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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年10月28日出題)

第421問(2013年10月27日 羽生三冠-木村八段戦)
(問421-1)
先手羽生三冠、後手木村八段で戦型は角換わり腰掛け銀。先手が良くある仕掛けをしたが、僅かに違う形から攻めが通るかどうかは難しい応酬が続いた。後手も歩を蓄えつつギリギリで受けており、下図は危ない形だがここを凌げば先手の歩切れが利いてきそうだ。今、▲5六香と角取りに打たれたところで応手は悩ましい。ここで指された後手木村八段の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問421-2)
△7六歩に対し、一本▲1四歩の王手を利かし、△2二玉となったところ。ここで羽生三冠はどのように指したか?

「歩で、玉の側の金銀を王手で取られてはいけない。」とは自分が良く級位者の人に言っていることであるが・・・。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問421-1解答)「角に当て返して凌ぐ」
△5四角を逃げることを考えるのは自然だ。しかし逃げ場所も難しく、仮に逃げても▲1五香を決められ、▲4二角成から▲5三香成と攻められてしまう。そこで、木村八段の指した一手は△3二金寄と△4二の金を角に当てた手でこれが好手だった。実戦、▲5三角成を見て△4三角と逃げることで、今度は自分の馬がいて▲5三香成とすぐには成れない。▲6四馬には△7三銀と当てて、結局▲5六の香を取ることに成功し、後手の桂得、玉も安定し、だいぶ盛り返したかに見えた。

(問421-2解答)「根元を攻めながら一手勝ちを読み切る」
銀を取られないように、▲6八銀と逃げるのは自然で、通常それが悪手になることは少ない。しかし、△8六歩から△4三角の利きも使われ猛烈に攻められるかもしれない。
ここで羽生三冠の指した一手は▲4四歩。これは▲4三歩成と成ってもまだ王手ではないので一瞬遅いように思える。しかし、△7七歩成▲同金△7六歩に▲4三歩成で一手勝ちと見た強烈な一着。

本譜は、その羽生三冠の読み筋通り進み、最後は後手玉を長手数の即詰みに討ち取った。
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