンを知ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
第1問〜第40問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

第3章 光速の即詰み編・・・・・・・・・・・・・・・・71
☆基本は一つ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
第1問〜第10問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

第4章 実戦次の一手編・・・・・・・・・・・・・・・・93
☆実戦の呼吸を知ろう・・・・・・・・・・・・・・・・・94
第1問〜第10問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95

第5章 矢倉くずし・実戦編・・・・・・・・・・・・・・135
実戦例1 対 米長邦雄前名人戦・・・・・・・・136
実戦例2 対 羽生善治竜王・名人戦・・・・・144
実戦例3 対 深浦五段戦・・・・・・・・・・・・・・152
実戦例4 対 中原誠名人戦・・・・・・・・・・・・162
実戦例5 対 石田和雄九段戦・・・・・・・・・・170
実戦例6 対 中原誠永世十段戦・・・・・・・・176
実戦例7 対 羽生善治竜王戦・・・・・・・・・・182
実戦例8 対 所司和晴戦・・・・・・・・・・・・・・190
実戦例9 対 中田宏樹五段戦・・・・・・・・・・196
実戦例10 対 羽生善治竜王・名人戦・・・・204
☆参考棋譜1〜10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・213
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光速の寄せ4 必勝!矢倉応用編

第4巻は矢倉の応用編。第3巻の続編という位置づけだ。構成は第3巻とまったく同じ。「第三巻の矢倉くずしに比べて、やや高度な寄せ手筋を追求したのが本書の内容」(はしがき)となっている。

第1章では、矢倉囲いの基礎知識として第3巻で述べられなかったことが書かれている。(22ページ)

第2章の「光速の手筋編」がやはりこのシリーズではメインである。第4巻は矢倉応用編ということだが、問題そのものの難易度は第3巻とさほど変わらない。第3巻の40問プラス第4巻の40問を合わせて解く、ということで良いと思う。(級位者から初段前後)。(42ページ)

第3章は前巻と同じく矢倉囲いの詰み問題を10問出題。難易度も前巻と同じで有段者向け。(22ページ)

第4章は、実戦次の一手編。これも前巻と難易度はほとんど同じなので続編という位置づけだ。谷川の実戦からとっており、候補手が3つ書かれている。有段者向け。(42ページ)

第5章は終盤の実戦解説。今までと同じ構成で矢倉崩しの続編だ。矢倉を指す有段者ならかなり有用。そして、最後には同じように使用した棋譜がすべて載せられている。(86ページ)

この第4巻は、矢倉の応用編ということになっているが、難易度は第3巻とほとんど変わらない。一応続編という感じではあるが、どちらを先に読んでも構わないので、まず一冊買い、為になりそうだったらもう一冊を買う、という方法でも良いかと思う。

目次

第1章 基礎知識編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
●矢倉囲いの基礎知識・・・・・・・・・・・・・・・・8

第2章 光速の手筋編・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
☆パターン化が目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
第1問〜第40問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

第3章 光速の即詰み編・・・・・・・・・・・・・・・・73
☆粘りを封じる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74
第1問〜第10問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

第4章 実戦次の一手編・・・・・・・・・・・・・・・・95
☆終盤は易しい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
第1問〜第10問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97

第5章 光速の実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・137
実戦例1 対 有吉道夫九段戦・・・・・・・・・・138
実戦例2 対 南 芳一九段戦・・・・・・・・・・・146
実戦例3 対 有吉道夫九段戦・・・・・・・・・・154
実戦例4 対 森下 卓六段戦・・・・・・・・・・160
実戦例5 対 中原誠前名人戦・・・・・・・・・・168
実戦例6 対 加藤一二三九段戦・・・・・・・・176
実戦例7 対 中田宏樹五段戦・・・・・・・・・・184
実戦例8 対 羽生善治王座戦・・・・・・・・・・190
実戦例9 対 南 芳一九段戦・・・・・・・・・・198
実戦例10 対 羽生善治竜王・名人戦・・・・204
☆参考棋譜1〜10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・213
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光速の寄せ5 寄せ手筋総集編

