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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年7月5日出題)

第256問(2010年7月4日日浦八段-松尾七段戦)
(問256-1)
先手日浦八段、後手松尾七段で、角換わり棒銀対早繰り銀の戦いになった。
下図は、中央での折衝から先手は銀を6三まで進めることに成功し、かわりに後手は手番を取って△5五角と打ったところ。桂香両取りなので、同時に受けることは出来ないが、このような局面での受け方とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問256-2)
上図から少し進み、▲4五桂に△4四銀と逃げた為、今▲2四歩と飛車先の歩を切ろうとしたところ。自然な応手は△同歩だが、▲同飛△2三歩に▲3四飛△3三歩▲4四飛△同歩▲5三桂成と殺到される危険がある。そこで指された後手松尾七段の一手は?
(難易度・・・



(これより下に解答)

(問256-1解答)「受けの基本-角には角」
この局面で△3七角成と王手飛車をされながら成られてはすぐに終わってしまう。そこでこちらを受けて△9九角成を甘受する手も局面によってはあり得るが、この局面は8二に飛車がいる為▲4六角と合わせるのがもっとも自然な受け。これで△同角▲同歩となり歩を伸ばすことで、再度の△5五角を甘くしている。なお、▲6四角と打つのも一つの受け方だが、△同角▲同成銀に再度△5五角を打たれると変わっておらず、むしろ成銀が敵玉から遠のいただけ損になっている。
このように角には角を合わせるという受けはいろいろな場面に出てくる基本の受けだ。


(問256-2解答)「飛車先を受ける手筋の角」
▲2三歩成と単純に成られてはいけないし、だからと言って△同歩と取るのは▲同飛から乱暴されるかもしれない。そこで松尾七段は△4六角と飛車取りに出てこの筋を受けた。本譜▲2七飛と逃げるのは、そこで△2四歩と手を戻せば角が利いている為▲同飛とは取れない。
ただ、△4六角には飛車取りを放置して▲2三歩成と強襲される手は読みに入れる必要がある。感想戦でも話されたこの筋は、ギリギリ後手が残しているとのことで、結局▲2七飛から△2四歩で難しい終盤戦へと突入していった。

本譜は▲5三桂成と5三の歩がなくなった為、△5六歩の反撃が厳しく、また受け方ももう少し工夫の余地があったかもしれないが、△5八歩から△5七歩と厳しく攻められ、一気に寄せきられてしまった。
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