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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年11月9日出題)

第524問(2015年11月8日 豊島七段-三浦九段戦)
(問524-1)
先手豊島七段、後手三浦九段で戦型は横歩取り△3三角戦法。後手が28手目に△2四飛とぶつけ、先手も▲同飛と取ったことから早い段階で戦いが始まった。しかし先手が▲2八飛と自陣飛車を下ろし、徐々にポイントを稼ぐ方針に出ると、後手もどこでポイントを稼ぐかという難しい中盤戦になった。
そして下図、今▲2八の飛車を▲2六飛と浮いたところ。目標になりそうな飛車だが、▲7五歩から▲4六飛〜▲8六飛とすれば後手は二歩持っていない為、両方を歩で受けることは出来ない。そこで後手はどうしたか?三浦九段は、攻める前に自陣をしっかりさせようと受けの一手を指した。その一手とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問524-2)
後手が角切りの強襲を見せたのに対し、それは大丈夫と、先手は正面から受けて立った。そして出来た局面が下図。今、△7九飛と打ち下ろされ、攻め筋としては△2九飛成、△4九銀、△7八銀と三つもある。どれが厳しくどれが大丈夫か、正確に読んで受けなければならない局面。ここで指された先手豊島七段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問524-1解答)「次に攻める手を見る受け」
ここで三浦九段は△4三歩と歩を打ち、自陣を引き締めた。感想戦でも話されたが、ここで歩を打たずに△4四角と打ったり、△5四角と打って△1六歩▲同歩△1八歩などの攻めを見せるのは、いずれも▲4六飛と回られうまくいかなかった。そこでその反撃を未然に防いで、次に攻める手を見たのが△4三歩。ただ、最後の一歩だけに相当打ちづらいのも事実。もし二歩以上あるなら(△4七の地点は固く△4六歩という攻めがほとんど利かないので)、△4三歩は手堅い一着でまず疑問にはならないと言える。

実戦は後手が歩切れになった為、▲8六飛を見て当然の▲7五歩だったが、それも後手は承知の上で、△4四角を打ち、▲8六飛(△1六歩▲同歩の交換を入れて)△8八角成から後手の強襲が成立するかどうかという戦いになった。

(問524-2解答)「受けの形-逃げ道の確保」
角以外の駒を持っているなら、▲5九へ打っておくのは▲4九〜▲3九の逃げ道があって固い。しかし角だけでは打つわけにいかず、この場合は▲5九銀と引くのが一つの形。これで4筋から3筋への逃走を確保している。但し、本譜もそうだったが、△7八銀とからまれると、いつでも△6七銀成の攻めがあり、かなり危険であることは確か。これ以降は先手玉、後手玉両方を見ながらの読みが必要となる。

実際本譜は、感想戦でもまだ難解だった。△7八銀と打ち、これに▲8二飛成と踏み込んだ手が強手。どちらが勝っているか微妙だったが、△6九飛成〜△6七銀成の攻め、▲6三歩成に△同玉と取った手などどこかちぐはぐな手があったらしく、最後は後手玉が詰みか、詰まないまでも急所の駒を抜かれる手が生じ、先手豊島七段の勝利となった。

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