できるだけ客観的に選んだ良書ベスト10 | 独断と偏見で選んだ私の好きな本ベスト10 |
(1)羽生の頭脳(第1巻〜第10巻) (2)寄せの手筋168 (3)将棋に強くなる本 (4)将棋大観 (5)新・鷺宮定跡 (6)勝負の視点 (7)光速の終盤術 (8)勝つための詰将棋81 (9)一手劇場 (10)秘伝大道棋 |
(1)盤上のパラダイス (2)秘伝穴熊王 (3)勝負の視点 (4)史上最強!ワセダ将棋 (5)羽生の頭脳(第1・2巻) (6)大道棋奇策縦横 (7)一手劇場 (8)振り飛車穴熊の正体 (9)相振り革命 (10)華麗な詰将棋 |
ランクをABCDEの五段階にして、下に載せましたが、その内容は、新刊本のランク付けと同じです。
ただし、エッセイなど読み物中心の本に関しては、客観的ではなく、私の好みによるランク付けです。
Aは、対象とする段級位の人には、是非勧めたい本。
Bは、良い本なのだが、あまり一般的でないなど、すべて良しとはいえない場合。
Cは、可もなく不可もない普通の本又は長所短所があり、全体ではCになるという場合。
Dは、一部に欠点があったり、ちょっと普通の本より劣る場合。
Eは、人には勧められない本で、買わなきゃ良かったと感じた本。
(分類項目)
・定跡関係の本
・詰将棋関係の本
・次の一手などの問題集
・棋譜中心の本
・エッセイなど読み物中心の本
・上記のどれにも属さない本
(1)将棋大観 (木村義雄著:日本将棋連盟:1976年刊:2800円)ランクA
[8級から三段向け]
言わずと知れた、駒落ちのバイブルだ。六枚落から香落まで、現代でも、駒落定跡の基礎をなしている。
表記が古くて、ちょっと読みづらい面もあるが、他に適当な駒落ちの本がなければ、一冊は持っていたい本だ。
3〜4年前に、将棋世界で所司プロが駒落の講座を書いていた。この講座は非常に優れているので、もし読めたら是非読んで下さい。
(2)逆転の将棋 (加藤一二三著:青春出版社:1976年刊:690円)ランクC
[4級から二段向け]
最初から50ページまでは、将棋の上達法(勉強法)について書かれている。題名と内容はずいぶん離れていて、大半は通常の定跡の解説だ。ただ、定跡の本筋が書かれているため、あまり定跡を知らない人が読むにはいい本となっている。古い本なので最新定跡とはいかないが、初段くらいまでの人が基本を知るにはいい本だ。
(3)最近の三間飛車 (大山康晴著:日本将棋連盟:1977年刊:650円)ランクE
[5級から二段向け]
日将ブックスとして出された本で、他にも何冊か同系統の本がある。
定跡といっても、今のような研究されたものではないし、すでに古くなっているので、今さら買ってもしょうがないのでEとした。
(4)居飛車穴熊入門 (田中寅彦著:竢o版社:1980年刊:800円)ランクD
[4級から三段向け]
居飛車穴熊が流行し始めた頃の入門書だ。
今では古くなったので、ランクDとしたが、藤井システムが現れる前の基本的な居飛車穴熊の組み方の本としてはいい本だ。
[4級から三段向け](シリーズとして四間飛車を破れ上下巻がある)
内容的には、分かりやすく書かれた、とても良い本です。
ただ古い本なので、ランクはDとしました。内容を全面的に改訂し再度同じような形式で出版されるなら(出ているかどうかは確認してません)ランクはAにしたい。
(6)新鬼殺し戦法 (米長邦雄著:山海堂:1981年刊:650円)ランクD
[5級から三段向け]
はめ手の鬼殺しに改良を加えて、出版された本だ。
古くなったのと、やはりはめ手の域から出ていないので、Dとしておいたが、初段くらいの人が見て実戦で使うにはちょっと面白いかもしれない。
[3級から三段向け](シリーズに、矢倉3七銀戦法や、プロの矢倉3七桂、プロの四間飛車破りなど20冊位ある)
この当時はあまりちゃんとした定跡集もなかったので、この本は、相当いい本だった。ランクにDを付けたのは、今となっては、良い定跡集が多くなったからで、いまさら買っても、ということだからである。
[4級から二段向け](シリーズは、矢倉T・矢倉U・腰掛け銀棒銀・横歩取りひねり飛車・四間飛車・三間飛車・ツノ銀中飛車・空中戦法・穴熊戦法・駒落ちの10巻です。)
プロの実戦譜を元にした解説となっていますが、定跡の概略を覚えるにはちょうどいいのではないかと思います。
特に、第10巻の「駒落ち戦法」(板谷進著)は、読んでもらいたい良書です。
[4級から二段](シリーズは、四間飛車・中飛車・ひねり飛車・棒銀・矢倉・穴熊破り・美濃破り・急戦矢倉・腰掛銀・居飛車穴熊)
