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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年12月17日出題)

第379問(2012年12月16日 佐藤(天)七段-稲葉六段戦)
(問379-1)
先手佐藤天彦七段、後手稲葉六段で戦型は相矢倉。それも、矢倉3七銀戦法の本道とも言うべきガップリ四つの矢倉戦となった。そして、仕掛けは後手が端を突き捨てて始まり、その後手の攻めに乗じて先手も反撃、下図は今▲5三金と張り付いたところ。一手でつぶれるような手があるわけではないので、何を受けるのか難しい局面だが、ここで指された後手稲葉六段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問379-2)
先手の角損の攻めが炸裂。一気に優勢になり後手玉を追い詰めている。下図は、7三にいた角を△5一角と引き、一旦2四の地点を受けたが、▲3三歩とまた遮断され、やはり次に▲2四金△同歩▲同成銀の詰みを見られているところ。この局面は、もう受けがないので、投了かと思っていた所だが、実戦はもう少し続いた。ここで指された後手稲葉六段の指した次の三手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問379-1解答)「質駒をかわしておく受け」
ここで稲葉六段の指した一手は△1四銀。実戦で指すのは難しそうだがひと目良さそうな一着。現時点、先手は駒不足。しかし▲1五香と歩を手に入れたり、▲1三角成と銀を手に入れる手が常にある。そこでこの角切りをかわしつつ1五の歩を守っておく△1四銀が感触の良い受けになっている。
実戦は、これで攻め続けるのが難しいように思えたが、実際は角損の強烈な攻め筋(▲3五歩△同歩▲同角△3四歩に▲4三金から▲4四銀の強襲)があり、先手優勢になっていった。

(問379-2解答)「楽に勝たせない凌ぎ」
実際は凌いではいないので、凌ぎの問題としては不適切だが、ここで指された△3五銀打は、見ていて「すごい!」と思わせる一着。▲同成銀に△3三銀が読み筋。
本譜、数手前▲4三銀としばった所で、事実上受けはなく、先手を持っていれば楽勝と思ってしまいそうだが、△2二玉の早逃げからこの△5一角、△3五銀打〜△3三銀は、正確に寄せないと逆転されるなかなかの粘り方。将棋は特に終盤に逆転するゲームなので、(正確に指されれば寄せきられるとは言え)このような受け方は参考になる。

本譜はしかし粘る後手に逆転の余地を与えず、最後は後手玉を即詰みに討ち取った。
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