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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年11月17日出題)

第173問(2008年11月16日:谷川九段-橋本七段戦)
(問173-1)
先手谷川九段の居飛車に、4手目△3三角から向かい飛車の趣向を見せた後手の橋本七段。22手目、早くも△2五桂と跳ね出し戦いに入った。
下図は△2七歩成と成り、次に△3八とから△2九飛成を見せた手に対し、▲4六角と絶好点に角を打ったところ。この手は▲2四歩と飛車を押さえ込むのが直接の狙いだが、同時に金一枚でも入ると、▲7四桂からの即詰みがある手でもある。
ここで、実戦は▲2四歩を回避するため△2五飛と浮き、これが当然の一手のように見えたのだが、次の▲4四馬がまた▲3四馬を見た絶好点で先手が好調に進めた。
感想戦で検討されたここでの正着とは何か?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問173-2)
やや先手が指しやすそうにも見える局面ではあるが、後手も飛車成りからの攻めが残されており、まだまだ難しいかと思えた局面。
ここで先手の谷川九段は、ちょっと考えづらい意表の一手を放ち優位を確立した。最も平凡な受け(それでも平均して80点の手)としては▲5九銀。攻めるなら▲7四歩や▲7七香だが、ここで指された先手の一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問173-1解答)「急所の角を追う手」
△2五飛は打たれる前にかわすと言う手で、有段者ならまず第一感であり、こうした手が正しい手になることが圧倒的に多い。しかし、この局面は次の▲4四馬が▲3四馬を見た絶好の一手であり、それを防ぐため△7四飛とこちらに打たざるを得なくなり、形勢を損ねた。
ここでは、感想戦で指された△4五歩が強手。当然▲2四歩と打ってくるが、△4六歩▲2三歩成で飛角交換になり、と金まで出来るということになるが、急所の角を取っていること、と金が遠いと言うこと、さらに△3八とと入り、仮に▲5九銀なら△4七歩成が形を乱す急所の一手になることなどがあり、感想戦では結論は出なかったがいずれにしても難しい戦いになったと思われる。



(問173-2解答)「急所の角を追われない手を優先する」
部分的にたとえば振り飛車で、居飛車の飛車が走ってきた時に桂が逃げるという事は良くある。しかし、この局面では、と金も利いており桂が逃げることに意味があるように見えない。
ただ、桂を取られると△5四桂があり、また△4五歩など急所の角を追われる手も残っており、こうした手を一手、桂を跳ねることで消すことが出来るのがこの▲3七桂の効果。

実戦は△2九飛成と成り込んだが、▲7七香とためたのが好手で、4八の銀は取られるが、▲7四歩と角筋で玉のこびんを攻めたのが急所。以下、いくばくもなく後手の投了となった。


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