比較的平易に定跡を解説した本。
ただ、ちょっと古いので、今さら買わなくても、ということでランクはDにした。
[二段から五段](シリーズに「居飛車穴熊の正体」)
振り飛車穴熊に対して、様々な戦法がかなり詳しく解説されているが、逆にある程度定跡を知っている人でないと分かりづらい。
私自身としては、ランクAにしたいが、大会に出るような人でなければ、ここまで詳しくなくてもいいような気がする、ということでランクはB。
(11)相振飛車戦法の基本 (北村昌男著:北辰堂:1988年刊:800円)ランクD
[3級から三段まで]
薄い本だが、割と分かりやすく書かれており、当時としては良い本だった。
今は、相振りの本も、何冊も良い本が出ているので、そちらを勧めたい。
(12)世紀末四間飛車 (櫛田陽一著:毎日コミュニケーションズ:1991年刊:1200円)ランクC
[3級から四段向け](シリーズは急戦之巻と持久戦之巻の二巻からなっている)
二冊とも、講座編、次の一手編、自戦記編の三部からなっている。
講座はまあまあで、あまり定跡を知らない人には、有段者でも役に立つだろう。次の一手はいらないから、その分講座にまわして欲しかった。
[初段から五段向け](シリーズは10巻:四間飛車:穴熊:横歩取り:三間飛車:中飛車:相掛かり:角換わり:矢倉:四間飛車U:横歩取りUの各ガイド)
当時、珍しく有段者向けの定跡集が出たな、と思ったシリーズです。(この後、羽生の頭脳を始めとして難しい定跡集が続々と出た)
一通り、定跡の流れを知っている人が、より詳しく、この局面での優劣を知りたい場合に役に立つでしょう。
現在はこのシリーズの新しいバージョンが出ています(この後の「将棋の定跡シリーズ」)。
(14)急戦!振り飛車破り (所司和晴著:毎日コミュニケーションズ:1991年刊:1000円)ランクB
[2級から四段向け](シリーズは、@徹底棒銀A徹底左4六銀B徹底右4六銀C徹底4五歩早仕掛けD徹底腰掛け銀の5冊からなる)
題名は振り飛車破りだが、特にどちらを持つと言うわけではなく、正確な定跡の研究、詳しく分かりやすい解説がされている。最近は急戦があまり指されなくなったのが、ちょっと残念か。
(15)右玉伝説 (週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:1991年刊:1000円)ランクB
[2級から四段向け](秘法の巻のシリーズとして、5巻だと思う。私はこの右玉と次の石田の二巻しか持っていない)
右玉の指し方について解説された本で、なかなか分かりやすい。
(16)真・石田伝説 (週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:1992年刊:1000円)ランクB
[2級から四段向け]
石田流について解説された本で、前作(右玉伝説)と同じくなかなか分かりやすく解説されている。
他に三冊あったと思うのだが、買ってないので、内容は分かりません。ただ興味のある戦法の解説なら、分かりやすくていいのではないかと思います。
[1級から五段向け](シリーズは10巻:四間飛車破りT:四間飛車破りU:中、三間飛車破り:居飛車穴熊と左美濃:矢倉3七銀:矢倉森下システム:角換わり:ヒネリ飛車:横歩取り:最新横歩取り)
いわずと知れたベストセラー(だと思う)。
各戦法ごとに10巻に分かれており、非常に細かく定跡が解説されている。
この中には、その後プロ間で覆された定跡もあるが、特に大会に出てアマ名人を狙おうなどど思っている人以外はあまり影響はないでしょう。
内容は、はっきり有段者向けなので、5級以下の人は間違って買わないように(4級以上の人で、これからうんと強くなるんだ、という人は買っておいても構いません)。
[3級から四段向け](シリーズとして、撃破!居飛車急戦と新スーパー四間飛車Tがある)
シリーズとして、三冊以外にもあったかもしれないが、題名がそろってないのでちょっと分かりづらい。
内容はやはり、級の人が読むには、いくぶん難しいかもしれない。
アマチュアに一番人気の四間飛車なので、振り飛車党の人や、ライバルが振り飛車をやる場合は読んで損はないでしょう。
(19)定跡外伝 (週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:1993年刊:1200円)ランクC
[初段から五段向け]
ランクをCにしたが、ちょっと古くなったので、Cにしただけで、内容はかなりいい。
居飛車対振り飛車の対抗形で、しかも急戦の説明が多い。
