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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年1月21日出題)

第383問(2013年1月20日 藤井九段-森内名人戦)
(問383-1)
先手藤井九段、後手森内名人で戦型は相矢倉(この一戦の前に角交換振り飛車で千日手になっている)。この指し直し局は、藤井九段得意の片矢倉(藤井矢倉)。先手の利を生かし先攻したが、森内名人に巧みに反撃されると先手陣の薄さが目立つ格好になった。
下図は、今▲4三銀と拠点に打ち込んだところ。このような局面ではどのように受けるのが良いか。後手森内名人の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問383-2)
後手の馬が強力で後手陣を攻めきれなかった。今△5七金と張り付かれた所。すでにあまり受けようもなく、先手劣勢。しかしそれでも最善に粘るにはどうするか。先手藤井九段の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問383-1解答)「拠点の歩を払う」
習い始めの初心者に、八枚とか六枚落ちとかで見る光景は△4三同金▲同歩成とと金を作られてしまうこと。また手抜いて▲3二銀成から▲4三金と上部を押さえつけられてしまうのもまずい。こういう局面では、級位者の人でも、まず△4四金と拠点の歩を払う所に目が行って欲しい。実戦もそう進み、▲4二銀成△同玉となり後手玉はかなり安全になった。

(問383-2解答)「米長玉で凌ぐ」
ここで藤井九段の指した一手は▲9八玉。いわゆる米長玉だ。この手は、戦場から遠ざかると同時に空いた8八の空間に駒を埋めて受ける手も可能にしている。最終盤、先手玉に詰めろがかからなくなった時、もし後手玉にもう少し迫っていれば逆転の可能性も生じることになる。

しかし本譜は後手玉への寄りつきがない状態だった。もう少し差が小さければ米長玉も生きる展開になるのだが、後手陣は広すぎて捕まらず、この後数手で先手の投了となった。
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