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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年11月7日出題)

第573問(2016年11月6日 丸山九段-村山NHK杯選手権者戦)
(問573-1)
先手丸山九段、後手村山NHK杯選手権者で戦型は角換わり戦。後手が最新研究の陣形(△6三銀△6二金△8一飛の右玉風での中住まい)にし、先手は腰掛け銀だったが、先手の陣形を見て△5四銀〜△6五歩と動き戦いが始まった。その後、角銀交換が行われ、下図は今△3六歩と桂取りに歩を突き出したところ。この桂は助からないので、実質角と銀桂の二枚換えになる訳だが、ここで先手は何を指したら良いか?やや漠然としているように見えるが、有段者ならひと目の手筋がある。先手丸山九段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問573-2)
先手の僅かな指し過ぎをとがめて後手陣がしっかりした。そして両者ともに玉から離れている金を前戦に繰り出しこれから第二戦が始まる直前。今▲3六金と歩を払いながら金を上げたところで、何もしなくてもすぐに後手陣がつぶれる訳ではない。しかしこのような局面では「まずこう指したい」という一手がある。ここで指された後手村山NHK杯選手権者の次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問573-1解答)「取られる駒の活用」
(感想戦でも出た)▲1八角という一見しゃれた手もあるが、△3五銀と守られると狙いの手(▲6三角成△同金▲7二角)はなかなか実現しない。ここでは▲4五桂がまずひと目の一手。確実に取られる桂だが、▲4五桂と跳ねて△同歩とさせることで、△4四の歩をこじ開けることが出来る。△4四の地点は後手玉の急所なので、ここが空いているだけでも格段に後手陣に迫りやすくなるという訳。

実際本譜は△4五同歩にすぐ▲4四角とこの空いた空間に角を打って攻めを続けた。ただ、この直後、(感想戦では)▲5四歩△同歩と利かせたことがかえって指し過ぎとなり、後手陣がしっかりしてしまった。そして第2問へと続く。


(問573-2解答)「遊び駒の活用:駒は中央へ使え」
ここで村山NHK杯選手権者の指した一手は△3三銀。この手はいわゆる二枚落ちの上手が”指をしならせて指す”ような味良い一着。遊び銀の活用であり、同時に「駒は中央へ使え」という格言そのものでもある。後手玉の位置がここでなくても(△7二辺りにいたとしても)ここでは△3三銀と上がってこの銀を使いたい。遊び駒の活用に敏感になれば有段者は近いと言える。

本譜は▲3五金とぶつけたが、この瞬間に△8六歩から後手が猛攻を開始した。先手も嫌みをついて後手陣に迫ったが、最後は華麗な手順で飛車をさばき、後手の村山NHK杯選手権者の勝利となった。

なお投了図から金を受けた局面をそのまま、「今日の実戦の詰み」として出題。問題としてはやや簡単で余詰めもあるが、良く出る実戦的な局面だった為、読みの練習台にして欲しい。
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