日進月歩の定跡なので、また最新版を出して欲しい一冊だ。
[初段から五段まで](将棋の定跡シリーズの一番)
「定跡百科」が新しくなって、お目見えしたものだと思います。
私はこのシリーズ3冊しか持っていないので、全部で何巻から出来ているのか、ちょっと分かりません。
ある程度、定跡を知っている人が読むには、いい本です。
[初段から五段向け]
島が書いた400ページに及ぶ大作だ。最近、後半に加筆した続編が出ました(買ってないです)。
一般的でないので、ランクBとしましたが、角換わりを指す人は、絶対に持っていたい本です。
(22)風車の美学 (伊藤果著:毎日コミュニケーションズ:1994年刊:1200円)ランクB
[1級から四段向け]
伊藤果が得意としている、風車戦法の最新研究の定跡本だ。
内容も、分かりやすく、かなりいい本なのだが、風車戦法そのものが、かなり特殊(受けに相当自信ないと指しこなせない)なのでランクはBにした。受け将棋の振り飛車党で、居飛車穴熊に悩んでいる人は、一度読んで試してみたらどうだろう。
[3級から四段向け](シリーズとして、@急戦編A持急戦編の二冊がある)
四間飛車穴熊を解説した、非常にいい本です。まえがきには、大内プロの集大成とあるが、内容的にはとてもそうは思えない。どの大内の実戦譜にもないような当時の最新四間穴熊が詳しく解説されていて、さすがに(書いた人は)よく研究している人だな、と思わせる内容になっている。
後半の実戦譜がなくて、全て定跡解説だけなら、文句なくランクAだ。
[5級から三段向け]
二枚落から角落までを全く新しい局面から解説した力作だ。
なのに、なぜランクEかと言うと、実戦で試したのだが、局面が明確にならない箇所が多いのだ。
私としては、将棋大観を基礎に、もっと平易に解説した本が出ればいいと思っている。
(25)棒銀一直線 (週刊将棋編:毎日コミュニケーションズ:1994年刊:1200円)ランクD
[2級から三段向き]
通常の定跡本のような説明はされていない。ある局面からの様々な棒銀戦法が紹介されている。
しかし、たとえば、あまりよく定跡を知らない人には、途中図からなので説明不足だし、高段者にとっては出てこないような変化(奇襲っぽい)が多い。対象者がわからない、ちょっと中途半端な本だ。
(26)相振り革命 (杉本昌隆著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:1200円)ランクB
[3級から四段向け]
相振りをやるなら、是非持っていたい一冊だ。
もともと、相振りの本はあまりないのだが、この本はちゃんとねらい筋が解説されていて、わかりやすい。
「杉本なんて知らない」という人もいると思うが、知名度と本の質は必ずしも一致しない、とだけ言っておきます。
(27)消えた戦法の謎 (勝又清和著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:1200円)ランクB
[初段から五段向け]
内容そのものは、そんなに難しくはないのだが、いかんせん「消えた戦法」そのものを知らなければ読んでもなかなか理解できないだろう。
ということで、初段以上の人向けということにしたのだが、要するに定跡をよく知っている人向けだ。
振り飛車編は、いまいちだが、矢倉の変遷や、相掛かり編はたいへん面白い。
そろそろ、その後の続編を望みたいところだな。
[初段から五段向け]
升田幸三賞を受賞した、ご存じ藤井システムの解説本だ。
左美濃に対する攻撃方法を解説しているが、内容は、非常に難しい(藤井システム自体が難しいのだ)。
序盤の一手一手の手の意味を理解するのは、級位者では難しいかもしれない。
[初段から五段向け]
居飛車穴熊に対する、藤井システムを解説した本だ。
玉の囲いが後になるため、序盤の一手一手が非常に大切になる藤井システムは、やはり級位者には難しい。
ただ、居飛車穴熊に悩まされている人は、この本を読んで、実戦でいろいろ試して見るのも面白いだろう。
[2級から四段向け](シリーズとして、前作「必勝!鷺宮定跡」がある)
四間飛車に対する急戦の戦法として鷺宮定跡の研究が詳しく書かれている。
特に、第1章の基本講座と、第2章の鷺宮流の変遷は、本論へ移る前の基礎として非常に分かりやすい。難点は本の値段くらいか。
(31)鈴木流四間穴熊 (鈴木大介著:毎日コミュニケーションズ:1998年刊:1200円)ランクB
[3級から四段向け]
最新の四間穴熊が、実戦譜とともに解説されている。
私としては、是非続編を出してもらいたい本のひとつである。
