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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年11月14日出題)

第574問(2016年11月13日 佐藤天彦名人-山崎八段戦)
(問574-1)
先手佐藤名人、後手山崎八段で戦型は横歩取り△3三角戦法。先手の最新の陣形に、後手が角交換から果敢に仕掛けて戦いが始まった。その終盤の入口、自陣をかえりみない一直線の変化になり、どちらが読み勝っているかという終盤戦が繰り広げれて下図。今▲1一香成と香を取りながら成り込んだところ。次の▲2一成香が厳しい。この局面は、桂を犠牲に先手玉を七段目に誘い出している。危険な先手玉だが、ここで後手にはどのような手があるか。この後数手で後手優勢がはっきりした。後手山崎八段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問574-2)
先手玉は中段に出ているが風前の灯火。この数手前には後手に決め手もあったのだが、際どく凌ぎ下図となっている。次に△4七馬の一手詰みなので何か受けなければならない。ここで指された先手佐藤名人の次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問574-1解答)「終盤は攻防手を」
ここで山崎八段の指した一手は△2五銀。▲2一成香が来るまでに先手玉を寄せ切れれば良いのだが、はっきりしない。そこで、飛車取りに銀を出しながら、▲2一成香に△3四歩を用意した手が好手だった。

実戦は、△3四歩を突かれると△3三玉から後手玉は寄らなくなるので、先手は△3五角出も防ぐ意味で、▲5三銀と王手し、△3一玉と下段に落としてから▲7六飛と回ったが、△7五歩から△8六飛と出て、先手玉を一気に寄せ形に持っていった。しかしその後、頑強な粘りに寄せ方も間違え形勢は混沌。そして第2問へと続く。


(問574-2解答)「終盤は読みの世界」
この局面だけを見れば、銀を取る以外ないのでやさしいとも言えるが、この玉は上部への脱出を目指していただけに引く手は盲点に入りやすい。特に△4七桂成から△5九馬と王手されながら金を取られる手が見えるのでなおさらだ。と言っても、▲6五玉と上に出るのは、△5五馬から詰まされてしまう。(▲5七玉と)下に下がっても、▲7九玉から▲8九玉の局面まで読みを進め、詰めろが来なくなることまで読めれば下段に逃げる手も指せるという訳。
終盤においても手筋は頻繁に出てくるし、それが正しいことも多いのだが、同時に短い時間で多くを読めれば正しい逃げ方、正しい寄せ方を指せるということでもある。

本譜は終盤どこで逆転したか分からないような激戦になった。しかし最後は先手玉が詰まなく、後手玉は一手一手となり先手佐藤名人の勝ちとなった。
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