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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年6月14日出題)

第253問(2010年6月13日伊藤(真)四段-阿部八段戦)
(問253-1)
先手伊藤四段、後手阿部八段で、先手のゴキゲン中飛車の出だしで始まった。その後、双方が穴熊に入り、相穴熊へと進んで中盤は細かい駆け引きが続いた。
その中盤に金を引きつけ固めた先手が飛車を切って猛攻に出ると、先手の攻め、後手の受けで戦いが進行していった。今▲4二角成と一枚の角を切り、△同金に▲3二歩と垂らしたところ。次に▲3一歩成と成られては攻めがつながってしまうがここで指された後手阿部八段の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問253-2)
攻めもぎりぎりだが、受けも手の広い局面が多く難しい終盤戦。今、▲4三金と放り込み、△同飛に▲5二銀と両飛車取りをかけたところ。ここではどのように受けたら良いか?ここでも後手阿部八段の指した一手を。
(難易度・・・



(これより下に解答)

(問253-1解答)「玉の側のと金を許さないこと」
穴熊に限らず、玉の側にと金を作られるのは非常に痛いので、ここでも▲3一歩成を防ぐいくつかの手を考えることになる。たとえば、△3二同金。これは感想戦でも触れられたが、以下▲4一銀△8二飛▲3二銀成△同飛▲4三金△8二飛▲3一角成△2二銀▲6四馬△5九飛。本譜より良かったのではとの話であったが、実戦は△6一飛とここに飛車を打って▲3一歩成を防いだ。もっともここで▲3一歩成なら△6四歩と止めるのだが、これは切らすことが出来る(△3一同飛は▲4三銀)。そこで実戦は△6一飛に▲4二角成から▲4三金と強襲することになった。


(問253-2解答)「玉の側のと金を許さないこと part2」
ここでは初心者なら△4二飛と引くのは自然な一手に見える。しかし、有段者ならまず駒損をしないように△4一飛引とここまで引く手を考えるだろう。将棋は駒損しないことが第一だが、ここで△4一飛引と引くと▲同銀成△同飛に▲3一飛と打たれ、△同飛▲同歩成とここにと金を作られてしまう。
玉の側にと金を作られないということは常に大切なことで、この局面では、駒の損得以上に大きいということだ。もっとも、実戦は、と金こそ作られなかったもののやはり飛車も大きく、先手が一方的に攻め続けることになった。

本譜はこの後、▲6一銀不成△3二飛に、単に▲4一飛と王手した手が▲4三飛成の金取りを見て厳しく、細い攻めをつないだ先手が攻めきることに成功した。
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