(32)[定跡]相振り飛車 (小林健二著:日本将棋連盟:1998年刊:1200円)ランクC
[3級から四段向け]
相振り飛車を解説した、一般的な本。もともと相振りの本は少ないので、相振りを指す人は「相振り革命」と共にそろえて置きたい本だ。
※初級・中級者へのアドバイス
5級くらいまでは、定跡本はあまり必要ないと思う。
もし、駒落ちをやれる機会があるなら、駒落ちの定跡本は買って読んで見ることをお勧めする。駒落ちそのものに数多くの手筋が含まれているからで、そこから良い筋を会得していってもらいたい。
平手は実戦の中から、他の人がやっている事を見て、まねしながら覚えていったらどうだろう。4級以上になってから、定跡本を読み、手の意味を理解していっても十分と思う。
(1)大道棋奇策縦横 (形幅清著:詰将棋パラダイス編集部:1978年刊:1200円)ランクB
[初段から五段まで]
大道詰将棋がびっしりと書かれている。私はかなり細かく読んだが、一般的には「秘伝大道棋」の方が分かりやすく書かれている。
[5級から有段者(特に詰将棋をあまりやらない人)向け]
昔買った本だが、入門詰将棋と、古典の名作詰将棋が載っている。詰将棋をあまりやらない人や、級位者の人で、詰将棋の魅力に触れて見たい人には、ぴったりだ。ただ、ちょっと古いので、もう売ってないかもしれない。
(3)詰将棋イッキに200題 (石田和雄著:大泉書店:1987年刊:670円)ランクB
[8級から二段]
3手詰50問、5手詰60問、7手詰60問、他30問の詰将棋がある。
手筋ものが多く、5級以下だと難しくなってしまうかもしれないが、初段から3級くらいの棋力の人にはかなりいい問題集だと思う。
(4)チャレンジ詰将棋 (田中寅彦著:大泉書店:1988年刊:700円)ランクD
[5級から四段向け]
5手から21手詰まで155問の詰将棋が載っている。
赤いフィルターが付いていて、それで答えを隠して解くようになっている。受験勉強の時みたいだ。
ちょっと見づらいのと、古いのでDとした。
(5)新しい詰将棋撰集 (益田正勝著:村田松栄館:年号なし:800円)ランクC
[5級から四段向け]
3手から15手までの50問の詰将棋と、後半は、古今の詰将棋集から趣向詰を取り上げ解説している。
当時あまり、趣向詰の解説本はなかったので、なかなか面白い本だった。
[3級から四段まで]
大道棋というものを知らない人には、是非一度読んでもらいたい本です。
実戦に役立つ訳ではありませんが、詰将棋の奥深さを知ってもらえるでしょう。
[2級から五段まで]
7手から19手くらいの作品が中心の、比較的難しい詰将棋集です。
買ってから、1ヶ月位かかって全部解きましたが、なかなか解きごたえのある面白い詰将棋がたくさん載っています。実戦派の人には、ちょっと向かないかもしれない。
[初段から五段まで]
ちょっとマニアックな本です。でも、私はこの本大好きです。
詰将棋が面白くてしょうがない、という人は、級位者でもいいですから、是非この本を手に取って見て下さい。
[初段から五段まで]
昔の作品を紹介している。
簡単なものも何題かはあるのだが、難しいものが多い。
[初段から五段まで]
「実戦に強くなろう」と思ってこの本を買うと、バカを見ます。
この本は、「詰将棋パラダイス」という定期雑誌に載ったものの中から、傑作集を取り出したものです。
実戦には役立たないけど、詰将棋というパズルを存分に楽しもう、という人には是非見せたい本です。
[3級から三段向け](シリーズで続編が出ている)
詰将棋はキライだ。けど実戦を強くなるためには、しかたないので少しだけやっている、という人がやるのにちょうどいい詰将棋集です。
(12)さわやかな詰将棋105 (岡田敏著:毎日コミュニケーションズ:1994年刊:980円)ランクC
[2級から五段向け]
軽快な作品で知られる詰将棋作家の岡田敏氏の作品集。
初級向き45問(5〜11手)中級向き32問(13〜15手)上級向き23問(17〜25手)からなる。
(13)詰め物そぞろある記 (二上達也著:毎日コミュニケーションズ:1994年刊:1200円)ランクB
[3級から四段向け]
7手から9手までの詰将棋100問と、100本のエッセイがある。
エッセイもなかなか面白く、先にエッセイだけ読んでしまうと、あとで詰将棋を解くのが面倒になりますよ。
[3級から五段向け]
詰将棋を解くだけのものではなく、鑑賞するだけでもいいとして解説欄をたくさんとった、異色の詰将棋集と言える。私としては、十分ランクAにしたいのだが、一般向けといえるかどうか疑問だったので、あえてBとした。解けなくても解説を見て楽しめる、という本である。
