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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年8月6日出題)

第660問(2018年8月5日 中村太地王座-横山六段戦)
(問660-1)
先手中村王座、後手横山六段で、戦型は相居飛車。相掛かりの形から先手は▲2五飛と中段に飛車を浮き、後手は△7四飛とタテ歩取りを見せて局面は動いていった。そして相手の飛車回りにお互いが歩を打たず、▲3九金△7一金というあまり見ない形で飛車成りを受け、さらに中盤の折衝が行われてから後手が動いた。角を交換し、△2八角の香取り。下図は先手で飛車を追った所だが、依然香取りはそのまま。ここで先手はどうすべきか?厳しい攻めがあるなら攻めに手をかけたいが、香を取られるのも痛い。先手の指した次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問660-2)
中盤から終盤、後手は緩急を付けた指し回しで優勢を築いた。下図は仮に先手の手番でも何かあるわけではない。但し、攻めの筋として▲4四歩△同飛▲4五香(香があれば)や△3七の金を取って▲4五金と打つ攻め筋は残っている。それ故やはり将棋はどこかで決めに行かなければならない。そしてその時に反撃される筋をあらかじめ受けておくのが手堅い。ここで指された後手横山七段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問660-1解答)「駒損しない唯一の方法」
ここで、▲1八香と上がり、△1九角成に▲3六角とヒモを付けたのが実戦で、駒損をしない唯一の方法と言える。△2八角あるいは先手なら▲8二角などの香取りは良く出てくる局面だが、そのような場合、多くは香を取らせ、その馬を活用される前にもっと厳しい攻めを考える。しかしそのような手段がなく打たれ、香損が確定すると局面は不利になる。そこでその香を取らせない方法がこの実戦で現れた手順。しかし持ち角を生のまま打ってしまうので、形勢が良いとは言えず我慢の手順と言えるだろう。

本譜は実際、少しずつ先手が苦しくなっていった。△1九の馬を交換した銀で捕獲することは出来たが先手陣はバラバラ。後手優勢から勝ちに持っていく直前の局面が第2問となっている。

(問660-2解答)「攻める前に自陣を見る」
後手からの攻めとしては△3五銀と飛車取りに当てながら一歩を取り、その歩を△6七歩と叩くのが厳しい。しかし、すぐに決行すると▲2三飛成から▲4三角左成と殺到され肝を冷やすことになる。ここは実戦で指されたように△3三金が手堅い。これだと角を逃げるよりなく、それから△3五銀と出て必勝だ。

本譜は最後、▲4三角成を受けずに攻めたが、確実に一手差以上の開きがあり危ない寄せではなかった。仕掛けから中盤〜終盤と徐々に差を広げていく完璧な指し回しでタイトル保持者に完勝、後手横山七段の勝利となった。

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