第1巻から第4巻までは戦型別に終盤の手筋を解説してきたが、これはその総集編としての位置づけにある。

第1章は、基礎知識として詰めろに始まり一手スキ、二手スキ、攻め合いの計算、ゼについてなど寄せる為の必須事項が書かれている。この部分と今までの巻の手筋部分を載せるだけで「寄せの手筋168」を凌ぐ好著になると思う。(級位者〜初段)。(39ページ)

第2章はそうした寄せ合いを問題として45問で練習するようになっている。難易度は、3級クラスの問題もあるが、ほとんどが有段者向けで難しい。(92ページ)

第3章は実戦次の一手となっているが、内容は、今までの最後に載せられていた終盤の実戦解説に近い。それを問題として最初に載せて、後から解説という形式に変えただけだ。やはり谷川の実戦なので内容は難しいが、じっくり読むことで有段者には為になる部分も多い。最後には使用した棋譜がすべて載せられている(84ページ)

この本のシリーズ全体を通して言えることだが、前半の基礎知識や手筋はやさしく、詰み問題や次の一手、実戦解説は難しい。どちらも、それ相応の棋力の人には有用なだけにもう少し棋力をどちらかに絞った問題にして欲しかった。ただ、半分だけでも、この本の元は十分取れる好著である、と断言しておきたい。

目次

第1章 基礎知識確認編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
●寄せの基本知識を振り返る・・・・・・・・・・・・・・8
●寄せは手数計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
●攻め合いの計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
●ゼ(絶対に詰まない形)を考える・・・・・・・・・・・36

第2章 次の一手総まくり編・・・・・・・・・・・・・・・・47
☆寄せ合いの手筋はパターンで覚える・・・・・・・48
第1問〜第45問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

第3章 実戦次の一手編・・・・・・・・・・・・・・・・・・139
☆実戦は手筋の宝庫である・・・・・・・・・・・・・・・140
第1問 対 佐藤康光前竜王戦・・・・・・・・・・・・・141
第2問 対 高橋道雄九段戦・・・・・・・・・・・・・・147
第3問 対 阿部 隆六段戦・・・・・・・・・・・・・・・153
第4問 対 森下 卓八段戦・・・・・・・・・・・・・・・159
第5問 対 森けい二九段戦・・・・・・・・・・・・・・・165
第6問 対 脇 謙二七段戦・・・・・・・・・・・・・・・173
第7問 対 羽生善治竜王・名人戦・・・・・・・・・179
第8問 対 中川大輔六段戦・・・・・・・・・・・・・・183
第9問 対 宮坂幸雄八段戦・・・・・・・・・・・・・・189
第10問 対 青野照市九段戦・・・・・・・・・・・・・195
第11問 対 南 芳一九段戦・・・・・・・・・・・・・199
第12問 対 米長邦雄九段戦・・・・・・・・・・・・・205
☆参考棋譜1〜12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・211
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谷川流光速の決め手

この本は、「光速の寄せ」シリーズではない。しかし、本の体裁がほとんど同じなのであえてここに載せておいた。

中は、次の一手問題がメインで、難易度は難しく、ほとんどが有段者向けである。

第1章は、専門誌に連載した「創作次の一手」を56問収録している。(112ページ)

第2章は、谷川の実戦から40問を問題として出題。(82ページ)

そして第3章は、7手から15手までの詰将棋が載せられている。(22ページ)

光速の寄せシリーズと体裁は同じだが、中の構成や内容は全然違うので注意されたい。「中盤から終盤の、有段者向け次の一手問題集」と思ってもらえば良いだろう。

問題にはすべて難易度をあらわした★があり、正解したこの星の数を数えることで棋力判定もできるのが面白い工夫となっている。谷川の寄せをじっくり考えながら棋力アップを図って欲しい。

目次

第1章 創作次の一手56問・・・・・・・・・・・・・・・・・5

第2章 実戦次の一手40問・・・・・・・・・・・・・・・・119

第3章 創作詰将棋20問・・・・・・・・・・・・・・・・・・201

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