[3級から四段向け](シリーズ:3手、7手、9手詰めパラダイスの全4冊)
内容的にはそんなに悪くはないのだが、なぜ、まえがきに「実戦でも役に立つ」ようなことを言うのか。
これら何手詰めパラダイスは詰パラから良い作品を選び出したものだが、実戦型ではないし、実戦用の手筋にもあまり出てこないものが多い。
(実戦の為に買う人ではなく)詰将棋を好きな人が読むなら、ランクをBにしたい。
[三段から五段向け]
「昭和の看寿」と讃えられる山田修司氏の詰将棋作品集。
詰将棋は、もちろん絶品。ただ、あまり一般的でないのとちょっと値段が高いので、あえてランクCにした。
詰将棋の鑑賞用にだったら、是非お勧めしたい。
※初級・中級者(3〜10級)向けの詰将棋の本は、残念ながらほとんどありませんでした。
こういった人たちが買う場合は、3手から7手くらいの詰将棋が載っていて、まえがきあたりに初級用と書かれているものをお求め下さい。
数多く詰将棋を解くことで、確実に棋力はアップします。
(1)加藤の勝つ次の一手 (加藤一二三著:日本将棋連盟:1984年刊:680円)ランクC
[2級から五段向け]
54の問題があり、3択又は4択で、解答するようになっている。
作られた次の一手とは違い、実戦で現れそうな良い問題が多く、解説も丁寧で分かりやすい。
ちょっと古い本なので、Cとしたが、改訂版が出ているなら、お勧めしたい。
(2)スーパートリック109 (森信雄著:日本将棋連盟:1988年刊:880円)ランクB
[二段から五段向け]
次の一手問題ですが、実戦に役立つ訳ではありません。
詰将棋という分野も、パズルと同じようなものがありますが、このスーパートリックも、一種のパズルに近いものがあります。
将棋世界誌の付録をさらに追加して出版したもので、私の持っている本は、1992年の第4刷ですがそれだけ売れているということでしょう。
一見の価値ある本と言えます。
(3)寄せの手筋168 (金子タカシ著:高橋書店:1988年刊:1000円)ランクA
[3級から四段向け]
この本は、かなりいい本です。
題名の通り、寄せの手筋を集めたものですが、全部を三回読めば、終盤の力は確実に一段アップします。
ライバルに読ませたくない、ナンバー1の本です。
(4)凌ぎの手筋186 (金子タカシ著:高橋書店:1990年刊:1000円)ランクB
[初段から五段向け]
この本は、この前の「寄せの手筋」を今度は受けの立場から問題にした本です。
寄せよりさらに難しくなっていますが、内容的に見ると、ちょっと実戦に出るかな?というようなものまで載せてあります。ただ、三、四段の人が読めば、かなり役に立つでしょう。
(5)ミラクル終盤術 (羽生善治著:日本将棋連盟:1991年刊:880円)ランクB
[2級から四段向け]
終盤の問題と解説が書かれているが、その解説がかなり詳しく分かりやすく書かれていて、いい本です。
実戦は必ずしもこのように進むわけではありませんが、終盤での読みの訓練として使って見て下さい。
(6)手筋術 (武者野勝巳著:毎日コミュニケーションズ:1992年刊:1000円)ランクC
[5級から初段向け](振り飛車編と居飛車編の二巻からなる)
序盤、中盤、終盤に分けて、手筋の問題が105問ある。
易しい問題が多いが、あまり本を読まない初段くらいの人ならかなり役に立つのではないかと思う。
(7)美濃崩し180 (金子タカシ著:高橋書店:1993年刊:1000円)ランクC
[3級から三段向け]
前作、寄せの手筋と同じ系統なのだが、ちょっとだぶっているところもありそうだ。分かりやすく、いい本なのだが、寄せの手筋が良すぎるため、ちょっと見劣りする。
(8)天才、羽生の42手 (池田菊敏・澤田多喜男著:文芸春秋:1997年刊:1300円)ランクB
[3級から四段向け]
子供の頃からの羽生の実戦で作った次の一手問題だが、文章が面白く、単なる次の一手集で終わっていないところが評価できる。この本を読んでも将棋は強くはならないと思うが、気楽に読める本である。
※初級・中級者へのアドバイス
「やさしい将棋の手筋」が書かれた本を読みましょう。
将棋が強くなるためには、実戦の他、詰将棋、定跡を覚える、次の一手をやるなどありますが、将棋の手筋を覚える事は、大変効果があります。
将棋の手筋が書かれた本を何度も読み返し、手筋そのものを自分のものにすることで、2、3級はアップします。
(1)大内流穴熊実戦譜 (大内延介著:大泉書店:1980年刊:600円)ランクE
