第370問(2012年10月14日 佐藤天彦七段-佐藤康光王将戦) |
(問370-1) 先手佐藤天彦七段、後手佐藤康光王将で戦型は後手のゴキゲン中飛車に先手は超速。二枚銀を繰り出し、先手が3筋から仕掛け、これに後手が反撃して激しい戦いが始まった。 下図は終盤、角桂交換の駒損ながら今打った▲5二金が厳しく、先手有望な局面。しかし簡単に終わらないのがプロの将棋。ここで指された後手佐藤王将の次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問370-2) 終盤、鋭く攻め込み先手優勢。▲4四桂が厳しい為、今その桂を抜くため△5九銀と銀を捨てたところ。▲同玉は△2六角。と言って取らない手があるのかどうか、自分の実戦だったらどうするか。ここで指された先手佐藤七段の次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問370-1解答)「鍛えの入った手」 ここでの次の一手は△7二銀打。▲5二金に対して、△同飛では▲6一龍で次の受けが難しく、△同銀は▲7一銀で飛車を取られつつ玉を引っ張り出されてしまう。そこで佐藤王将の指した手は▲7二銀打。飛車は取られても(▲6二金なら)△同銀でまだ美濃は再構築が出来る。 このような△7二銀打のような手を良く「鍛えの入った手」と表現することが多い。但し、これは指している人が、アマ有段者であったりプロでも若手に使うだけで、実際には今回のようにプロのベテランに使うことはない。簡単に土俵を割らない粘りの一着だ。 |
(問370-2解答)「最低限の読み」 「△5九銀に▲同玉は△2六角で桂を取られる。だから逃げよう。」だけでは読みの量が少なすぎる。たとえば逃げる場合でも、(△5九銀に)▲7七玉は△6八角▲6六玉△5七角打(△6五歩)、▲7八玉は△6九角▲8八玉△7九角で相当危ないと読み、▲同玉の変化は、△2六角〜△4四角でも▲4三銀と打てば寄せられる、という所まで考えたい。 アマ有段者でも、逃げる変化を短時間ですべて読み切ることは難しいが、(級位者でも)危ないという感覚は必要だ。特に要の駒を抜かれると勝てない場合は別だが、駒を捨ててくれればその駒で別の手段が生じることは多い。抜かれた後の攻め筋も読みながら選択することになる。 本譜はこの後すぐ終わるかと思われたが、先手の寄せがやや変調。しかしギリギリの所で踏みとどまり、最後は華麗な捨て駒から後手玉を即詰みに討ち取った。 |
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