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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年7月2日出題)

第655問(2018年7月1日 大石七段-丸山九段戦)
(問655-1)
先手大石七段、後手丸山九段で戦型は一手損角換わり。先手の早繰り銀に対し、後手はそれをけん制する形で駒組みを進め、右玉に構えた。そして駒組みが頂点に達すると、後手は角を敵陣深くに打ち込み、これに先手も動き戦いに入った。下図はその直後、銀桂交換ながら先手がうまく飛車を成り込んだと思える局面。しかしここから後手は反撃の受けを放った。後手丸山九段の指した次の一手は何か?ここからの手順を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問655-2)
先手の攻め、後手の受けが続いているが、その形勢は際どい。今、▲5四歩と取り込んだところで、これ自体厳しい攻めと言う訳ではないが、玉頭に馬がいるので身動き取れず、攻めは△6八飛成からの二枚換えだが飛車を渡すとたちまち後手玉は詰んでしまう。そこでどうしたか?ここで指された後手丸山九段の指した一手は?こちらも実戦の進行を三手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問655-1解答)「龍を捕獲する手順」
ここで丸山九段の指した一手は△6七角成。▲同金に△2三金打と進んだのが実戦だ。△3二歩は普通だが、やはり龍の威力は大きい。捕まえられる手順があるなら捕まえたい。と言うことで、ズバッと馬を切ったのがなかなかの一着。龍が捕まると言うことは実戦では少ないので見落としやすいが、このような手順もあるので常に注意しないといけない。

本譜はこの龍を助ける手順がまたすごかった。▲3五角と王手で打ち、△4四銀とわざわざ角銀交換してその銀を▲8二銀と飛車頭に放つ。これで後手陣にくらいついて先手の攻めがつながるか後手が凌ぎきるかという勝負が続いた。


(問655-2解答)「駒損より玉の安全」
金銀を持っていれば△6三の銀を助けながら玉も安全にするという手順もあるが、ここでは銀を助けるより玉を脱出する方が先決だ。そこで△5二歩と「銀を取ってくれ」と打ち、▲6三馬と動かして△4二玉と早逃げするのがうまい手順。これで少し後手が残せそうになり、最終盤の戦いに突入した。

本譜は飛車を渡しても大丈夫になってから△6八飛成を決行。この二枚換えをすれば先手陣に受けはなく、最後は即詰み、後手丸山九段の勝利となった。

なお最後の詰みの余詰めを消しているうちに全然別の詰み筋で問題が出来たので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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