[3級から三段向け]
題名通り大内の穴熊の実戦が解説されている本だ。
(2)大山・中原激闘123番 (日本将棋連盟:1981年刊:2700円)ランクD
[3級から四段向け]
題名通り、大山と中原の棋譜123局を集めて解説した豪華本。
内容的にも、ちょっと古くなったが、大山の棋譜を並べて見たい人にはいいかもしれない。
(3)居飛車穴熊実戦集 (田中寅彦著:竢o版社:1981年刊:980円)ランクD
[4級から三段向け]
居飛車穴熊の実戦30局が載せられている。
当時は、居飛車穴熊対策も出ていなかったので、この棋譜はそれなりに意味があったが、今ではこう進むことはあまりないので、本としての価値は今ではあまりない。
(4)激闘居飛車穴熊対振飛車 (日本将棋連盟:1982年刊:1800円)ランクD
[3級から四段向け](シリーズとして、「力戦!相振飛車の戦い」がある。)
居飛車穴熊と振り飛車のプロ棋譜100局を載せた本。内容としては、いい本なのだが、ちょっと古くなったので、ランクはDにした。最近の棋譜で出してくれれば、ランクはBだ。
(5)第四回朝日アマ将棋名人戦 (朝日新聞:木本書店:1982年刊:980円)ランクB
朝日アマの棋譜が、解説付きで載せられている。アマ強豪の指した将棋は、時間も短いということもあり、アマチュアが見て勉強するには、ちょうどいい棋譜になると思う。
私が持っているのは、この第四回だけだが、今でも出ていれば、購入しても面白いかもしれない。
(6)森安流四間飛車 (森安秀光著:日本将棋連盟:1983年刊:1800円)ランクD
[3級から四段向け]
今は亡き森安の棋譜35局が、豪華本で載せられている。
急戦14局、持久戦21局ある。
(7)光速の終盤術 (谷川浩司著:日本将棋連盟:1988年刊:2000円)ランクA
[二段から五段向け]
谷川の実戦譜を元に、終盤の考え方がかなり詳しく解説されている。
二、三段ではちょっと難しいかもしれないが、プロの考えというものを十分表現しているこの本は、ちょっと古くなった今でも十分良い本だ。
(8)羽生善治妙技伝 (森けい二著:木本書店:1993年刊:3800円)ランクD
[2級から四段向け]
実戦から出題した次の一手300問と勝局100局が載せられている。ただし、棋譜に解説はない。
(9)森下の矢倉 (森下卓著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:2000円)ランクC
[3級から四段向け]
全50局だが、うち12局について、森下の解説・感想が載せられている。のこりは解説編として、簡単に載っているだけ。
(10)第54期将棋名人戦 (毎日新聞社:1996年:1400円)ランクE
[3級から四段向け]
名人戦の全棋譜が解説付きで載っている。
ただし、将棋雑誌を取っていたり、毎日新聞を取っていれば、必要のない本だ(確か自分は買ったのではなく、もらったような気がする)。
(11)将棋年鑑(毎年1冊) (日本将棋連盟:4600円)ランクC
主要棋戦の棋譜や棋士名鑑などが載っている。一年に一冊出るので、最新のプロ棋譜を見たい人にはこの本はいい。
平成10年版からは、CD-ROMでも売り出されるようになった。おそらく検索するにはこれ以上のものはないだろう。私自身としては、今後は、プロの棋譜を並べるのは週刊将棋や、将棋雑誌を使い、プロ棋譜がどうだったか調べるときは、年鑑のCD-ROMを使うようになるだろうと思う(本は買わずにCD-ROMだけ買う予定)。
ここでは、特に棋力は必要ないかもしれませんが、それでも棋譜なども載っているため、ある程度(5級くらい)の棋力があり、プロ棋界のことについても知っている人なら、より面白いでしょう。
私の独断と偏見で、文章が面白いという人を順にあげると、青野照市、河口俊彦、先崎学、内藤国雄です。
なお、ここでのランクのみ、私の好みです。
(1)一流棋士六人が語るとっておきの上達法 (奥山紅樹著:晩聲社:1982年刊:980円)ランクD
花村、関根、森安、加藤、大内、大山が語った上達法について。
私は役に立たなかったので、ランクをDにしたが、人によっては、役に立つ人もいるかもしれない。
ただ、題名ほど内容はよくない、と思う。
(2)たかが将棋、されど将棋 (奥山紅樹著:晩聲社:1984年刊:980円)ランクD
谷川名人誕生の頃に、活躍していた様々なプロ棋士についてのエッセイ。
そこそこ面白いが、内容は古くなっている。
(3)敗局は師なり (中平邦彦著:講談社:1987年刊:1200円)ランクB
