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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年9月20日出題)

第267問(2010年9月19日 村山五段-糸谷五段戦)
(問267-1)
先手村山五段、後手糸谷五段で戦型は一手損角換わり。先手が早繰り銀、後手が腰掛け銀で対抗するという定跡形で中盤過ぎの駒交換まで一気に進んだ。
終盤に入り、激しい攻め合いになり、下図は今△6九銀と金取りに銀をかけたところ。この手が詰めろかどうか。そしてもし詰めろと判断した場合の受け方は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問267-2)
上図から数手進み、局面と持ち駒が少しずつ変わっている。そして同じように△6九銀と打った時に、今度は先手が▲2二飛と王手したところ。詰んでしまってはもちろんダメだが、王手されながら幸便に3六の角が抜かれても後手が勝てない。そこでこの王手にどのように受けるべきか。ここで指された後手糸谷五段の一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問267-1解答)「受けの基本-金駒には金駒」
まず△6九銀が詰めろになっているかどうかだが、この手は詰めろ。△7八銀成▲同玉に△8六桂がこの場合の手筋で、▲8六同銀と銀を移動させてから△6九角打と打てば金二枚で詰むという仕掛け。この△8六桂は有段者ならひと目だが、このような矢倉の囲いにおいては良く出現するので手筋として覚えておきたい。
そしてこのような形での受けは、金を持っている場合、ほとんど金を埋める手になる。▲6八金とかわすのは、相手に何の持ち駒もないような時以外は危ないと思っていた方が良い。


(問267-2解答)「実戦版”凌ぎの手筋”-中合いの歩」
ここで△3二歩の中合いが絶妙だった。5二へ合駒したり△6三玉と上がるのは▲6一飛成があるので、△5三玉の一手かと思っていたが、以下▲5四銀打△4四玉に▲2四飛成があって危ない。この最後の▲2四飛成を消したのが△3二歩の中合いという訳。
大駒を近づけたり、香に対する中合いは実戦でも時々出るが、このように大駒の数手後の利きを消す中合いというのは珍しい。

本譜は、「この手があるなら(数手前からの攻めは)別の攻めをすべきだった。」との感想があったが、後手玉は追われながら中段に逃げ込み、最後は△8六桂の筋で先手玉を即詰みに討ち取った。
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