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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年8月14日出題)

第611問(2017年8月14日 畠山鎮七段-広瀬八段戦)
(問611-1)
先手畠山鎮七段、後手広瀬八段で戦型は角換わり腰掛け銀。先手が9筋の位を取った為、後手が△6五歩と先攻したが、先手もすぐに▲4五歩と反撃し戦いが始まった。この先手の攻めに後の攻めを軽視、自然に応じすぎたか、先手有利で終盤戦へ突入。
下図は先手優勢の終盤戦。今▲6三馬と好位置に引きつけ、次に▲4一馬からの詰みを見て必死級の手。普通はここで△2二玉の早逃げだが、▲3一角から▲4一馬がありそれも出来ない。ちょっと受けが見えないと思われる局面だが、ここで粘りの一着が出た。後手広瀬八段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問611-2)
先手必勝の局面から後手も頑強に粘っているが、好転の兆しはあまりない。下図は▲4五の桂を銀で外し、▲同馬となったところ。ここも上部を馬が押さえている為、▲3一銀から▲4一金があってやはり詰めろ。
ここで後手はどう受けたか?ある意味これしかない受けではあるが、気の早い人なら投げてもおかしくはない。ただ、相手に楽をさせない粘りもある意味必要。後手広瀬八段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問611-1解答)「金を犠牲に手を伸ばす受け」
こういう局面で早逃げが利かないなら受けはないとしたものだが、ここで広瀬八段は△5一金とここに金を打って受けた。あまり見ない筋で、と言うのも、すぐにタダで取られてしまいそうだからだが、たとえば▲6二銀成だと詰めろになっていないので、その瞬間に猛攻をかけようとする手数伸ばしの一着。

本譜は▲5二金がごつい一手で次に▲4一金からの詰めろ。△2二玉の早逃げには▲5一金がまた詰めろ。駒を取りながらの詰めろなので、差は縮まらずそして第2問へと続いていく。


(問611-2解答)「金が縦に並ぶ形」
ここで後手の指した一手は△3一金打。これは▲3一銀からの詰めろを防ぐと同時に▲4一金も防ぎ、さらには▲3二飛成からの筋も防ぐ、部分的に固い形。これで後手に持ち駒がたくさんあり攻めることが出来ればこのように受けて必勝という訳。しかし、この局面は持ち駒がない為、このように受けざるを得ないのでは、たとえ固くなっても容易に勝ちにはならない相手のミス待ちとも言える。

本譜は、もちろんそのようなミスをすることはなかった。後手が受けにほとんどの駒を使ってしまった為、仮に詰めろでなくても先手が勝ちそうだったが、畠山七段は角と馬を巧みに使い、詰めろをかけ続け最後は後手玉を詰めることに成功、先手畠山七段の勝利となった。
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