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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年3月16日出題)

第491問(2015年3月15日 甲斐女流二冠-香川女流王将戦)
(問491-1)
今回は、来期のNHK杯に出る為の女流枠の一戦。先手甲斐女流二冠、後手香川女流王将で戦型は相振り飛車。但し序盤はかなり変わった出だしで、いきなりの力戦形になった。
そして中盤、△3五銀から△3三桂と攻撃態勢を整える後手に対し、先手はいきなり▲6五桂と跳ねて先制攻撃を放った。単純な狙いは▲5三桂不成で、もちろんこれは防がなくてはならない。ここではどのように防ぐのが良いか。後手香川女流王将の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問491-2)
先手の攻めが決まったかと思われる所から、後手の猛反撃が始まった。2筋の歩を切って、歩の連打で玉形を乱し、今△8九飛と打ち込んだところ。先手も当然これは読み筋で、次の手で凌げると読んでいるから△2八歩に▲同玉と取っている。ここで指された先手甲斐女流二冠の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問491-1解答)「手損でも桂取りを見せる」
5三の地点を受けるだけならいろいろな手はあるが、実戦のように△4四銀と引いて守っておくのがしっかりした一着。一旦出た銀なので手損にはなるが、次の△6四歩を見せているので、攻めをせかしている意味もある。

ただ実戦は、▲9五歩に(▲7四角の筋を気にして)△6四歩とは突かなかった。そのため、先手の攻めが炸裂。先手が一本取った形で終盤戦へ入っていった。


(問491-2解答)「両取りを防ぐ唯一の手」
▲4九の金と▲8八の銀取りを同時に防ぐには、▲7九角と打つよりない。この両取りを防ぐ唯一の手だ。ただ、部分的にはものすごく形が悪く筋の悪い一着とも言える。もし7、8筋に歩が利くだけでも、△7八歩や△8七歩がありいっぺんにダメにしてしまう。後手の持ち駒が一歩しかなく、受け止められると考えての「場合の一着」と言える。

本譜はそれでも△2五歩から先手の玉頭に襲いかかった。端もからめ、かなり際どい所まで追い込んだが、▲8三成桂から▲6五桂の攻めも厳しかった。そして最後、先手玉は追われて▲9三の地点まで逃げていったが、後手の攻めを余し、先手の甲斐女流二冠が来期NHK杯出場を決めた。
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