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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年1月16日出題)

第581問(2017年1月15日 佐藤天彦名人-渡辺竜王戦)
(問581-1)
先手佐藤名人、後手渡辺竜王で戦形はゴキゲン中飛車対超速。駒組みは4筋で銀が向かい合う形から相穴熊へと進んだ。そしてガッチリ組み合った後、先手は7筋の歩を交換、その歩を使った攻めを見せると後手も動き、全面戦争へと入った。下図はその直後、▲2四飛と飛車を切り、その角を▲6五角から▲4三角成と飛銀両取りに成り込んだところ。ここで指された後手の次の一手は何か?格言通りと言えば当てるのにそれほど難しくはないかもしれない。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問581-2)
先手が駒得を果たし、後手が先手陣に食いつけるかどうかという戦いになっている。今、△6七桂と打ち込んだところで▲同金には△7九龍があり、自然な▲8八銀も△7九金がうるさそうだ。そこで、ここで指された先手佐藤名人の受け方は?終盤でもいろいろな手があるものだと感心させられる次の三手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問581-1解答)「両取り逃げるべからず」
両取りをかけられた場合、基本的には価値の高い方を逃げる。しかし、△6二飛と逃げても▲4四馬と銀を取られながらまた飛車取りになり、次から次に攻められそうだ。そこで実戦、△2九飛成と桂を取ったのが、「両取り逃げるべからず」を地で行く手。一手で両方を取られる訳ではないので、その間に桂香を拾い、先手の穴熊に食い付こうという訳だ。

ただ本譜、実際に飛車を取り駒得になったのは大きい。そこから後手の攻め、先手の受けとなり第2問へと続く。


(問581-2解答)「終盤は読みの世界」
▲8八銀打と埋めるのは第一感で自然だが、本譜佐藤名人はすごい受け方を用意していた。▲6八銀と逆方向に上がり、△7九金の攻めに▲8八金と寄って後手の攻めを余しに出るという手順。しかもさらに△7八歩に▲7七飛と打って、完全に切らしに出た。

ただ本譜△7九で精算後、△7四飛という詰めろ馬取りがあり、後手の攻めは遅くはなったが切れる将棋ではなくなった。その後も、先手は徹底して受け、長手数に。そして後手の攻めがようやく遠のいた所で反撃、最後は後手の穴熊玉を即詰みに討ち取り先手佐藤名人の勝利となった。

なお投了の局面から、「今日の実戦の詰み」を作成してみたのでそちらもどうぞ。
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