「将棋世界」に掲載されたものに加筆したもの。
プロ棋士12人(中原・米長・谷川・内藤・森・大内・二上・森安・桐山・有吉・加藤・大山)の負けた将棋を紹介しながらつづったエッセイ集。今ではあまり活躍しなくなってしまった人も多いが、内容はなかなか面白い。
「詰将棋マニアのおかしな世界」と副題が付いているように、詰将棋に群がる人たちの事が面白く書かれています。私の好きな本第一位にあげたのですが、・・・・こういう本って、きっと読む人あまりいないんだろうなあ。
(5)願えば夢はかなうもの (林葉直子著:講談社:1993年刊:1000円)ランクB
将棋界を激震させた、アノ事件より前に書かれた、林葉直子のエッセイ集。
小説を書くだけあって、内容もかなり面白い。
今、読み返すと、よけい面白いかも・・・。
(6)一手劇場 (湯川博士著:毎日コミュニケーションズ:1993年刊:1500円)ランクA
「週刊将棋」に掲載されたものを中心に編集したものだが、全部でアマプロ合わせて57人の人たちが出てくる。
初めて名前を聞いた人も何人かいるが、皆将棋に深く関わってきた人たち、将棋と人生が一つだった人たちだ。
ひとりひとりの話は短いが、その中にうまく話をまとめている。将棋に人生感を感じるようになったら、是非一度読んでみて下さい。
(7)米長邦雄の運と謎 (団鬼六著:山海堂:1994年刊:1300円)ランクE
米長の名前を年中、誌面で見ていた当時出版された本だ。
もう、内容もすっかり忘れているし、読み直すのも面倒なので、ランクEにしてしまった。
著者が好きなら(近代将棋にも執筆しているので)、今読んでみても面白いかもしれない。
(8)真剣師小池重明 (団鬼六著:イースト・プレス:1995年刊:1800円)ランクC
団鬼六の書いた、小池重明の実録集だ。
読み物としては、そこそこ面白いが、残念ながら棋譜は2局しか載っていない。
(9)覇者の一手 (河口俊彦著:NHK出版:1995年刊:1300円)ランクB
羽生ブーム(羽生が七冠になろうとしている時)の時分に、羽生のことを書きつづったエッセイ集。
(10)波乱盤上 (あすか書房:1995年刊:1300円)ランクC
将棋ブームが起こったのに乗じて出版された本だ。執筆者はフリーライターを中心に10人の人が書いている。
内容は、「はじめに」で書かれているほど、過激なものでもなく、人にもよるのだろうが、私としては、まあまあかな、と言った程度だ。
(11)勝負の視点 (青野照市著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:1200円)ランクA
週刊将棋を始めとして、雑誌などに載せていたエッセイをまとめたもの。
第1章勝負の向こう側、第2章プロの視点、第3章棋士の心理、第4章女流棋士への思い、第5章勝負のあとさき、とあり、全部で41のエッセイからなっている。
(12)小池重明 疾風三十一番勝負 (団鬼六・宮崎国夫著:幻冬舎:1996年刊:1800円)ランクD
小池重明の物語と、棋譜31局が載っている。しかし、98年に小池重明実戦集が出たので、(たぶん)だぶっていると思うのでこの本の価値はなくなったかもしれない。
(13)将棋王手飛車読本 (宝島社:1998年刊:857円)ランクD
現在、活躍しているプロ棋士のことを、取材して書かれた本だ。
今までの将棋の本とは、趣を異にする本だが、私はあまり面白くなかった(というか、去年読んだばかりなのに、ほとんど印象に残っていない)。
(1)やさしい将棋の手筋 (森けい二著:永岡書店:1978年刊:550円)ランクB
[8級から1級向け]
やさしい手筋集だが、なかなかいい本だ。古い本は、このページには基本的に載せていないのだが、いい本だけは紹介しておこうと思う。
もし、今でも出版されていれば、級位者の人には是非読んでもらいたい。
(2)将棋に強くなる本 (柿沼昭治著:金園社:1979年刊:730円)ランクA
[5級から初段向け]
中級から上級の人にはたいへん為になる、いい本だ。
強くなるにはどうしたら良いか、の方法論と、基本的な手筋が書かれている。
ただ、古い本なので、まだ売ってるかどうか・・・。
(3)穴熊破り (西村一義著:竢o版社:1980年刊:800円)ランクC
振り飛車穴熊を破る定跡が書かれている本だが、定跡だけではなく、局面指定戦や、穴熊についての観戦記、長所と短所についての話など様々な角度から振り穴を取り上げている。少々古いので、Cとしたが、内容的にはBにしたいくらいいい本です。
