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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年4月10日出題)

第593問(2017年4月9日 中村修九段-佐々木勇気五段戦)
(問593-1)
先手中村九段、後手佐々木五段で戦形は居飛車左美濃対石田流穴熊。振り飛車の左金がまだ△4一にいる状態で先手が▲4六歩から動いた。対して穏便に収める手もあったが、真っ向からこれを迎え撃ち下図となっている。
交換した銀を▲4六銀と打ち、後手の桂を負担にさせようとした先手に対し、一旦△2二角と引いて王手への応手を聞いたところ。王手なので当然何か受けなければならない。ここで指された先手中村九段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問593-2)
先手が駒得を果たし優勢になった。しかし、後手も粘り強い指し回しで容易に離されない。一時は(感想戦では)先手の手が難しい局面になる箇所もあったのだが、それを逃し、後手の苦しい局面が続いている。下図は今▲4一飛と下ろされたところ。4三の金を取られるのも大きいが、▲7一歩成はもっと厳しい。ここでは悪いながらもどのような応手がもっとも勝負になると考えられるか?後手佐々木五段の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問593-1解答)「形を崩さない玉のかわし」
▲7七角は角をさばかせてしまうし、▲7七銀や桂は普通だが角をこちらへ出る手がなくなってしまい、△4四飛と桂を受けられた時後続が難しい。また▲5五歩は▲4六の銀が動くと角に飛び出される。という訳で、中村九段は▲9八玉と玉をかわしてこの王手を受けた。この手はある意味ちょっと怖い。と言うのも金や飛車が入れば一発で詰みになる形だからだ。たとえば、持ち駒の銀を金と交換する手があったり、強引に飛車交換に持ち込む手があると成立しない。もちろんそうした筋がないことを丁寧に読み、△4五の桂取りが忙しいということでこの玉寄りが最善との判断だ。

実際ここから後手の苦心の手が続き、先手は駒得になり有利に局面を進めていった。

(問593-2解答)「自陣飛車で受ける粘り」
感想戦ではこの数手前、△2二角と引いて角を使うべきだったとの話もあり、この局面は後手がかなり苦しい。しかし、それでもここで△4二飛と合わせるのが最も粘りのある一着。金取りを防ぐと同時に飛車に当てているので▲7一歩成も防いでいる。ただ、自陣に飛車を打ってしまうので辛いことには変わりなく、相手の緩手待ちと言えなくもない。

本譜、この後銀香交換になり駒割りは一時的に互角に戻った。しかし、ほとんどの駒を受けに使ってしまい、最後反撃に出た間隙を縫って攻められると手負けがはっきりし、先手中村九段の勝利となった。

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