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NHK杯に見る受けの手筋
(2006年5月8日出題)

第47問(2006年5月7日:井上八段-勝又五段戦)
(問47-1)
一手損角換わりの戦型で始まった同型腰掛け銀は中盤、先手井上八段の指しやすい局面になった。
その後、後手の勝又五段が強襲をかけ、今△6六角と王手をかけたところ。こうした角の王手に対する応手は良く出現するが、「ほとんどの場合、こう指す」という形がある。実戦は深く読んで、強烈な受けを放ったが、これに読み抜けがあり先手が形勢を損ねることになった。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問47-2)
最終盤、すでに先手の玉は受けなしになり、後手に王手ラッシュをかけているところ。どちらへ逃げても詰みはなく、後手の勝ちなのだが、このような局面は良く出るので、あえて問題にしてみた。
有段者ならほぼ100%こう逃げるところなので、覚えておいて欲しい。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問47-1解答)「歩で取られる時は合駒はしない」
問題の局面、王手なので合駒するか逃げるかしかないが、合駒は△7六歩でその合駒を取られてしまう。このような場合、大抵は合駒せずに玉を8七、又は7九へ逃げるのが正着となる。
但し、井上八段は▲7七桂と移動合いをした。△7六歩には▲8五歩と取って受けきっているとの読みの元に指した訳だが、△8六銀▲6七金右△7七歩成▲同金直に△8七歩を見落としたらしい(感想戦で)。
▲8五歩みたいに完全に元を取って受け切れれば合駒することも考えられるが、ほとんどの場合、すぐに歩で取られる時は合駒しないと覚えておいた方が良いだろう(7七の地点に駒がたくさん利いている時は別)。


(問47-2解答)「駒を一枚余分に使わせる逃げ」
初心者のうちは、▲7一飛成の王手が見えて、△3二玉と逃げてしまいそうだが、△3一玉に▲7一飛成は△2二玉で全然捕まらない。△3一玉と逃げても▲3二金と捨てて▲4三銀成と追うのが筋。本譜もそのように進んだのだが、このように追いかけることが実戦では多いので、△3一玉の方が金を一枚余分に使わせるだけ得という訳だ。
本譜は金が二枚(4三の金を取るので)あっても詰まないが、実戦では、様々な場面で、金一枚使わせなかった為に詰んだ、ということは多い。
もちろん持ち駒と盤上の配置によっては、▲7一飛成が詰み、▲3二金以下の手順が詰まない、ということもあり得る訳で、いろいろな詰み筋を覚え、それを読んだ上で最善の逃げを選ばなくてはならない。
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