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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年10月18日出題)

第271問(2010年10月17日 小林(裕)六段-島九段戦)
(問271-1)
先手小林六段、後手島九段で相矢倉の出だし。しかし、先手の陣形を見て、後手の島九段が中飛車から急戦を仕掛けた為、早い段階で戦いが始まった。
下図は、△5六歩▲同銀に△5七歩と垂らしたところ。ここで、実戦は攻め将棋らしく▲5四歩と打って反撃しようとしたが、これに構わず△5五銀左と出られて後手の猛攻を食ってしまった。感想戦で話されたここでの最も良い受けとは何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問271-2)
この将棋は早く終わり、40分程度あった残りの時間は感想戦に使われた。その為、様々な受けが検討されたが、下図△6七銀成と金を取った手に対し、実戦は意表の▲8六角。解説では、絶対の一手と言われていたここでの次の一手は何か?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問271-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
たびたび出てくる玉の早逃げ。ここでも、単に▲7九玉と戦闘地域から遠ざかっておくのが頑張れる一手だった。
△5七歩に対しては▲5九歩と受けておくのもある意味手堅い一手だ。ただ、5筋に歩を打ってしまうのは、攻めの中心ともなるべき▲5三歩と叩けなくなるのが痛い。感想戦では、▲5四歩と垂らし、もし△同飛ならそこで▲7九玉と寄っておくつもりだったと言っていたが、▲5四歩の瞬間に△5五銀左から殺到されて形勢を損ねた。


(問271-2解答)「玉の側の金銀はタダで取られないこと」
すごく基本的なことだが、玉の側の金銀をタダで取られてはいけない、と言う事は、初心者脱出の頃(10級位)にはもう分かってくることだ。ここでも解説で言っていたように▲同金と取るのは絶対と思われていた。
ところが実戦は▲8六角。悪いことを自覚してかなりひねった勝負の受けで、もし△7八成銀▲同玉△6六銀なら▲6七歩で持ち堪えようと言うもの。しかし、△5八歩成からの攻めの組立てが好手順で、あっと言う間に寄せられてしまった。
感想戦でも検討されたように、ここではやはり▲6七金と取る一手。△6六歩には▲7七金。△6六銀には▲同金△同角▲7七銀で、先手の方が悪そうだが決められるまでにはまだ難しいところがあったようだ。

本譜は、華麗な手順で寄せ形に導くと、最後もきれいな11手詰の「実戦の詰み」で締めくくった。
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