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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年7月1日出題)

第404問(2013年6月30日 村山六段-阿部(光)四段戦)
(問404-1)
先手村山六段、後手阿部光瑠四段で戦型は先手の居飛車穴熊に後手は角道を止めた普通の四間飛車。後手が2筋を逆襲したのに対し、先手は中央を一旦制圧、そこから大さばきへと進んだ。その結果、駒損なしで先手を取った村山六段がややポイントを上げたかと思われたが、歩のない所を徹底して突き、局面は混沌、難解な終盤戦へ突入した。
下図は▲6九桂の受けに、1九にいた龍を△5九龍と近づいたところ。▲9五銀と桂を取って良しなら簡単だが、△6八龍▲同金△7九銀はうるさい攻め。そこでどうするか。ここで指された先手村山六段の次の一手は?三手一組の手順で。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問404-2)
後手の詰めろが途絶えた瞬間、先手が詰めろの猛反撃。今▲6一銀とかけた所で、もちろん▲7二銀成からのやさしい詰み。一方先手玉は△8八金から精算してもまだ駒が足りない。ここで後手阿部四段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問404-1解答)「大駒を切って一枚自陣に入れる」
持ち駒に金を持っていればすぐに入れる所だが、その駒がない。しかし、▲6一角成と角を切ればその金が入る。という訳で、実戦は▲6一角成△同金に▲7七金打とした。三手目の金打ちは7八か6七か実戦の7七かは迷う所だが、角に当てないと先手になっていないし、6七では△8八角成とこちらを切られる。
実戦はこれに対しても△7七同角成と切って、▲同銀に△4四角と歩のない所を徹底して突き、難解な終盤戦は続いた。


(問404-2解答)「稀有な”かわす受け”」
▲6一銀に対し、△7一金打と持ち駒の金を一枚入れるのは、自然だしむしろそれが普通だ。しかし、実戦は△6二金。金駒の取りに対し、「逃げる」と言うのも、普通の受けではあるが、この局面のように、その金の他に一枚も玉を守っていない場合は、逃げる手はほとんどダメなことが多い。しかしこの局面はこれが最強の受けだった。

本譜はこの後▲5二香成が「限りなく詰めろに見える手」。対して△5七角が後手玉の「詰めろかもしれない手順」を完全に消した「詰めろ逃れの詰めろ」と30秒将棋の中、魅せる将棋が続いた。しかし最後、△9四歩と桂を取った手が、「安全にしつつ詰めろをかけた手」に見えたようで、実際は先手玉の詰めろになっていなかった。結局最後は、先手玉を追いかけたが捕まえることは出来ず、この熱戦は先手の勝ちで終わった。
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