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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年11月6日出題)

第623問(2017年11月5日 佐藤和俊六段-宮田六段戦)
(問623-1)
先手佐藤六段、後手宮田六段で戦型は先手中飛車からの角交換振り飛車。対して後手は、左美濃から生角を打ち、先手の動きをけん制した。そして中盤、後手が2筋の歩を切ると、先手は単に▲6五桂と跳ね、攻めの態勢を整えた。これに△7三桂とぶつけたのが感想戦でやや悔やんだ一着。自然なさばきに見えたが、銀がそっぽへ行き、先手の攻めの手がかりを与えることになった。そして下図はその直後。△1五歩と端攻めを敢行した手に対し、▲5三歩と叩き、△同角に▲6五桂と両取りをかけたところ。この手が厳しそうで先手好調に見えるが、後手も好手で切り返した。ここで指された後手宮田六段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問623-2)
中盤から先手が徐々にポイントを重ね、終盤、先手優勢にまで進んでいる。とは言え、下図は△2七歩成と銀を取られながら玉頭にと金を作られたところでここを間違えると先手も危ない。ここではどのように対応したら良いか?盤面全体を見ながら、勝ちに持っていくための最も良い手順とは?三手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問623-1解答)「駒の損得より効率重視」
問題として出題されれば難しい手ではないが、普通に考えたら△6二角と引き、▲5三歩と叩かれて痛い、と思ってしまうところ。実戦、△6四角と銀にぶつけて上に出たのが受けの勝負手。▲6四銀で角を取られると角銀交換の駒損になるが、遊んでいた銀を中央に使え、桂取りにもなっている。この後、▲3五歩と急所に来られ、やや悪いながらも小駒を手に入れて先手の玉頭に反撃、まだまだこれからの将棋だ。

本譜は△2七歩と先手の玉頭を叩いたが、▲3九玉と引き、△5五桂に▲3六銀と逃げたのが冷静な対応。差は徐々に開いていき、そして先手の勝ちまでもう少しという局面になり第2問へと続いていく。


(問623-2解答)「と金を龍で外す」
後手玉が詰まない以上、このと金をそのままには出来ない。と言って、▲2七金とと金を取るのは、取れそうだった△5五の桂に△4七桂成と詰めろを掛けられながら成り込まれ、これは”事件”だ。ここは▲2三飛と王手で打ち、△3二玉に▲2七飛成と龍を作りながらと金を外すのが手厚い手順。しかも次に▲2三桂成や▲2三角からの寄せがあり、先手にもなっている。

本譜は△2六歩から連打で龍を止めたが、△2四歩の時の▲3四歩がピッタリ。最後は長手数の即詰みに討ち取り、先手佐藤和俊六段の勝利となった。

なお、終局図から詰将棋っぽい手筋を入れて作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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