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(8)「振り飛車新世紀」シリーズ全7冊

データ
出版社:毎日コミュニケーションズ  大きさ:四六判(130*189)  P222〜P223 現在は全て絶版

(1)窪田流四間飛車    窪田義行  P223 1997年6月10日第1刷 1260円
(2)久保流四間飛車(上) 久保利明  P223 1997年9月15日第1刷 1260円
(3)久保流四間飛車(下) 久保利明  P222 1997年12月25日第1刷 1260円
(4)鈴木流四間穴熊    鈴木大介  P223 1998年4月11日第1刷 1260円
(5)鈴木流相振り飛車   鈴木大介  P223 1998年11月5日第1刷 1260円
(6)杉本流四間飛車    杉本昌隆  P223 1998年12月25日第1刷 1260円
(7)窪田流四間飛車2   窪田義行  P223 1999年12月17日第1刷 1260円


将棋タウンの古書店」内で見つける場合は、「振り飛車新世紀」で検索して下さい(この文字をコピーし、検索窓に貼り付けると簡単です)。
シリーズ概略
1997年から99年にかけて当時の有望な若手振り飛車党が執筆した振り飛車シリーズ。著者紹介の欄を見ると、久保も鈴木もまだ五段のままだ。そして杉本や窪田も竜王戦や各棋戦で高勝率を上げ、本の執筆者に選ばれている。
内容はどれもアマチュアには参考になるものばかり。詳しい内容は各本ごとにこの下を見てもらいたいが、どの本も一ページに二つずつ図面を使用し、分かりやすい。初段を中心にその戦型に興味のある級位者から定跡を勉強したい有段者まで十分役に立つと思う。

ただ、紙質が悪い。正直何でこんな紙を使用したのだろうと思うほど紙質が悪く、丁寧に保管していても焼けが生じてしまっている。将棋タウンの古書店での状態評価の場合、(おそらく全く読まずに保管しても焼けが生じてしまうため)使用感があまりないものは焼けていてもB、使用感があったり、焼けのひどいものはC、極度の焼けや傷みのあるものはDという形で表示している。
(1)窪田流四間飛車

前書きにも『対居飛車穴熊をはじめとして、急戦への変化にも対応し得るシステム』の一例を編み出すことができました。』とあるように、対居飛車穴熊戦をメインとしてその同じ状態から繰り出される急戦への対応策を解説した本。

第1章がそのメインとなる居飛車穴熊への対応策。▲4六歩を早く突き、穴熊にもぐる前に仕掛ける変化。
そして4六歩を早く突く為に居飛車側から山田定跡で来られる変化が生じる訳だが、その時の為に解説したのが、2章以下。様々な急戦に対応する指し方も解説されている。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      第1章 対居飛車穴熊編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
      第2章 山田定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
      第3章 その他の急戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109
      第4章 窪田流棒銀対策5七金型・・・・・・・・・・・・・・・・121

第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143
       玉の位置が勝負の要 対△堀口一史座四段・・・・・145
       二度の組み合い    対▲滝 誠一郎七段・・・・・162
       飛車の切り違い     対△先崎  学六段・・・・・177
       6筋の攻防        対▲坪内利幸七段・・・・・・191
       一瞬のすきがあだに  対▲飯塚祐紀四段・・・・・・207

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(2)久保流四間飛車(上)

久保の棒銀対策の本。特に先手と後手に分けてこれだけ詳しく書かれている本は少ないので棒銀に苦しんでいる人には役に立つだろう。

第1章では後手四間飛車、2章では先手四間での詳しい変化を。一手の違いがどれほどの違いになっていくか。細かい変化に及んでいるので有段者向けで、級位者にはやや難し過ぎるかもしれないが、それでも定跡通であれば面白く読めると思う。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      第1章 棒銀対策後手四間飛車編・・・・・・・・・・・・・・・・9
      第2章 棒銀対策先手四間飛車編・・・・・・・・・・・・・・・91
      
第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149
        疑問の構想     対▲脇謙二七段・・・・・・・・・151
        辛抱が実る     対▲中田章道六段・・・・・・・168
        大きな自信     対▲加藤一二三九段・・・・・187
        詰みを逃す     対△阿部隆六段・・・・・・・・・203
      
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(3)久保流四間飛車(下)

久保流四間飛車の上巻は棒銀だったが、この下巻はすべて対居飛車穴熊である。また、前書きにも『先手番の時は積極的に動き』とあるように、まずは先手番で居玉や4八玉型のままからの急戦を解説、最後に後手番の時の指し方を解説している。

基本的には「藤井システム」と呼ばれる指し方を久保流に解説したものであるが、後手番の時は、『千日手も辞さずの構えでやる』ことを前提にしている。前作同様、一手の違いが分からなければならない為有段者向けと言えるが、定跡通の級位者にも読み応えは十分あるだろう。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      第1章 4八玉型急戦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
      第2章 居玉急戦・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
      第3章 後手飛車先不突型・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109
      第4章 後手四間飛車での作戦・・・・・・・・・・・・・・・・・145

