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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年9月28日出題)

第518問(2015年9月27日 飯塚七段-戸辺六段戦)
(問518-1)
先手飯塚七段、後手戸辺六段で戦型は後手のゴキゲン中飛車に先手の超速。4筋で銀がにらみ合う定跡から後手は△7二金△6二銀型に組み、先手は左銀も繰り出し二枚銀で押さえ込む態勢を作った。そして▲4五桂から開戦。先に一歩得を果たした先手だが、後手も△6五銀と先手の玉頭に圧力を加え難しい中盤戦が続いた。その後細かい折衝に大きな駒の交換が行われ、後手の攻め、先手の受けという形になり、下図。今△7四銀と打ち、▲同銀直△同歩と進んだところ。次に△6六馬と出られてはいけないので(▲7七銀の受けには△6五馬の王手飛車がある)、ここはこの歩を受ける一手。先手としてどのように受けるのが良いか?先手飯塚七段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問518-2)
上図からも小技を絡め、後手の好調な攻めが続いた。▲5三の成桂を飛車で成り返りながら払った手に対し、先手は待望の飛車を下ろした(下図)。次に▲8一飛成が入ると、駒を一枚使わざるを得ないので、ここではその筋を消す一手。そこでどのように受けるべきか。後手戸辺六段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問518-1解答)「盤上の駒の活用-金銀は玉の側へ」
▲7七銀と入れるのも場合によっては手厚い一手となることもあるが、将来、△7五歩からの攻めや駒不足が心配になる。ここでは、実戦でも指された▲6七金が平凡ながら味良い一着。盤上の駒を使って受けられるならその方が良い場合が多いし、特に金銀を玉に近づけながら受けられるのではあればそれはほとんど悪い手にはならない。

これで後手からの攻めもすぐには見えないと思っていたが、直後の△7三銀がなかなか手厚い一着で、△8四歩から△7五銀〜△5八歩の小技を使って先手陣を攻略。頑強に抵抗した先手だったが、徐々に後手優勢の局面へと動いていった。


(問518-2解答)「外飛車と内飛車」
この図の飛車の位置関係から、▲1一飛を外飛車、△5三龍を内飛車と言う。そして一般的には内飛車の方が、外飛車の利きをさえぎることができることから有利であるとされる。それがここでも証明され、△5一歩と打ったのが実戦で、これにより▲1一飛の威力は半減した。
問題図の局面、後手から見れば△7五桂の攻めが非常に厳しい。と言っても、桂の他に金銀があるから猛烈に厳しいのであって、一枚でも使ってしまうとそれほどでもなくなる。なので、ここでは持ち駒を使わないで受けたいところ。そして歩で受けるとすれば△5一歩より他にない。香を取られ▲5七香は見え見えだが、△7五桂はそれより早いと読んでの△5一歩だ。

もっとも、間に合わないと分かっていても、先手としては香を取って▲5七香とするしかなかった。対して△7五桂から△6七桂成と一直線に攻め、最後は受けのない形となり、形作りの▲4二龍に先手玉を詰めて後手戸辺六段の勝利となった。

なお形作りをせずに受けても一手一手だったが、その局面から修正して詰む形にしてみたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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