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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年11月3日出題)

第473問(2014年11月2日 菅井五段-増田六段戦)
(問473-1)
先手菅井五段、後手増田六段で戦型は先手中飛車からの角交換振り飛車。双方共に銀冠に組み、動きの難しい中盤戦の後、先手が動き少し局面はほぐれた。しかしまだその途中で、今▲6一角と打った所。この角、何もしない場合の狙いが一つあり、激しい動きには反撃しようと置いた角で当然だが簡単には捕まえられない。ここで後手増田六段の指した一手は何か?先手からの狙いを見破りその手を軽くいなす一手とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問473-2)
左辺でのやりとりから一転、後手が玉頭戦を仕掛けて戦いは右辺へ移っている。△3五歩▲同歩△3四歩の合わせ歩に▲同歩。そして3五の地点を開け、今△3五桂と打ったところ。ここで先手菅井五段の指した一手は何か?実戦で指した手は、玉頭戦ゆえの一手とも言える。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問473-1解答)「相手の狙いをいなす受け」
問題図はかなり筋悪だが▲8三桂と打つのが一つの狙いになっている。もちろん、後手から動いてもう少し早い攻めがあれば手抜いて攻め合うところだが、そうした攻めが見えない。そこで▲8三桂からの攻めに対応したのが実戦の△9三香。
香を逃がしたことで、▲8三桂を余計に打ちづらくした訳だが、実戦はそれでも▲8三桂を敢行。ただ、△6二銀▲9一桂成△5三銀となると先手の攻めを軽くいなした格好になり、後手が指しやすくなった。

そして後手はその駒を持って、玉頭戦を挑んでいき、少し有利なまま終盤戦へ入った。

(問473-2解答)「玉頭戦の基本-拠点確保」
玉頭戦になると、駒の損得よりその玉頭を制することの方が大切になりやすい。すなわち五段目の拠点をどちらが確保するかがそのまま優劣に直結するということ。
ここでは王手で桂を取れるので、▲3三歩成と駒を取るのは自然だ。しかし、△同飛で働いていない飛車を使われることになるかもしれない。菅井五段はそれよりも▲3六香として、とにかく3五の地点の奪還に向かった。

本譜は、△4七桂成▲同金に△3四銀▲3五歩△同銀といかにも玉頭戦らしい応酬が続いた。そしてそのまま後手が寄せ切るかと思われたが、一瞬のスキを突き体を入れ替えると、最後は後手玉を即詰みに討ち取ることに成功した。
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