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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年5月13日出題)

第397問(2013年5月12日 中川八段-松尾七段戦)
(問397-1)
先手中川八段、後手松尾七段で戦型は横歩取りの出だしから相掛かり戦。双方腰掛け銀に組んだ後、先手は組み替え右玉に。しかしどちらからも手出しの出来ない局面が続き一旦は千日手も懸念された(実際、同一局面が四回生じたようだが続けられた)。その後、穴熊に組み替えた後手玉の端を攻め戦いが始まった。下図は反撃され今△1九飛と王手をされたところ。非常に厳しい王手で、受ける手段は少ない。ここで先手中川八段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問397-2)
後手の良かった局面というのが長かったと思うが、その攻めを凌ぎ、今先手が▲1三歩と手筋のそして待望の攻めを開始したところ。▲1二金の一手詰なので受けるしかないが、どのように受けたら良いか。後手松尾七段の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問397-1解答)「大駒は近づけて受けよ」
ここで▲3九金と単に受けるのは、△1八香成から△2八成香が早い攻めでとても勝てない。そこで▲5八玉は仕方ないように見えたが、△8九飛成に▲7九金打と打つのでは辛すぎるとして、実戦は▲2九歩と「大駒は近づけて受けよ」の手筋を放った。これは実戦もそうなったが、△同飛成と取れば、▲3九金と当てて先手を取るもので、一歩で一手を稼いだ計算になる。
しかし歩切れになったのも痛く、後手優勢のまま終盤戦が続いた。

(問397-2解答)「敵の打ちたい所へ打て」
穴熊への攻めとしての▲1三歩はまさに手筋というべき一着。これに△同桂は陣形が弱体化して▲6一飛など横から攻められると早い。そこで△1二歩と「合わせ歩」で受けるのがこういう場合の手筋。一歩を損し、さらに玉をつり出されるので辛い手ではあるが、これ以外に適当な受けはない。

本譜は、この後も大熱戦になった。最後は詰めろ逃れの詰めろをかけた先手に対し、詰ますか大駒を取って自玉の詰みを防げば勝ちという局面になり、松尾七段が長手数で先手玉を詰ませることに成功した。
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