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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年2月27日出題)

第587問(2017年2月26日 佐藤和俊六段-村山NHK杯選手権者戦)
(問587-1)
先手佐藤六段、後手村山NHK杯選手権者で戦形は先手中飛車。ただし、後手が角道を突かないで駒組を進めた為、あまり見ない形になり、さらに早い段階で駒がぶつかった。その後、後手の押さえ込みに、先手がさばけるかどうかという折衝が続き中盤から終盤戦へ突入。下図、先手の最初のと金を5二で精算はできたが、今▲7四歩と桂取りにされながら再びと金を作られようとしている。桂は逃げようがないので取られるのは仕方ない。しかしここではどのように受けたら最も被害が少ないか?後手村山NHK杯の指した次の一手は何?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問587-2)
後手も決め手を与えないよう受け続けたが、先手は飛車を切り、決めに出た。、しかしはっきり決まっているとは言えず、際どい終盤戦となっている。今、▲5五香と、「玉は包むように寄せよ」の格言どおり網を絞ったところ。持ち駒は金二枚ではないので一瞬詰まなそうに見えるが、▲2二金から▲3二銀〜▲4三銀成〜▲2一馬の手順があり詰めろとなっている。そこでどう受けるか?実戦でも指された後手の一番しっかりした受け方は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問587-1解答)「と金を残さない」
これは一般論だが、桂取りの歩に対し、桂を逃げてと金を作られる場合と、桂を取られてもと金を取り払う場合の二通りの指し方がある。▲7三の地点は玉から遠いことも多いので、桂を逃げる場合の方が多いような気はするが、感想戦で「ここはと金を作らせるべきじゃなかった」というような反省をすることもある。

ただこの局面は桂自体が逃げられないので跳ねる手はない。と言って▲7三歩成を放置できるほど早い攻めもない局面だ。そのため、△5三飛と浮いてと金を取り払おうと指すのが当然の一着。これで桂損しても歩のない先手に手が作れるかどうか微妙な戦いが続いた。

(問587-2解答)「しっかり守れる玉底の一段金」
終盤は相手の大駒に当てて受けることが多く、ここでも△2二銀と先手を取れるなら取りたい。しかし△2二銀には▲4一銀△同玉▲2二馬という送りの手筋があり、かえって受けられなくなってしまう。そこで図のように△3一金と打つのがしっかりした受け。先手こそ取っていないが、玉の両側をしっかり守り、これで詰めろを続けるのが難しくなったかと思われた。

本譜はこの直後の後手が見落としによる失着を出す。詰めろでもなくまだ受けもありそうな▲5三香成に、△4七桂としたのが悪手。桂を渡したことで、自動的に後手玉が詰めろになってしまった。ただ、その後は思い直しさらに攻防が続く。しかし、タダで桂を渡した罪は重く、しだいに受けが難しくなり最後は詰まされ、先手佐藤六段の勝利となった。

なお投了の局面から持ち駒を変えて「今日の実戦の詰み」を作成してみたのでそちらもどうぞ。
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