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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年8月4日出題)

第160問(2008年8月4日:清水女流二冠-糸谷五段戦)
(問160-1)
本対局は高校野球のため深夜に放送された。
先手清水女流二冠の▲2六歩に後手の糸谷五段の取った戦法は一手損角換わり。序盤から双方積極的に動き見応えのある攻防が続いていた。そして、今下の局面は△5五歩と突いたところ。
このまま取り込まれるのは△5六歩の垂らしが大きすぎるし、▲同歩は△同銀で次の△4六歩があり、ちょっと後手が指しやすいのかと思われた局面だったが、ここで清水女流二冠は玉の固さの違いを生かし、反撃に転じた。その次の一手とは?



(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問160-2)
今5六にいた相手の銀を4五銀で取ったところだが、ここでは▲5四銀△同飛▲4一角という攻め筋も魅力だった。しかし、これでも次の▲6四銀や▲4四角があり、先手十分かと思われたのだが・・・。
ここでいかにもプロらしい鍛えの入った一手が出た。3手後には形勢不明に持っていったその一手とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問160-1解答)「力強い金上がりで受ける」
本来金は三段目四段目と上がらない方が良いのだが、相手の駒との兼ね合い、玉の固さなどを見て、例外的に金を上げてもそれが好手になることもある。この場合も、玉は先手陣の方が固く、相手の左の金銀を考えれば3六の銀、5七の金も働いていると言える。
ここで▲5七金と上がった手が力強い一手。以下△5二飛▲5五歩△同銀▲4五銀と進んだが、このような中央での戦いであれば、玉の一路の違い、固さが大きく、先手に楽しみの多い展開と言える。



(問160-2解答)「金を投入して自陣の補強」
ここでじっと△6三金と打った手が鍛えの入った一手。さらに▲4四角に△5五歩!〜▲5二歩に△同金!といかにも受けに強い糸谷五段らしい手が随所に出て、問題局面では先手が良いのではと思われた局面から一気に逆転、突き放していった。
終盤はなんとか後手玉に食い下がろうとしたが、駒損が大きく、最後は先手玉が即詰みに討ち取られた。


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