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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年2月15日出題)

第536問(2016年2月14日 千田五段-行方八段戦)
(問536-1)
先手千田五段、後手行方八段で戦型は角換わり腰掛け銀。出だしは双方に思惑があったようだが、結局定跡形に戻り、先手のシンプルな仕掛けから戦いが始まった。ただその戦いが始まった後も、研究手順なのかお互い猛スピードで指し手が続いた。ようやく手が止まった時はすでに終盤。千日手をにらみつつ、先手玉後手玉双方の詰み、詰めろを考えながら指さなければならない難解な終盤戦だ。今、△4五角と攻防に角を据えたところ。ここで先手千田五段の指した一手は?あまり難しく考える必要はなく、ひと目であり当然の一着は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問536-2)
先手玉に詰みはなく、後手玉は受けなし。下図はそう思える局面。ところがここで後手行方八段は渾身の受けの一手を指した。終盤でまれに出現する類の手だが、実戦で指せれば相当強い。後手が負けになっていると思える所での逆転の一着とは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問536-1解答)「終盤は駒に当てて先手を取る」
△7八金を受けるだけなら、▲6八へ駒を埋めても受かるが、先手にはなっていない。終盤の受けの基本は、やはり先手で受けること。ここでは▲5六銀がひと目でありこう指すところだろう。これなら△7八金▲同銀の後、△4五の角取りが残っており後手は忙しい。

本譜は、後手も角を逃げるだけのような手を指すことはなく、(△7八金▲同銀の後)△6九銀と銀をひっかけたが、これは詰めろではないと、強く▲4五銀と角を取り、先手の勝ちになったかのような局面で第2問へと移った。

(問536-2解答)「駒入手を強要する早逃げ」
最終盤でまれに出る早逃げ。玉を安全地帯へ逃げる早逃げは良く出現するが、これは「駒を渡さずに詰めろを掛けられますか?」と先手に問う早逃げだ。つまり、後手にもう一枚、角か金が渡ると先手玉は詰んでしまう。角なら△7九角から。金なら△8七龍▲同玉△7八銀打があるという訳。と言って、先手に歩があればこの早逃げも意味はないが、一歩もない為、先手の指し手も難しい。

本譜は、▲5六角と攻防に放ちこれも好手に見え、依然どちらが勝っているか分からない難解な終盤戦が続いた。そして後手玉の必死に、先手玉が詰むかどうかという進行になり、結論としては詰んでいたのだが、その詰みを逃し、先手千田五段の辛勝で激闘が終了した。

なお、その詰みを逃した手順はこれしかないという「実戦の詰み」であった為、そのまま「今日の実戦の詰み」として載せたので、そちらもどうぞ。
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