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歩の格言

ここでは歩の格言を見ていきます。歩には、たくさんの手筋がありますが、そういった手筋に関係する格言はそれほど多くはありません。

歩のない将棋は負け将棋/一歩千金

歩は最も安い駒です。初級者のうちは、歩の一枚や二枚取られてもたいしたことはありません。でも強くなるに従い、歩の持つ意味が大きくなってくるのです。
あと、一歩なかったために、玉が詰まず、負けになることも実戦ではあります。
この二つの格言は、一歩でも大事にしなさいということを言っています。

二枚替えなら歩ともせよ/手のない時は端歩を突け

この格言は、二つとも、あまり妥当なものではありません。
確かに二枚替えで駒得するなら、そうすべき時は多いです。しかし、銀一枚と歩二枚の交換は当然損です。この格言の意味も、そういう意味ではないと思いますが、間違えて受け取らないように。
「手のないときの端歩」もあまり意味はありません。
おそらく、端歩そのものには、悪手はない、程度のことだと思います。

打ち歩詰めに詰みの余地あり

打ち歩詰めの局面は、最後まで行ってしまったら、もう詰みません。
しかし、それより何手も前の局面から考えると、打ち歩になる手順以外に、詰められる手順というものが案外あるものだ、ということを言っています。

開戦は歩の突き捨てから

居飛車振り飛車戦では、それほど多くはないのですが、特に角換わり戦などでは、歩をいくつも突き捨ててから攻める場合が良くあります。
激しい攻めほど、後から歩を突いたのでは取ってくれない為、先に歩を突き捨てておくのですね。

三歩持ったら継ぎ歩とたれ歩

図面
この図は、2001年に行われた棋王戦第3局(先手久保六段、後手羽生棋王)です。
ここで、先手の久保六段は、▲8四歩△同歩▲8五歩△同歩▲8四歩と手筋の継ぎ歩とたれ歩を放ち、有利に進めました。
持ち駒は二歩ですが、8五にもう一歩あるため、「三歩持ったら」なのですね。
矢倉とか、穴熊を攻める時も時々出てくる手筋なので覚えておきましょう。

横歩三年のわずらい

これは昔の格言で、横歩 を取って一歩得しても、そのあといろいろ大変なことがあり、三年わずらうと言っている訳です。
近年は、横歩は取って良しという感じだったのですが、ここ二、三年の横歩取らせ8五飛戦法の出現で、もしかしたら、またこの格言が有効になるかもしれません。

5三のと金に負けなし

図面
これも、2001年に行われた棋王戦から取りました。(第1局:先手久保六段、後手羽生棋王)

今、羽生棋王が△5七にと金を作ったところです。5三のと金というのは、当然5三か5七のことです。こんな、玉のすぐそばにと金を作られては、とても勝てる気がしません。それに、玉が美濃囲いや矢倉に入っている場合でも、5三のと金は有効です。
どこにいても5三のと金の威力は絶大なため、このような格言が生まれたのでしょう。

と金のおそはや/まむしのと金

うまい人ほど、と金を使います。
歩を垂らして、と金にする。なんかまどろっこしいような感じがするものですが、遅いように見えてこれが早い。しかも、と金は、相手の駒と交換になっても、相手は歩としてしか使えません。まさに、まむしのようなものですね。
と金で攻められるようになれば、りっぱな有段者です。

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