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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年12月7日出題)

第528問(2015年12月6日 郷田王将-阿部健治郎六段戦)
(問528-1)
先手郷田王将、後手阿部六段で戦型は相掛かり戦。但し、序盤早々後手の阿部六段が趣向を見せた為、序盤から定跡を外れ手将棋となった。その後、難しい中盤戦が延々と続き一進一退の攻防が繰り広げられた後、終盤戦へ突入。
下図は、大駒交換後、▲2六飛と金取りに飛車を下ろしたところ。歩が利けば簡単に受かるのでこのような手はないが、ここでは(歩が二歩で打てず)大駒しかないので悩ましい。ここで指された後手阿部六段の指した一手は?△2三の金をどのように助けたら良いか?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問528-2)
一手指した方が良く見える終盤戦が続いている。今、△3二の角を△8七角成としたところで、後手からすぐに何かあるという訳ではない。しかし逆に言うと、狙いがはっきりしない分、先手の指し手も難しい。ここで指された先手郷田王将の次の一手は?攻防の一着で、これにより先手からの攻めが分かりやすくなった、と言うヒントがあればやさしいかもしれない。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問528-1解答)「活用できるかどうか読みを入れて受ける」
歩を打ちたいと言っても△2八歩成は玉から遠すぎて利いてもらえない。そこで大駒で受けることになるが、自陣に大駒を受けるのは基本的には辛い受けとなる。そしてその受け方も、常にその局面ごとに変わってくる為、その都度読みを入れて受けることになる。その時にその大駒を後に使えるかどうかと言うのが一つの考え方。
ここでは△3二角と言う受けが最も普通に考えられる。これは▲3二角を消し、△4四歩という反撃を見ているからだ。

本譜は、この後、▲5五角に△7三桂▲6六金△3七歩成▲同角△2八歩成▲同角△2五歩と後手工夫の順で先手からの攻めを凌ぐ手順が続いた。

(問528-2解答)「終盤は攻防手を」
ここで▲7六香と打った手が馬の利きをさえぎると同時に、▲7三歩成からの単純な攻めを見せた攻防手だった。
ここに至るまでは一手指した方が良く見える微差の熱戦が続いていた。しかし、この手は▲7三歩成からの攻めが確実でしかも受けのない攻めである為、ようやく先手が一歩リードしたかに見える局面となった。

それでも本譜は△3三桂や△7三同銀としてからの△3七歩など後手もピタリと追走。最後の最後までどちらが勝つか分からない激闘が繰り広げられた。そして最終盤、先手が二手スキをかけたのに対し、後手は一手スキがかけられず、ここからの微差を守り切り先手の郷田王将がこの熱戦に勝利した。

なお、この将棋の最終局面からいろいろ動かして、原形はほとんどなくなってしまったが、「今日の実戦の詰み」を作成したので、そちらもどうぞ。
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