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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年1月8日出題)

第631問(2018年1月7日 阿久津八段-渡辺棋王戦)
(問631-1)
先手阿久津八段、後手渡辺棋王で、戦型は角換わり。先手が居玉のまま早繰り銀として右銀を繰り出すと、それに合わせ後手は右銀を腰掛け銀から△4三へ引いて3筋を受けた。その後、中盤の難しい折衝を経て、後手の囲いは四枚の金銀で鉄壁に、ただし攻めは細いという状況になった。そして下図、今、先手が薄い攻め駒を攻めて▲8三角と打ち込んだところ。飛車取りなので何か応接するしかないが、ここではどのように応対したら良いか?後手渡辺棋王の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問631-2)
後手の攻めが切れなくなり、後手が優勢になった。しかし先手もコリ形の銀をさばき、後手玉に肉薄すると形勢も僅差に。そして今▲4一銀と金に割り打ちをかけたところ。この銀は、次に▲3二銀成と金を取れば、どちらで取り返しても詰みだ。そこでどうするか?正着は一つとは限らないが、受けはちょっとでも間違えるとたちまち逆転する。ここで指された後手渡辺棋王の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問631-1解答)「飛車の逃げ場所」
▲8三角に対し、△7八飛成と切るのはさすがに無理としても△8四飛と当てて逃げるのは普通だ。ただ、▲7二角成と桂取りで成られた時、△8五桂とかわすか△6四角と受けるかなど後の事も考え、飛車がいじめられないかを先の先まで読む必要がある。そしてそれがダメなら△6三角という手も見えるが、渡辺棋王はこの△6三角を少し先のもっと効率良い局面で使った。ここでは△5四飛と逃げたのが実戦で、確かにすぐにいじめられないならしっかりした逃げ場所とも言える。

本譜は▲4七角成で先手陣の右辺は固くなったが、△9五歩と端にアヤを付けると鉄壁の玉型を背景に後手ペースで終盤戦に入った。


(問631-2解答)「終盤は丁寧に読みを入れて」
金への割り打ちは良く出るが、八割方△4二金右と玉側に寄せておいてそれほど間違いはない。しかしそれでも終盤ではその時々の形、お互いの陣形、様々なことを考慮し、本当にそれで大丈夫かどうか確かめる必要はある。感想戦で渡辺棋王が話していたのが、△4二金右は▲2四歩が気になる、ということだった。それですぐにつぶれる訳ではないが、先手は▲5八金と▲2五桂の両取りになっている為忙しい。と言うことで、銀を投入しても切れる心配がない為、より安全を期して△3一銀と銀を打ったのが実戦だった。

本譜はこのあと△3二の金を取り、▲4九金とここに入れたのがしぶとい一着だった。これで形勢は急接近。ただ、△8八歩からお返しの△6九銀と打たれると、これに応接を間違えたのかもしれない。せっかく打った▲4九金も結局△3九の角を取る暇がなく、最後は味良く▲2五の桂を飛車で取られ、先手玉は即詰み、後手渡辺棋王の勝利となった。

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