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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年6月4日出題)

第651問(2018年6月3日 永瀬七段-高野四段戦)
(問651-1)
先手永瀬七段、後手高野四段で戦型は相掛かり戦。先手は銀を▲3六に進出し、双方角道が開いた状態で、いきなり▲4四歩と仕掛け戦いが始まった。これに後手も△7五歩から△9五歩と反発。これにさらに先手は玉頭を叩き、▲7四歩と桂頭を狙って全面戦争へ突入した。下図は、△8四にいた飛車に▲7五銀と当てて下がらせたところ。△3二の金は取れるが、後手からも△9七歩成から△8七とがあり忙しい。ここで先手の指した次の一手は?ここからの進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問651-2)
終盤に入っても互角の状況は続いていたが、先手にらしからぬ一手パスのようなミス(▲4七銀)が出て、それをとがめた△9七歩成が好手で一気に後手が優勢に立った。そこからさらに進み下図は後手勝勢。玉は裸だが、先手に持ち駒がなく、また駒を補充する場所もない。とは言え、こうした玉の薄い将棋はちょっと間違え駒を渡すとたちまち逆転する。ここで指された後手の次の一手は?何を指しても優勢には違いないが、人間的に見て(激指も同じ考え)、一番間違いの少なそうな一着は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問651-1解答)「飛車先を受ける手筋」
実戦、▲8五桂と跳ね、△同飛に▲8六歩と突いたのが妙手順だった。△9七歩成から△8七とは分かりやすく厳しい。と言って、単に▲8六歩では先手になっていない。このような飛車先を受ける手筋はいくつかあり、覚えておくと実戦で使えることが多い(特に駒落ちの上手に出てくる)。

ただそれでも本譜は難解だった。飛車先は緩和したものの、飛車を持たれている為△4九飛は依然厳しい。そしてこれに対する応手を誤り、一気に形勢は後手に傾いた。そこから進んだ局面が第2問である。


(問651-2解答)「馬は自陣に」
攻めるなら△6五桂は筋で、これで勝ちきれることも多いだろうが、間違って駒を渡すと逆転される危険もある。また、△5一金と打っておく手も手厚くこれも優勢。しかし、ここはひと目△3四馬と桂を取るのが味良い一着。この手は次に△3一金と言う手も見ている為、▲4一飛成を強要し、△5一金と駒を自陣に投入、さらに後手玉は安全になりはっきりした。

本譜はこの後も少し先手は粘ったが、さすがに手の施しようがないほど形勢は離れ、最後は先手玉が即詰み、後手高野四段の勝利となった。

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