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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年10月3日出題)

第568問(2016年10月2日 佐々木勇気五段-木村八段戦)
(問568-1)
先手佐々木五段、後手木村八段で戦型は相矢倉。先手は早囲いで玉を入城させ、後手は△6四角から△7三角と先手の攻めをけん制した。それでも先手は▲1七桂から▲2五桂と攻め、対して△4五歩から△1九角成と後手は攻めを呼び込んで受ける棋風通りの展開となった。その中盤から終盤に入る局面。下図は△4四歩と銀の死命を制した手に▲1四歩と取り込んだところ。ここで後手木村八段の指した一手は?ほぼ二択なので問題にしてしまうとやさしいかもしれない。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問568-2)
上図から、少し遠巻きに攻めた▲6四歩の垂らしが好手で先手が有利になった。しかし後手も、△8五桂から△4七馬と引いて先手玉に迫っている。そしてさらに今△6六桂と打ち込んだところ。一直線に攻め合うとどうなるのか?あるいは一旦受けた方が良いのか?終盤はまったく同じ局面はないので常にその場で考える事になる。ここで指された先手佐々木五段の指した一手は?終盤は受けと攻め、両方を同時に考え、最善だと思う指し手を決める。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問568-1解答)「玉をかわして端攻めを緩和」
△4五歩と銀を取って大丈夫なら取ってしまい所。しかし▲1三歩成△同桂に▲1四歩と攻められると、もちそうもない。そこで実戦のように△2二玉とかわすのがこういう局面での手筋。玉頭の端を攻められた時に、元の位置に戻るということは良くある。この局面も、△4五歩と△2二玉の両方を指せれば必勝。但し一手しか指せない為、この場合は先に△2二玉と指しておくのが正しいという訳だ。

本譜は、▲1三歩成から桂香を交換した後、▲3四銀と捨て▲4六桂と追撃した。ただその局面は、後手も銀得になっているので(その後、銀と桂が交換になり結果としては後手の香得)、まだまだ難解な局面が続いた。しかし▲6四歩が好手で先手有利に、そして第2問へと続く。


(問568-2解答)「取った駒の使い道」
先手陣だけを見ると、手抜くのが良いのか当たっている金をかわすのが良いのか、あるいは桂を取ってしまうのが良いのか難しい。しかし実戦、先手の佐々木五段はサクッと▲6六金と桂を払った。これは急所の▲7八金を取られるのは痛いということなのだが、同時に取ったこの桂の使い道が見えているから。つまり、▲4二桂成△同金に再度の▲5四桂が攻めの急所になっているということ。先手陣も▲6七の金がなくなると決して固いとは言えなくなっているが、▲4二桂成からの攻めの方が一手早いと見ての▲6六金だ。

本譜、木村八段も攻め合いは一手負けと見て、受けに徹した。しかし、次から次に繰り出される一手に最後は受けがなくなり、後手玉は必死。結局攻めが細く難しいと思える局面もあったが、それをつなぎきり、結果先手佐々木五段の完勝と言っても良い棋譜が出来上がった。

なお終盤の後手玉から、詰むように修正、作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。

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