将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2015年3月9日出題)

第490問(2015年3月8日 行方八段-橋本八段戦)
(問490-1)
先手行方八段、後手橋本八段で戦型は後手の角交換振り飛車。後手は四間飛車から△3五歩△3四銀型に組み、向かい飛車に転進。対して先手は2筋を謝った代わりに7〜9筋の位を取り大上段に構えた。
下図はまだその中盤。局面は煮詰まっているが動き方が難しい。後手はすでに自分から動くつもりもなく、先手が打開できるかどうかというところ。今、▲9八香と上がって、様子を見ながら将来の局面によっては端から攻める筋も見せたところ。ここで、後手橋本八段の指した一手は?特にこの手が正解という訳ではないが、次の一手は有段者としては感覚的にそのように指したいところでもある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問490-2)
先手が中央の歩を切れたのは一つのポイントと言える。しかし、依然仕掛ける手は難しく、▲4五歩と突くのは、△2六歩▲同歩△2七歩と叩かれて、△2六飛が角に当たってしまう。そこで仕掛ける前に一手自陣に手を入れて、後手からの攻めを未然に防いだ。先手行方八段の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問490-1解答)「危険地帯から離れる」
ここで橋本八段の指した手は△7一玉。すぐに端攻めが来る訳ではないので、今すぐ動く必要はないが、△5五角〜△7四歩の筋も受けつつ一旦△7一玉と引いておくのは手待ちの手としては自然な一着だ。

本譜は、先手の行方八段が▲5五角とゆさぶりをかけた。しかしそれでも仕掛けが成立するかどうか難しい局面のまま進行していった。


(問490-2解答)「相手の攻め筋を防ぎ、次に攻める手を見せる」
すぐに▲4五歩と突くのは問題文に書いた通りまずい。そこでその筋を防いだのが▲6七銀。これで角にヒモを付け、次の▲4五歩を見せた。実際にはそう突かれてもまだ難しそうだったが、ここで後手の橋本八段は薄くなった角頭を狙って、△6四歩と動き、ここから一気に戦いへと入っていった。

本譜は中央〜玉頭での戦いが忙しくなり、△2六歩からの反撃が間に合わない展開に。結果、後手橋本八段苦戦の中盤戦となったが、92手目まさかの二歩による反則負けで勝負の決着がつき、先手の行方八段が決勝に進出した。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