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その三 専門用語解説


テレビの将棋対局の解説や、有段者同士の感想戦などでは普通に使われている将棋用語が、意外に級の人たちには分からなかったりする事があるらしい。
そこで、ここでは、そういった用語の解説をしていきたいと思っているが、基本的な用語の解説までしたら一冊の本が出来てしまうので、とりあえず分かりづらいルール、慣習と、用語だけに限って取り上げて行きたいと思っています。

○「王(おう)と玉(ぎょく)」
将棋の王将(おうしょう)は、いろいろな呼び方をされる上、安い駒は2枚とも玉になっていたりしますが、正式には王(おう)と玉(ぎょく)といって2枚がそれぞれ違います。 「王」を上手(段位の上の人や年上の人)が持ち、「玉」を下手が持つと決められています。 アマチュア同士で指す場合、あまり神経質になる必要はありませんが、駒落ちなどで、教えてもらうといった立場になった場合は、できるだけ「玉」を取り並べるようにして下さい。 但し、将棋の図面では、どちらを向いているのか分かりやすいように、両方とも「玉」になっています(王だとどっち向きか分かりづらい)。

○「振り駒(ふりごま)」
将棋の先後(どちらが先に指し始めるか)を決める場合、並んでいる歩を取り、サイコロのように振って決めます。 正式には、5枚の歩を取り、歩(表)が3枚以上出れば、歩を取った方の人の先手です。歩が立った場合は、残りの歩で決めます。 アマチュアで練習将棋の場合は、3枚だけで振る場合もあります。 また、基本的には上手が振ることになっていますが、これもあまり神経質になる必要はありません。

○「持将棋(じしょうぎ)」
両方の王様が入玉して、どちらも詰む可能性がなくなったときの将棋の呼称。 持将棋の勝敗の判定方法が、プロとアマでは違うため、ちょっとややこしい。 正式なプロの規定では、24点法を使う。これは、玉を除く残りの駒で、大駒(飛角)を5点、小駒を1点として、双方24点あれば引き分け、24点なければ負け、というものだ(全部の駒は大駒20点、小駒34点、計54点ある)。 これに対してアマの規定は、27点法を使う。引き分けをなくすためで、唯一同点の場合は後手勝ちとするのが一般的。 駒落の場合の持将棋規定はない(と思う)。「その一」でも書いたが、「トライルール」は優れた判定方法、と思う。

○「妙手、好手、疑問手、悪手、敗着(みょうしゅ、こうしゅ、ぎもんしゅ、あくしゅ、はいちゃく)」
指し手の善し悪しを言う言葉はたくさんあるが、よく使うのはこの5つかなと思う。 好手は文字通り、「いい手」だ。これに対して妙手は、一見すると駒を捨てたりしていい手には見えないのに、実は優勢になる好手のこと。さらにすごい妙手を絶妙手という。 疑問手は、悪手ほどではないが、あまり良くない手。悪手は、明らかに悪い手だ。 敗着は、対局中は分からないが、終局後検討して、負けになった手をさして使う言葉。

○「勝勢、優勢、やや良し、一局(しょうせい、ゆうせい、ややよし、いっきょく)」
局面の善し悪しを言う言葉。 勝勢は、明らかに勝つ順が生じているときに使い、優勢は、文字通りかなり有利な時に使います。 優勢ほどではないのが、ややいいとかやや良しで、一局というのは互角の事です。 感想戦でも、「これも一局」というのは、本譜とは違うが、そう指しても互角でしょう、の意味。

○「序盤、中盤、終盤(じょばん、ちゅうばん、しゅうばん)」
将棋には、指し始めから、駒がぶつかるまでを序盤、そこから寄せに入る直前までを中盤、寄せから投了までを終盤と言います。ただし、一局ごとに、内容が違うため、どこまでが序盤で、どこからが中盤という厳密な区別はありません。 序盤、中盤では、駒損をしないこと、終盤は駒損より相手の王様を詰めることを考えましょう。

○「筋(すじ)」
2つの意味がある。 一つは、将棋盤のある地点をさすときに、右から1筋2筋と呼ぶときに使う。 もう一つが、非常に説明しづらい言葉だ。 「筋がいい」とか、「ここは、こうやるのが筋」という風によく使うが、感覚的な言葉なので説明するのはちょっと難しい。 簡単な詰将棋を数多くやったり、有段者の感想を聞くことで、「筋の良さ」とその意味を会得していって下さい。


以下は、入間将棋センターだけで使われている言葉です(別に読まなくてもいいです)。

○「柳内さん(やないさん)」
歩を垂らした後、金銀を打ち込むもっとも単純な攻め。 柳内四段の将棋にいつも発生するため、いつのまにかこう呼ばれるようになった。 もう一つ、銀の割打ちも「柳内さん」と呼ぶ時もある(割打てるところは必ず割り打つので)。 実戦で、金駒を歩の頭に打ち込む時に「やないさん」と言ったり、感想戦で、「この局面なら柳内さんがある」というふうに使う。

○「関根スペシャル」
玉頭位取りから、8四歩・同歩・8五歩と継ぎ歩をして、同歩に8四歩と垂らす攻めのこと。 関根三段が、以前得意としていた攻めで、良くも悪くもこう攻めていたので呼ばれるようになった。

○「入間定跡」
自分がセンターを始める前から、右四間飛車を得意とする人が何人もいたため、右四間飛車を別名「入間定跡」というようになった。

○「羽生でも勝てる」
感想戦で、この局面なら(相手が)羽生でも勝てる、と言うと、それくらい大差で優勢だ、という意味。 反論する(そんなに大差じゃなくちょっと悪いくらいだと思う)場合は、「いや、羽生じゃ無理だ。誰々(あまり知られていないプロ)くらいなら勝てるかもしれないが」と使う。

○「小島銀」
桂頭銀の事。受け将棋の小島四段が、美濃囲いに、2四桂(振り飛車先手)と打たれたのに対して(3六桂と跳ねられるのを厳しいかどうか読みもしないで)、無条件に2五銀と桂頭の銀を打つことから、受けに使う桂頭銀全般を指してこう言うようになった。

この「専門用語解説」については、テレビ将棋対局を見て、分かりづらい言葉が出てきたら追加していこうと思います。

1999年02月09日作成

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