第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・181
       決断の仕掛けが成功  対△日浦市郎六段・・・・・183
       振り飛車党の居飛穴  対△藤井猛六段・・・・・・・196
       陣形差を生かしきる   対▲小林宏六段・・・・・・・211
      
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(4)鈴木流四間穴熊

鈴木流四間飛車穴熊の指し方を解説した本。

第1章では、居飛車の急戦、5三銀左から7五歩の急戦と棒銀に対する指し方について、第2章では、銀冠と相穴熊について。

対銀冠については、▲4七金型で、いつ▲6五歩と突くかといったことが焦点で、「史上最強の穴熊」にあるのと同じような対応で最も有力な指し方を解説。対居飛穴に対しては▲5六銀と早めに出て様子を見る指し方が解説されており、これもいまだに有力な指し方。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      第1章 居飛車急戦破り!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
      第2章 銀冠・居飛穴撃破!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・127
      二転三転の大熱戦   対▲加藤一二三九段・・・・・129
      うまい歩の手筋が決まる 対▲中川大輔六段・・・・・152
      14連勝を止める     対△郷田真隆六段・・・・・・・167
      対銀冠最強の布陣    対▲中田宏樹六段・・・・・・184
      新手に勝つ        対△堀口一史座四段・・・・・207

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(5)鈴木流相振り飛車

鈴木流相振り飛車の指し方を解説した本。

第1章では、先手向かい飛車対後手三間飛車の相金無双についての解説。第2章では、先手向かい飛車金無双対後手三間飛車の美濃と穴熊について。

現在プロ棋界では、相振りでも美濃から矢倉が主流となっているが、昔は美濃は薄く金無双の方が良いと言われていた時代があった。
実際にはどちらが良いとは言えないくらい細かいことなので、アマチュアの場合、金無双でも十分。むしろ、金無双や美濃、穴熊の戦いではどのようになるのか等、相振りを指す人にとっては基礎知識として知っておいた方が良い。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      第1章 先手向かい飛車相金無双編・・・・・・・・・・・・・・9
      第2章 後手美濃囲い・穴熊編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
      
第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125
       新構想の成功     対△室岡克彦六段・・・・・127
       決勝で戦う       対△藤井猛六段・・・・・・・148
       攻めVS受けの戦い  対▲安西勝一五段・・・・・169
       相三間飛車の戦い  対△久保利明五段・・・・・188
       矢倉の堅さを生かす 対▲小倉久史六段・・・・・・211

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(6)杉本流四間飛車

相振り革命で有名な杉本昌隆プロが著した対居飛車穴熊用の四間飛車の本。

定跡が書かれた第1部では、序章、1章、2章と分かれており、まず穴熊の本質部分について序章で簡単に触れている。
そして第1章では、急戦で穴熊を封じる手段、いわゆる藤井システムについてだが、後手番の時は一手の差が大きくそれでは大変ということで、パート2で陽動居飛車として4筋(後手6筋)に飛車を振り戻す戦型を解説。
第2章では相穴熊、やはり▲5六銀と早めに出る形を解説。「鈴木流四間飛車穴熊」と若干ダブっている箇所もあるが、居飛車の違う対応も多いので、指す人は、両方をしっかりと読んでおきたい。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      序章 穴熊とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
      第1章 パート1・急戦穴熊封じ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
           パート2・陽動居飛車・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
      第2章 相穴熊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
      
第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・135
      居玉急戦の会心譜  対△福崎文吾八段・・・・・・・・137
      自戒の一局       対▲佐藤康光八段・・・・・・・152
      杉本流の振り飛車穴熊 対▲畠山成幸六段・・・・・・166
      相穴熊の熱戦譜     対▲森内俊之八段・・・・・・179
      最強の相手と戦う    対▲羽生善治四冠・・・・・・199

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(7)窪田流四間飛車2

振り飛車新世紀シリーズの1を著した窪田プロが対右四間の指し方を解説した本。

その第1章に様々な右四間対策。前書きに『急戦・持久戦天守閣美濃・持久戦穴熊という三つの頭を持つ・・・(中略)・・・侮れない相手です。・・・(中略)・・・納得のいく対応策を見いだすことができましたので、その全貌を皆様に披露する次第です。』と書いているように、右四間に対する四間飛車の指し方を解説。
第2章では、飛車先保留の△7二飛急戦の解説。これは直接右四間とは関係ない。

第2部の実戦譜5局のうち4つは右四間、残りの一つは△7二飛急戦となっている。

目次

前書き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第1部  定跡編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
      第1章 撃退!右四間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
      第2章 対飛車先保留△7二飛急戦・・・・・・・・・・・・・・97
      
第2部  実戦編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・133
       ▲4五銀の功罪  対△加瀬純一五段・・・・・・・・・135
       急戦の可否はい  対△加瀬純一五段・・・・・・・・・156
       大混戦を制す   対△鈴木輝彦七段・・・・・・・・・175
       大山流にしてやられる 対△中座真四段・・・・・・・195
       さばき切れずに敗れる 対△野月・・・・・・・・・・・・・209

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