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隠しファイル6
(本「話を聞かない男、地図が読めない女)

2001年8月2日(木)

今回は、先日、たまたま目についた「話を聞かない男、地図が読めない女」という本を買ってきてしまったので、この本について・・・。

この本は、男と女の考え方の違い、特に、脳の違いを様々な事例や方法によって解き明かそうとしているものだ。そして、男と女の脳の違いは、環境によって変わるのではなく、何万年もの人類の歴史から作り上げられてきており、生まれながらのものだ、ということを力説している。

なかでも面白いのは、空間能力について。
空間能力とは、「対象物の形や大きさ、空間に占める割合、動き、配置などを思い浮かべること」。この空間能力は、狩猟者である男が、標的の早さや動きを知るため、大昔から磨きをかけてきた能力であり、男の得意分野だという風に説明している。
もちろん、それ以外にも、男が得意とする能力、女が得意とする能力、それぞれをいろいろな観点から説明しているのだが。


で、この本を読んでいて、ふと思ったのが、女性は将棋に向いているのか、という疑問。

あまり今まで、男女の脳の違いについて、考えたことはなかったが、将棋界に女性が少ないのは、その歴史、将棋人口が単に少ないからという理由だけだと思っていた。
だから、もし、男性と同じくらい将棋人口があれば、プロになる女性も、どんどん出てくるし、中には名人を狙う人も出て来るんじゃないかとも思っていた。

女流の将棋普及に対する役割というものは大きい。しかし、実力は、というと、トップはともかく、下の方は、見てもらえる棋譜にさえなっていない場合がある。この実力を上げるのは、やはり層を厚くするしかないと思うが、反面、その待遇はどうかと言うと、決して良いとは言えないようだ。

待遇を良くすれば、層が厚くなり、実力が上がるのか、実力が上がったら待遇を良くするのか、ニワトリと卵じゃないが、この問題ははっきりしているように思う。

まず、待遇が先だろう。実力が伴わない女流でも、こと普及という面においては、男性プロをはるかにしのいでいることは確かなのだ。
一年間、テレビにも出なければ、新聞に棋譜さえ載らず、本人以外、誰にも知られないような対局に払うお金があるのなら、やはり女流の待遇を良くして欲しいと思う。

そして、待遇が良くなれば、自然に層も厚くなり、実力も付いてくる。そう自分はずっと考えていた。


しかし、そう、しかし、だ。

本当に層が厚くなると、男性プロと同じだけの実力が付くのであろうか?

少なくとも、この本を読んで、男女の脳の違いを見てみると、将棋と言うゲームは、いかにも男性の脳に適したゲームであるかを認識させてくれる。それは、先ほどの「空間能力」もそうで、これらは将棋を考える上で、そのまま当てはまるような気がするのだ。

むろん、本が間違っていることもある。あるいは将棋と言うゲームをこの本に当てはめてもその通りにはならないのかもしれない。
また、この本でも、「あくまで一般的に」と断っており、男の中でも、女と同じような脳を持った人もいれば、女でも、男と同じような脳を持った人もいる、ということも説明している(男脳、女脳の判定テストが付いているので興味のある人はやってみて下さい)。

結局、女性が将棋に向いているのかいないのか、実際に層が厚くなってみないとこの答えは出ないのかもしれない。
そしてそのような時代は、果たしてやって来るのだろうか?

少なくとも、連盟が、今のような運営をしている限りは、永遠にやってこない気がする。ずっと昔に比べれば、女性の将棋人口も確かに増えているかもしれないが、それでも微増だ。育成会入会者だって少しも増えていない。これはやはり女流の待遇面に問題があるからだろう。

まず待遇だ。女流の待遇が上がる→育成会入会者が増える→女性の将棋人口が増える→奨励会を目指す人も増える→正規のプロが誕生→さらに女性への将棋の普及が広がる・・・ってな訳にいかないだろうか?

いずれにせよ、プロを目指すのに十分魅力ある環境を整えて欲しいと思う。