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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年1月19日出題)

第182問(2009年1月18日:森内九段-糸谷五段戦)
(問182-1)
先手森内九段、後手糸谷五段で戦型は先手向かい飛車対後手三間の相振り飛車。陣形は先手の金無双、後手の穴熊となり、後手が先攻。それにしばらく先手が受ける展開となった。
そして、一旦後手の攻めを収めた森内九段は端攻めを敢行したが、糸谷五段も強い受けで角切りを誘って勝負に出た。今、▲7五桂と玉頭に照準を合わせ、次の▲8九香、あるいは▲8三香からの攻めを見たところ。
ここで後手糸谷五段の指した一手は何か?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問182-2)
頑強な受けを突破し、先手が勝勢になった。ここは後手玉に▲5二香からの詰みがあり、受けがなく、先手玉は詰まないのではっきり勝ちだが、△2七歩成の王手に対しどのような手を指した方が分かりやすいか。先手森内九段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問182-1解答)「催促する受け」
次に先手の攻めが▲8三香しかないのであれば、△7四歩という手は一手パスになる可能性がある。しかし、後手が何もしないと▲8三香ではなく、▲8九香とここに香を打って力をためる手があり、こうなってしまうと受けがなくなってしまう。そこでその前に△7四歩と催促したのが強い受けで、実戦にも良く出てくる。
実戦は▲8三香からかなり攻められることになるが、要の▲7五桂を取ってしまえば、後手にも駒が入り反撃の楽しみがある。



(問182-2解答)「分かりやすい手順を選ぶ」
終盤は単純なことだが、詰み-詰めろ-二手スキ-三手スキと早くそれらに到達した方が勝ちだ。ここでは後手玉は詰めろであり、ほぼ必死。”ほぼ”というのは、仮に▲5二香からの詰みを防いだとしても、▲6三歩成という簡明な詰めろが続き受けがなくなるという意味だ。
そこで先手としては、とん死さえなければ良いという読み。この場合、▲4九玉と逃げるのが一番分かりやすい。▲2七同銀と取っても詰みはないが、△同飛成となり、▲同玉△2六歩にもし▲3八玉と下がると△1六角からとん死してしまう(△1六角▲3九玉△1七角▲2八歩△同角成▲同玉△2七歩(角)成以下)。このような危ない筋、さらに実戦では王手で3二の金を抜かれるような筋に持って行かれることもあり、終盤はとにかく分かりやすい順を選ぶ方が勝ちやすい。

実戦は▲4九玉で後手に手がなく、この局面で投了となった。

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