(4)将棋は歩から(上・中・下) (加藤治郎著:東京書店:1982年刊:1冊2400円)ランクB
[5級から三段向け]
将棋本としては、代表的な名著だ。
歩について、手筋を中心にかなり深く研究、解説されている。
ただ、私の持っているのは豪華本だが、図面が見づらい。確か普及本も出ていたと思うので、もしそちらが見易いようなら、そちらを購入してもらいたい。
[3級から三段向け](シリーズとして、谷川流スピード将棋、谷川流勝つ手の発見がある)
大局観と定跡、実戦など多方面から解説されている。大局観については今までにない新しい試みだが、スペースの関係からかちょっと中途半端になった感は否めない。
(6)史上最強!ワセダ将棋 (早稲田大学将棋部:講談社:1983年刊:680円)ランクB
[2級から五段向け]
早稲田大学将棋部が執筆した異色の本だ。
内容は、穴熊を中心に、勝つためのコツみたいなものが書かれている。
プロの書いたものより分かりやすく、なかなかの良書だ。
(7)奇襲大全 (湯川博士著:毎日コミュニケーションズ:1989年刊:980円)ランクB
[4級から三段向け]
鬼殺しやヒラメ戦法など、四段の人なら一通り知っているはめ手について、詳しく紹介されている。
将棋の特殊な一面として知っておくのは、有意義なことで、初段くらいで、奇襲を知らない人は是非手に取って見て欲しい。
(8)現代将棋の急所 (山田道美著:日本将棋連盟:1990年刊:3000円)ランクB
[4級から四段]
昭和44年に書かれた本の復刊だが、内容はかなり分かりやすく今見ても名著だと思う。
第一章 詰みと必死 第二章 将棋の見方考え方 は級位者から三段くらいまで、たいへん役に立つ内容となっている。
第三章の現代戦法の研究も古くなったとはいえ、解説は分かりやすく大作と言える。
(9)おもしろゲーム将棋 (湯川博士著:毎日コミュニケーションズ:1991年刊:980円)ランクC
[8級以上]
この本は、将棋の本とは言えないかもしれない。
ついたて将棋や、安南将棋、八方桂、王手将棋、獅子王など、様々な将棋を使ったゲームについて紹介している。
私もずいぶんこういった将棋については、友達と遊んだものだ。特についたて将棋にはかなりはまった。
ただ単なる遊びとして、面白そうだと思ったら、買ってみてくれ。
(10)一手の奇襲 将棋入門 (鈴木宏彦著:北辰堂:1993年刊:1200円)ランクE
[8級から初段向け]
鈴木氏の文章はうまいのだが、この本は失敗だと思う。
駒の動かし方から書いてあるので、初心者用かと思えば、初段くらいでないと理解できないようなことまで書いてあり、対象者がかなり不明瞭だ。
過去にあった有名な実戦譜なども取り上げられており、むしろこれらだけを入門用としてではなく、集めて本にした方が良かったのではないか。
(11)将棋戦国絵巻 (炬口勝弘著:毎日コミュニケーションズ:1994年刊:1400円)ランクE
写真で見る将棋界10年(谷川名人誕生から羽生の名人挑戦まで)の歩みだ。
128ページの薄い本で、当時はちょっと変わった本だったので買ったが、写真に興味のある人でなくてはつまらない、ということです。(ランクEは個人的な好みによります)
(12)天才将棋帝国 (バトルロイヤル風間著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:980円)ランクB
週刊将棋の四コマ漫画を集めたもの。
前作に「オレたち将棋ん族」(84年〜88年)がある。もちろんこちらも面白い。
(13)秘伝穴熊王 (美馬和夫著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:1200円)ランクB
[2級から四段向け]
穴熊を指す場合の様々なテクニックが紹介されている。
大会へ出ない人には無用なものも中にはあるが、穴熊を指すなら、是非持っていたい一冊だ。
(14)新手年鑑T (島朗著:毎日コミュニケーションズ:1995年刊:1200円)ランクD
[初段から五段向け]
94年度の新手を集めて解説した本だ。しかし、かなり詳しく最新の定跡を知っている人でないと分かりづらい。また、内容もあまり深く考察されておらず、いまいちだ。
(15)羽生必敗の法則 (田中寅彦著:ワニブックス:1996年刊:1300円)ランクE
羽生に対する対戦成績が4勝1敗の時点での書き下ろし本である。
中には様々なデータが載せられているが、冗談のような羽生対策まで書かれており、また現実問題として我々が羽生と戦うわけではないので、あまり興味の持てる内容ではなかった。