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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年12月10日出題)

第378問(2012年12月9日 屋敷九段-畠山(鎮)七段戦)
(問378-1)
先手屋敷九段、後手畠山七段で戦型は相矢倉。但し、双方相手を見ながらの駒組みで序盤から微妙な駆け引きがあった。そして先手は4筋、後手は7筋から仕掛けて今、角交換後△9二にいた飛車に当てて▲8三角から▲7四角成と成り返ったところ。銀と桂の両取りでもちろんどちらも単純に取られてはいけない。ここで指された後手畠山七段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問378-2)
激しい攻め合いに突入したが、どちらも持ち駒はあまりない。今、△8八歩と後手から手裏剣が飛んできたところ。このような歩に対してはその時々の状況で対応が変わるので応手は難しいが、ここで屋敷九段はどのように応対したか。先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問378-1解答)「攻めを見据えた受け方」
ここで畠山七段の指した一手は△8四角。この一瞬は働きが悪そうだが、次に△6六銀を見て、これを受ければ実戦もそう進んだように、△6四歩から△6五歩の攻めを見た攻めの手でもある。問題図で、両取りを単に受けるだけの△6四銀などでは、▲6三馬と潜り込まれるとさらに銀取りを受けなければならず、また攻め味もなくなり一方的になってしまう。受ける場合でも常に攻め味を見せながら受けることを考えたい。

(問378-2解答)「歩の取り方」
△8八歩のような手筋は頻繁に出現し、また対応も難しい。屋敷九段は▲8八同玉と玉で取って、この後の激しい攻め合いを選んだ。このような場合、応手は三つ。金で取るか玉で取るか手抜きをするか、だ。基本的には玉の右から攻められそうな時は、壁金にならないよう玉で取り、上部から攻められそうな時は金で取る。また攻め合って一手勝ちを見込めるなら手抜くと言ったところ。ただ、実戦はちょっとの配置の違いによって正解も変わるので難しく、その時々で正確な読みを必要とする。

本譜はまさに一手争いの攻め合いになったが、最後は先手が長手数の詰みを読み切り即詰みに討ち取った。
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