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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年3月8日出題)

第239問(2010年3月7日渡辺竜王-糸谷五段戦)
(問239-1)
先手渡辺竜王、後手糸谷五段で戦型は一手損角換わり。実戦例のある形だったため、猛スピードで序盤から中盤を過ぎていった。そして、△3九角の狙いを伏線に、7五に位を取り、今△7二飛と回り、次に△7六歩と突こうとしたところ。ここでの先手渡辺竜王の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問239-2)
やや攻めが薄いかと思われた後手だが、馬を作り、次に△7五歩と△5六馬を見て、むしろ先手が大変な局面になっている。ここで▲2二歩と有段者ならとりあえず打ちたい歩を先手が打ったところだが、こうした歩の処理をどうすべきか。

(難易度・・・やや難



(これより下に解答)

(問239-1解答)「壁にしない受け方」
ここで▲8五歩と突いた手が△7六歩に▲8六角を用意した軽い一手。何もしないで、△7六歩▲8八角となっては、すぐにつぶれる訳ではないが、壁角の位置が悪く戦いになると悪影響を及ぼしそうだ。
ただし、▲8五歩も、桂の跳ねる地点であるし、局面によってはかえって攻めに調子を与えてしまうので、気をつけなければならない。


(問239-2解答)「壁を甘受するかを考える」
居飛車同士の戦いで、▲2二歩あるいは△8八歩と打って、壁金や壁銀にさせる手筋というものは実戦で頻繁に出現する。このような歩を打たれた時に、取るか取らないかは常にその局面によって考えることになる。但し、一つの基準としては、その局面が忙しい局面であるかどうかということがあげられ、忙しくない局面(序盤である)ほど手抜かずに取った方が良いことが多い。さらに、手抜いて桂を取られながらと金を作られる手より、さらに厳しい手があれば手抜くことも十分考えられる。また、壁金(銀)の形がものすごく悪く、反対側から攻められて寄せられてしまう場合は、△3一玉▲2一歩成△同玉と桂損しても玉の安全度を優先させることもある。
このような歩は常にその都度考えることになるが、分からない場合は、利かされにはなるがまず取ることから考えたので良いだろう。

実戦は、△7五歩と急所の位を取り、▲6六金に、△2二金とこの歩を払った。この後、まだ長くなる順もあったが、先手渡辺竜王の読み抜けもあり、一気に先手陣が崩壊、受けなしになった。

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