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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年11月9日出題)

第223問(2009年11月8日井上八段-羽生NHK杯選手権者戦)
(問223-1)
先手井上八段、後手羽生NHK杯選手権者で、相矢倉になった。先手の盛り上がりに対して後手が反発。これに素直すぎるのではと思うような手順で応じたが、研究手順だったか、形勢は難解。その後は、ずっと先手が受け切るか、後手が攻め切るかという戦いになった。今、4四の角筋を使って後手が△7六銀と打ったところ。△7七銀成▲同桂△7六歩も厳しいが、△6五銀とタダで金を取られてしまうのはもっとはっきりしてしまう。この両方の手を防ぐ一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問223-2)
後手が攻めをつなげられるかどうかギリギリの戦いが続いている。今△9四飛と9三の飛車を馬にぶつけたところ。先手が受け切れるかどうかというこのような局面で先手の取るべき態度は?先手井上八段の次の一手は何か?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問223-1解答)「盤面を占拠する金駒の役目」
ここでは▲6六銀と打つのが盤上この一手の受け。歩は二歩で打てないが、もし打てたとしてもこのような局面では銀を投入しておきたい(歩では△6五銀▲同歩に△7六歩:銀ならこの△7六歩も受けている)。なお、▲6六金引と引くのは△7七銀成に▲同玉としか取れず、△6五歩を打たれてしまう。▲5五銀とか桂を犠打で打つような手もまれに非常手段の受けとして出てくる時もあるが、ここは何より6五の金が重要な位置で、▲6六銀と打つことにより、今度はこの銀が重要な位置を占めることになる。



(問223-2解答)「大切な駒は何かを考える」

形勢判断において飛角交換は同等と考えるが、実際には飛車を取った方が良い場合も多い。しかし、この局面で▲9四馬と飛車を取るのは最悪。それは、現時点では相手の持ち駒が少ないことで先手玉への攻めが難しいという局面だからで、ここで遊んでいる飛車を角に変えられると、先手玉がいっぺんに危なくなるからだ。
そこで馬を逃げることになるが、普通は▲6六馬とこの位置に引きたい。ここが攻防ともに好位置だからなのだが、この局面に限っていれば、▲6六馬には△5三桂という手があり、6五の銀を逃げると△7四飛と成銀を取られてしまう。このような相手の次の一手も良く読みに入れて馬の逃げる場所も考えることになる。この上部の三枚の駒はいずれも大切な駒で、これを駒得なしにはがされていくと、先手玉が寄せやすくなってしまう。

本譜はこの後も、後手が攻め切れるのか先手が受け切れるのか難しい戦いが延々と続いた。しかし後手の攻めを完全に切らすことが出来ず、6五の位置を占拠していた先手の銀は、桂香との交換になり、最後は△6五金と逆にこの位置に金を打たれ、勝負が決まった。


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