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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年7月13日出題)

第207問(2009年7月12日佐藤(天)五段-佐々木五段戦)
(問207-1)
先手佐藤五段の居飛車に、後手の佐々木五段は最近では珍しい角道を止めた中飛車。それでも穴熊を警戒して早めに振り飛車が動き戦いが始まった。
その後、やや居飛車リードのまま終盤戦に入り、今▲6六香と銀取りに香を打ったところ。1二に龍がいる為、▲6四香と取られ△同歩と開いたところに銀を打たれてはもたないし、銀が動くのは▲6三香成がある。ここで後手佐々木五段の指した一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問207-2)
すでに先手必勝の最終盤。今△2八飛と金取りに飛車を打ち下ろしたところ。ここではどのように受けるのが正しいか。受けの一手だけを見れば難しくはないが、こうした局面では常に相手への攻めも考えながら受ける手を選ぶことになる。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問207-1解答)「反撃の味を見た受け」
受けというのは、単に受けるだけでは駒得しているなどの場合を除けば辛いことが多い。と言って銀を逃げるのは▲6三香成でもっとひどいのでここは堪えるしかないが、△5二桂とここに打ったのが反撃を見た受け。▲6四香には△同桂と取り返しながら、5六の銀取りを見ている。もっとも、本譜▲6四香の後、△同桂▲6五銀でこの局面だけを見れば後手を引いたように見えるが、▲6四銀からの攻めもありまだ先手に分の良い戦いが続いた。



(問207-2解答)「投入すべきか節約すべきか」
受ける場合に、持ち駒を打って受けるのか節約して受けるのかは常に難しい選択となる。その駒を持っていないと相手玉に迫れない場合は極力節約すべきだし、逆にその必要がない場合は、しっかり駒を投入して受けておく方が良い。
この局面は、持ち駒がなくても▲5三歩成が非常に厳しい攻めとなっている。ただ、歩成り自体は詰めろ(▲7一龍△同玉▲6二金△8二玉▲7一角(銀)△9二玉▲8二金)だが、一旦△同角と払われると詰めろが消えることに注意しなければならない。

本譜は銀を投入して受けたが、この方が(▲6八金など節約して受けるより)しっかりしている。また実戦は▲5三角と打ったが、この手自体は(銀を使ってしまうと)詰めろではないが、駒が入ると詰めろになり、駒を渡さずに詰めろをかけられないことを見越した一着となっている。
この手で後手玉に受けがなくなり、先手に金が入った局面で投了となった。


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