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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年2月24日出題)

第438問(2014年2月23日 屋敷九段-大石六段戦)
(問438-1)
先手屋敷九段、後手大石六段で戦型は後手の角交換振り飛車。後手のダイレクト向かい飛車に先手が▲3七銀から▲4六銀型を取ると、後手も同じように△4四銀型にし、囲い以外は同じような形になった。
そして、先手が玉頭位取りから8筋を交換した直後、後手も△4五桂から動き、戦いが始まった。
下図は今△2一にいた飛車を△4一飛と回ったところ。次に△5二金が見えているので、▲4五の銀取りと△4七への飛車の成り込みをどのように受けるかと言うところ。実戦は、▲3四銀と出て、△5二金に▲4八金と受けたが、△5五歩から動かれ苦しくなった。解説や感想戦で話されたここでの受けの正解とは?三手一組の手順で。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問438-2)
終盤、角金交換の駒損ながら、その角一枚を押さえ込み、先手の▲3四銀も遊んでいることから、後手優勢のまま玉頭戦へと局面は移っていった。
下図はその最終盤。お互い玉頭の急所を叩き、詰み-詰めろのまさに一手争いという局面。今、△8六歩に▲9七玉と逃げて、先手玉は銀一枚では詰まない。後手玉は▲8三歩成△同玉に▲6一角で即詰み。そこで後手はどうするか?ここで指された後手大石六段の次の一手は?詰めろが来ないような手、もしくは駒をもらって詰めろが来た時には先手玉を詰められるような手を選ぶ必要がある。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問438-1解答)「七段目(三段目)の飛車」
ここでは、一つ▲2七飛と浮き、△5二金に▲4六歩と突き出す形が味良くスキがない。飛車というのは、多くの場合、▲2八が安定し、▲2六の浮き飛車も良く指される。また八段目(二段目)には利かないものの下段飛車(▲2九飛)も安定はしている。
しかし、このような七段目(三段目)の位置の飛車は珍しい。これもきれいに歩が六段目に進んでいるから生まれた手で、柔軟に考えられないと浮かばない手だ。

(問438-2解答)「駒損より読み」
詰みの局面では、良く大駒を切ることがあるが、玉が詰むかどうかではもう駒の損得は関係なくなる。ここでも自玉と相手玉が詰むかどうかなので、駒損になるかどうかをほとんど考える必要はない。
そこで△8四金と歩を払った手が読みの入った一着。△9三金と逃げるのでは、△6六に金の質駒があり後手が勝てない。もし△8四金に▲同桂なら詰めろにならないので、先手玉に詰めろをかけて勝ち。

本譜は、後手玉に詰めろをかける為、▲7一銀と捨てて△同玉に▲8四桂と取ったが、今度は銀を渡してしまった為、△8七歩成▲同玉△8六銀と打たれ、先手玉は詰み。中盤で得た有利さを、多少縮められながらも逆転されることなく後手の大石六段が一手勝ちで勝利した。
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